3-2 ネコ戦士、ピンク色の装備を得る
ファイアドラゴンの皮は手早く剥かなきゃいけないらしいけど、私はモールですら解体したことがなかった。
どうすっかなー…と考えていると、北門が開いて、村のみんなが飛び出してきた。
「モモちゃんっ!!」
「…って、寒っ!!なんだこりゃ!!」
「すげぇ地響きがしたけど大丈夫か?!」
「モモちゃんっ、ケガはっ…ケガは…」
どうやらファイアドラゴンが倒れた時の地響きで、みんな北門に集まってきたらしい。
ありがたい。
さっきより寒さがかなりマシになってきたし、解体はみんなに任せよう。
「解体お願いしますにゃ!!皮をきれいに剥いでからにゃ!」
と私はみんなに解体を頼んだ。
「わ、わかった!!」
「って、このでかいの、どっから皮剥ぎゃいいんだよ…」
みんな、ファイアドラゴンが大きすぎて戸惑っていた。
私もちょっと悩んだけど、もしかして魚みたいに頭からしっぽにかけて皮を剥げば、きれいに剥がせるんじゃないのかと思ったので、ファイアドラゴンの口の上に切れ目を入れて、頭の上に飛び乗って皮を引っ張ってみた。
すると結構きれいに皮がめくれてきたので、私はファイアドラゴンの頭からしっぽに向かって皮を引っ張った。
うんうん言って皮を引っ張ってる途中、私はふと思いついてベリーの実を食べた。
「剥がれろにゃー!!」
と、皮を思い切り引っ張ると、しっぽまできれいにむけて、私はファイアドラゴンのしっぽの方に落ちてひっくり返った。
「だ、大丈夫かい?!」
カールさんが心配してそう言ったけど、私は全然大丈夫だった。
「ピンクの装備作るにゃー!!」
剥がして丸めたファイアドラゴンの皮を頭の上に掲げて、私がみんなの方に走って戻ると、みんなおかしそうに笑った。
ファイアドラゴンの肉はなんだか臭くって、ギルド長にもらった紙に書いてあった通り、食用には向かないみたいだった。
でも肉には脂がいっぱいあったから、その脂がランプとかに使えるんじゃないかってみんなで相談して、火をつけてみたら肉の臭さの割にそう臭くなくなったので、焚き木代わりにすることにした。
骨はすごく大きくて太いから、建材になるんじゃないかって大工さんが言ったので、解体したファイアドラゴンは北門を出てすぐの所にパーツ別に積み上げておいて、必要な時に取りに来ることになった。
肉は食べられなくて残念だったけど、意外にみんなの生活に役立ちそうで私はほっとした。
…となると次は…
「ケンさん、装備作ってにゃ!」
私がケンさんを振り返って言うと、
「はいよ!すぐとっかかるぜ!」
ケンさんはにっと笑って、私が畳一枚分ぐらいずつに小さく切っておいたファイアドラゴンの皮を持って走って行った。
これでやっとかわいい装備が手に入る…と、私はほくほくした。
「いやぁ…バカでっかかったなぁ…」
「あんなのが北門破って入ってきてたら、村は壊滅状態だったろうな…」
村の人たちは口々にそう言っていた。
「モモちゃん…ホントにケガはないのかい?」
バーサさんが心配そうに言ったので、私は
「ケンさんの装備のおかげで助かったにゃ。でも装備に傷はついちゃったのにゃ」
と答えた。
そして
「だから、新しい装備が楽しみなのにゃ!」
とバーサさんに笑いかけた。
バーサさんも笑ってくれて、
「そうだね、今度こそピンクのかわいいのができたらいいね」
と言った。
みんながファイアドラゴンを片付けてくれてる間に、私は気になってたことをギルド長に言ってみた。
「ギルド長さん、ファイアドラゴンってホントは火山とかにいるんじゃないのにゃ?」
ギルド長は驚いた顔をして
「何故そう思うのだ?」
と問い返してきた。
「だってファイアドラゴン、寒さで震えてたにゃ。それで、川の中に落としたら寒がってガタガタ震えてたから、思ったより簡単に倒せたのにゃ」
私の言葉にギルド長は
「…確かに。実は奴が数年前に現れたのはこの村の南方の火山近くだったのだ。ならば奴が好むのは火のように熱い地域であると推察されてしかるべしだろう。なのにあのような寒い場所に現れたということは…」
そこまで言って言葉を切った。
なので私は
「…あいつより強い存在から逃げてきた…とかかにゃ?」
と、ファイアドラゴンに出会った時に考えかけたことを言ってみた。
「うむ。その可能性はあるだろう…だが、まだそう断定するには判断材料に乏しい」
ギルド長の言葉に、私は黙ってうなずいた。
ファイアドラゴンが生息地を離れて苦手な寒い地域に現れた理由は、まだはっきりしない。
なら、想像で余計なことを言って、村の人たちを不安にさせるわけにはいかないだろう。
翌朝、私が目を覚まして家を出ると、ケンさんが走ってきた。
「モモちゃん、かわいい装備ができたぞ!!」
「ホントにゃ?!」
「ああ、着てみてくれよ!!」
ケンさんに渡された装備を持って私は家に戻り、早速ファイアドラゴンの装備を身に着けてみた。
濃いめのピンク色で、裾が花びらみたいなかわいいワンピに、セーラーハットみたいなピンクの帽子。
私はすぐに家を出て
「ケンさん!!めっちゃかわいいにゃ!!ありがとにゃ!!」
とケンさんにお礼を言った。
そしてそのまま村中を駆け回って
「かわいいにゃ?かわいいにゃ?」
と村のみんなに装備を見せて回った。
みんなにこにこして
「かわいいよ!」
「似合うよ!」
ってほめてくれたけど、良く考えたらかわいい仔ネコの中身はアラサー女子だ。
…私はちょっと恥ずかしくなった。
けど、まぁいいか、この装備ホントにかわいいんだから!
寒くなるとパソを立ち上げる時、なんか異音がします。もうしばらくもってくれよ、うちの八年物のパソ…




