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ネコ好き女子、ネコ戦士になる  作者: リュウ
第2章 ネコ戦士、異世界になじみ始める

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2-6 ネコ戦士、モモイロヒヒと取り引きする

村に戻ると村の人たちが、わっと寄ってきた。

「大丈夫かい?!ケガは…ケガは…」

バーサさんが泣きそうな顔で私の前脚をつかんだ。

私はバーサさんに向かってうなずいてから、

「村長さんとケンさんに話があるにゃ」

と、二人を呼んだ。

「モモよ、モモイロヒヒはどうなったんじゃ…?」

心配そうにそう聞いてくる村長に、私は

「あいつすごく頭いいのにゃ。金払えって言ったら、これをくれたのにゃ」

と、モモイロヒヒにもらった金色の石ころをポーチから取り出して見せた。

すると周りにいた村の人たちの目が点になった。

「へ…?モモイロヒヒに…金を払えって…???」

みんなの反応はとりあえずほっといて、私は鍛冶屋のケンさんに、モモイロヒヒからもらった金色の石ころを渡した。

「これ、お金になるにゃ?」

と聞いてみると、ケンさんは分銅のついたハカリ?と虫眼鏡みたいなのと、水を張った桶を持って来てあれこれと調べ始めた。

そして、ごくりとつばを飲み込んで、

「…まちがいねぇ…これは純金だ…」

とケンさんは言った。

「ええええええ?!」

村の人たちの絶叫が、静かな山間の村に響き渡った。


「モ…モモや、モモイロヒヒと話ができたのか…?」

村長が、信じられないといった顔をしてそう言った。

私はうなずいて

「畑の果物は村の人が作ってるものだから、勝手に奪っちゃダメって言ったのにゃ」

と言った。

村の人たちはうんうんとうなずきながらも、まだ口を開けたままだった。

「それで、あのモモイロヒヒには子供がいたから、その子を殺してもいいかって聞いたにゃ」

ちょっと端折った私の言葉に、村の人たちは

「そっ…そんなっ…」

と凍りついた。

「そしたらあいつ、子供をぎゅって抱きしめたから、だから話が通じるって思って、お金になりそうなものを寄こせって言ったら、この石をくれたのにゃ」

私がそう言うと、みんなはほーっとため息をついた。

やっぱりモンスター相手でも、子供を殺すっていうのはいい気持ちがしないみたいだ。

「それで、これ持って帰ってお金になるかどうか村の人に聞いて、お金になるなら村の人たちと話し合ってくるから待っててにゃって言って、今親子を待たせてるにゃ」

と私が言うと、

「…んじゃ、モモイロヒヒに果物を売ればいいってことなんだね?」

バーサさんがそう言ってくれた。

「そうにゃ。これはモモイロヒヒとの取り引きにゃ」

私が言うと、

「わかったよ。じゃあ、あたしも連れてっておくれ」

バーサさんは腹を据えたような表情で言った。

「バ、バーサ、大丈夫か?」

「いや、モモちゃんがいるなら心配はないだろうが…」

村のみんなは心配したけど、バーサさんは

「きっとモモイロヒヒにも、子供にご飯を食べさせたい一心なんだろうよ。お金を払ってくれるなら、相手がモンスターだろうと果物を売ってやるよ」

と笑った。

「じゃあバーサさん、一緒にモモイロヒヒのとこに行くにゃ?」

私がそう言うと、バーサさんは

「ああ、お願いするよ」

と、また笑った。


村の南門をバーサさんと二人で出ると、林の入り口あたりにモモイロヒヒの親子が座っていた。

「あれがモモイロヒヒの子供…」

バーサさんは、優しい目をしてそう言った。

「待たせたにゃ!さっきくれた石はお金になるって村の人が言ったにゃ!」

私が話しかけると、モモイロヒヒは少し考えてからうなずくようなしぐさをした。

そして私が

「この人がこの畑の主にゃ。畑の果物は、この人との取り引きにゃ」

と言うと、またモモイロヒヒは少し考えてからうなずいた。

すると、バーサさんが私の隣から一歩前に出た。

「このリンゴの木…林の入り口に一番近いリンゴの木と、その隣のリンゴの木の実は、あんたたちに売ってあげるよ」

バーサさんの言葉に私は驚いた。

「そんなにあげてもいいのにゃ?!」

慌てる私にバーサさんは

「あの石ころにはそのぐらいの価値はあるよ。この先何年も、この二本の木になる実の分も。それでも足りなくなったら、知らせてくれればもう一本のリンゴの木の実も売ってあげるよ」

と言って、モモイロヒヒの親子に笑いかけたけど、モモイロヒヒは反応しなかった。

もしかしたら、私の…ネコ戦士の言葉しか通じないのかもしれない。

そう思ったので私がバーサさんの言ったことを全部伝えると、モモイロヒヒはまた考えてからうなずいた。

そしてこちらをちらちら見たので、

「もうその木と隣の木は、あんたたちのにゃ。子供にお腹一杯食べさせてあげたらいいにゃ」

私がそう言うと、モモイロヒヒの親は子供を木に登らせた。

モモイロヒヒの子供がリンゴを食べ始めると、親はちょっとだけ優しい感じの顔になって、子供を見ていた。

…良かった…

モモイロヒヒとの取り引きがうまくいったので、私たちは安心して村に戻ることにした。

そしてバーサさんと二人で村に戻る道を歩きながら、私ははっと気づいた。

…モモイロヒヒを倒さなきゃ、装備作れない…

ピンクのワンピ風のかわいい装備は、モモイロヒヒとの取り引き成立によって、夢と消えてしまった…

 

今日はちょっとだけあったかくなったので、ネコも日が当たる所で日向ぼっこしてます。平和です。

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