2-1 ネコ戦士、新たな依頼を受ける
ツラーオの群れの討伐の後も、私は時々村長からの依頼を受けて、牛みたいなモンスター…モールの討伐をした。
モールの討伐は私としては村へのサービス気分だったけど、タダ働きはいけないと村の人たちが言ってくれたので、モール一頭あたり五百ジロをもらうことになった。
お金はたまってきたけど、まだあのピンクのワンピみたいな装備を作るための、モモイロヒヒの討伐の依頼は来ていない。
そうこうしていると、また王都からギルド長がやってきた。
いつもの大きな馬に乗ってきたギルド長は、いつもの真面目な顔で
「ネコ戦士殿、また王都からの依頼である」
と私に言った。
相変わらず表情も言葉も固い人だ。
「今度はどんな依頼にゃ?」
と私が聞くと、ギルド長は
「先日大量に討伐してもらったツラーオだが、そのボス的な存在である中型のモンスター、オオツラーオというモンスターを討伐してほしいのだ」
と言った。
そして
「オオツラーオはツラーオよりかなり大きく、また、大きい割に動きが素早いので、王都の傭兵たちでは歯が立たないのだ。危険な任務ではあるが、何卒頼む。報酬は六千ジロだ」
と言って、ギルド長は頭を下げた。
ホントにこの人、お堅いわ…
「わかったにゃ。オオツラーオはツラーオがいるあたりにいるのにゃ?」
私の言葉に
「うむ。群れを引き連れていることもあるので、重々気を付けるように」
とギルド長は言った。
ツラーオの肉はおいしかったけど、あれより大きいなら大味かな~…と私はオオツラーオの味のことが気になった。
なんかもう、どんなモンスターも、その肉が食べられるかどうかが気になるようになってきた。
でもまあとりあえず、倒してみないことには話にならない。
「んじゃ、行ってくるにゃ!」
と私が村のみんなに言うと、
「はいよっ!行こうぜ!」
カールさんが荷車を引っ張ってきてくれた。
もうすっかり、カールさんは相棒みたいになっている。
私はバーサさんからもらったベリーをふたつポーチに入れて、カールさんと一緒に村を出発した。
いつも通りカールさんには東門を出たあたりで待っててもらって、私は長い坂を登りながら、鼻を上に上げて匂いを嗅ぐことに集中した。
ツラーオの匂いは…ない。
なんだか静かすぎる。
ツラーオの声も、鳥の声もしない。
足音を立てないように、後ろ脚の肉球でそーっと忍び足で歩きながら、常に風下にいるように気をつけて、私は歩を進めた。
東門から出て坂を登り切ったあたりは、前にツラーオの群れを討伐した丘で…そこにそいつは、一頭で立っていた。
ツラーオと似た姿だけど、ウロコが青く光っている。
そして、ツラーオよりずっと大きい…これがオオツラーオだろう。
ツラーオより脚も太いので、たくさん肉が取れそうだ。
もしかしたらツラーオよりおいしいかもしれない。
オオツラーオの肉のことを色々考えた後、私は深呼吸してから四つ足でダッシュして、背中の武器を抜いた。
オオツラーオは私に気づくと、さっと横に動いて私の攻撃を避けてから、上を向いて
「ギイッギギイッ!!」
と大きな声を上げた。
すると、ツラーオたちが四頭、どこからともなく現れた。
なるほど、取り巻きを呼んだんだ。
さあ、どうしよっかなー…全部いっぺんに相手にすることはできないし…と考えて、私はツラーオを先に倒してから、オオツラーオを倒すことにした。
ツラーオを一頭倒すと、思った通り他の三頭のツラーオは、倒れた仲間を食べ始めた。
私はその隙を突いてオオツラーオの脚に斬りかかったけど、オオツラーオはツラーオみたいに簡単には倒れない。
オオツラーオの脚は太いぶんだけ、ツラーオよりしっかりしてるようだった。
ひと太刀でダメならもう一回!と、私はオオツラーオの脚に再び斬りかかった。
その一撃でオオツラーオがちょっとよろめいたので、もう一回!と私はまたオオツラーオの脚に向かった。
だけど私の攻撃は避けられて、私はオオツラーオの大きな足に踏みつけられてしまった。
「離せにゃ!」
私は必死で体を動かそうともがいたけど、全身を踏みつけられていたので、武器を振り回すことができなかった。
もがいてももがいても動けない私を踏みつけたまま、オオツラーオは
「ギッギッギー!!」
と、勝ち誇ったような声を上げた。
するとその時、もがく私のポーチから、ベリーの実がひとつ転がり出た。
私は武器から手を放して、ベリーの実をつかんで口元に運び、皮ごとガブガブと食べた。
途端にすごい力がみなぎってきたので、私はオオツラーオの脚をつかんだ。
そして思いっきり、オオツラーオを振り回して地面に叩きつけた。
「ギャオッ!!ギャオオッ!!」
叫び声を上げるオオツラーオを二度三度と振り回しては地面に叩きつけていると、
「ギィ…」
という小さな声を残して、オオツラーオは動かなくなった。
さっきまで仲間を食べていたツラーオたちは、ボスが倒されたからか、走って逃げて行った。
これでもう大丈夫だろう。
私は転がっていた武器を背負い直し、オオツラーオを頭の上に持ち上げて、走って坂を下りた。
「モモちゃ…お、おおお?!」
荷車の所で待っていたカールさんは驚いて声を上げた。
「だ、大丈夫かい?そんな大物持って…」
おろおろするカールさんに、私は
「オオツラーオはツラーオ三頭より重たいにゃ。荷車に載せたら荷車が壊れるかもしれないから、このまま村まで私が持ってくにゃ」
と言った。
マジでこれを載せたら荷車は壊れるだろうな…と思うぐらいにはオオツラーオは大きくて重かった。
空の荷車を引くカールさんの先に立って、私がオオツラーオを運んで行くと、村のみんなは絶叫した。
かわいい仔ネコが恐竜を運ぶ図…確かに絶叫ものだろうな…
あけましておめでとうございます…と同時に第2章開始です。数年ぶりに初日の出をベランダから見たので、じっくり見つめてたらその後目がおかしくなりましたw←




