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第6話 ギルドでの報告と波紋

依頼を終えた俺とリナは、夕刻の冒険者ギルドに戻ってきた。

大広間には既に冒険者たちが集まり、酒を片手に喧噪が広がっている。

「おい見ろ、カイだ」

「ゴブリン退治に行ったんだろ?」

俺の姿を認めた瞬間、ざわめきが走った。

どうやら既に“Bランクの新人”の噂は、ギルド全体に広まっているらしい。

受付嬢がカウンター越しに微笑んだ。

「カイ様、お帰りなさいませ。依頼の結果はいかがでしたか?」

俺は依頼票を差し出し、簡潔に答える。

「ゴブリンは殲滅した。村人も無事だ」

「す、殲滅……!?」

受付嬢の声が少し裏返る。

その瞬間、周囲の冒険者たちもざわつき出した。

「十匹以上の群れだって聞いたぞ!?」

「殲滅って、そんな簡単に……」

俺は無言で依頼達成の証拠――黒焦げのゴブリンの牙を並べる。

受付嬢は目を見開き、やがて深々と頭を下げた。

「確かに確認いたしました。依頼は、完了です」

その場に、静寂が落ちた。

だが次の瞬間――

「おいおい、まさか本当にやりやがったのか!?」

「嘘だろ……新人のくせに……」

驚愕と嫉妬が入り混じった声が飛び交う。

そこへ、一人の冒険者が立ち上がった。

昨日、試験場で俺を罵っていた男だ。

「調子に乗るなよ、カイ! どうせ村人に手伝わせたんだろ!?」

「証拠は目の前にある」

俺は冷たく言い返す。

「はっ、そんなもん信じられるか! 俺は見てねえんだ!」

苛立った声が広がる。

その時、横にいたリナが一歩前に出た。

「見てました! カイが、一人で全部倒したんです!」

「なっ……!?」

冒険者たちの視線が一斉にリナへ向く。

彼女は真っ直ぐに言った。

「私、リナ=ハーヴェイ。冒険者志望です。……カイは、私を守ってくれました。誰も信じなくても、私が証人になります!」

凛とした声に、大広間は静まり返った。

やがて、誰かが小さく呟く。

「……本物か」

その呟きが波紋のように広がり、冒険者たちの目が俺を見る。

恐れ、羨望、そして――認めざるを得ないという視線。

俺は受け止め、静かに言った。

「信じるか信じないかは勝手だ。ただ……俺の力はもう隠すつもりはない」

その言葉に、ざわめきがさらに大きくなる。

一方で、リナが横に立ち、真剣な表情で俺を見上げていた。

「カイ……私、あなたの弟子になります!」

「……は?」

「冒険者になるために、強くなりたいの! だから私を鍛えて!」

その宣言に、冒険者たちが一斉に騒ぎ出した。

「弟子だと!?」

「女の子を弟子にするのか!?」

「いや、そもそも弟子入りしたいって……どういう関係だよ!?」

勘違い混じりの声で大広間は大混乱。

俺は頭を抱えながらも、ふと笑みをこぼした。

「……勝手に決めやがって」

だが、不思議と悪い気はしなかった。

その夜。

ギルドの掲示板に、一枚の新しい依頼が張り出された。

内容は――

【近隣の廃遺跡に魔物の気配あり。調査を求む】

俺とリナの視線が同時にそこへ向く。

「次は、これか」

「うん、一緒に行こう!」

こうして俺たちの冒険は、次の舞台へと広がっていった。

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