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第2話 無能と笑った奴らの末路

「……う、嘘だろ……」

誰かが呟いた。

炎、水、風、土、光、闇――六属性の魔法が訓練場に跡を残していた。

瓦礫と焦げ跡、凍りついた地面、光の残滓。

まるで戦場のような光景に、誰もが声を失っている。

「六属性同時発動……そんなの、聞いたこともない……!」

蒼白な顔で試験官が呟いた。

「お、おかしい……魔力測定ではゼロのはず……」

「ゼロ? あれで?」

見物人たちがざわめく。

さっきまで俺を笑っていた受験生たちも、唖然と口を開けている。

「……カイ……お前、最弱じゃなかったのかよ……」

俺を散々嘲笑っていた同郷の青年、リオンが青ざめていた。

つい先ほどまで「無能」だの「役立たず」だのと罵っていたくせに。

俺は彼を見て、静かに言った。

「最弱? それはお前らが勝手に決めつけただけだ」

リオンの顔が引きつる。

「そ、そんなはずない……! だって、いつも魔法を失敗してたじゃないか!」

「失敗してたんじゃない。俺には“測定器では測れない力”があった。ただ、それだけの話だ」

ギルドの試験官が震える手で俺に向き直った。

「き、君……その力は……一体……」

俺は答えない。

《世界樹の加護》のことは、今は口にすべきではない。

だが、俺の魔法が本物であることは証明された。

「試験結果を……訂正する」

試験官が声を張り上げた。

「カイ=アーデン――合格どころではない! 特例により、Bランク冒険者として登録する!」

「Bランクだと!? いきなり!?」

「馬鹿な、前代未聞だ!」

会場がざわめく。

俺を無能と笑った者たちは、ただ呆然と俺を見上げるしかなかった。

「……覚えておけ」

俺は一度だけ振り返り、冷たく言い放つ。

「最弱と馬鹿にした代償は、これから嫌というほど思い知ることになる」

リオンの顔から血の気が引いていくのを横目に、俺は試験場を後にした。

――これが、俺の物語の始まりだ。

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