お兄ちゃんに会いに行く前の妹の死神さんのお話‥
このお話は死神さんの視点のお話です。
「ねぇ‥また見てるの?ブラコンなの」
「うるさいわね?貴女の心臓をこれで抉るわよ」
私は水晶に映る‥兄を見ていた。
私は死神‥いつ死神になったのか、いつこの世界に産まれたのかは、忘れたけど、この水晶に映る、彼は確かに私の兄だ‥
「ロゼもさぁ‥家族にこだわらないで、もっと気楽にジャンジャン、魂送りなよ!」
この子は私の友達のダイア‥同じ死神仲間、体型や顔でわかるけど、私と同じ、女の子だ
「私、お母さんとお父さんと約束したの‥貴方のお兄ちゃんは、少し頭の発育が遅れていて、きっと社会で苦労するから、見守ってあげてねって言われたの、、だから私が見守ってるの、、」
「えっとロゼのお母さんとお父さんって‥」
「私がお腹で亡くなって、すぐに、お母さんとお父さんが交通事故で亡くなったの‥それで、お兄ちゃんだけ、生き残ったの‥お母さんとお父さんの霊を送ったの私だから、お母さんがお兄ちゃんの事を気にしてた。あの子は泣き虫だからって、、」
そう兄は泣き虫だった。私の前で偉そうにマクドナルドのポテトフライを良いだろうと、自慢してたり、学校で起こった事を話してくれたり、習ったダンスを披露してくれてたり、頼もしく見えていた。でも!お母さんとお父さんが亡くなった後、部屋で1人で泣いてるのを、何度も水晶で見た。今すぐ、抱きしめたかった。私に声をかけ続けてた兄に恩返しをしたい。私が産まれてくる事を楽しみにしていた、兄に、、、
「ロゼ‥泣いているの?」
「私も人間として産まれたかったなぁって」
「人間として、産まれてたら‥お兄さんと‥?」
「ふふふふ。」
兄には元気でいてほしい‥まだ死なないで欲しい、現実世界で、幸せな結婚をして、たくさんの子供を育て、生涯を全うし、私は迎えに行くんだ‥それで、感動の再会を果たすの‥
だが、それとは裏腹に兄は仕事をやめ、体は衰弱をしていき、すべてのライフラインが止まった。もしかして、、
遂に。。
「ロゼ‥お前に仕事だ‥」
「あ!神様‥今日も髭を剃らないんですか?」
「神様として、威厳を持ちたいからな‥普段、気が弱い神様なんていたら、いやだろう?」
神様は気が弱い‥困ってる人を放っておけない、菩薩の人みたいだ、神様だからね、
仕事の用紙には、吉川葵と書かれていた。その横に、日付が書かれている。さらに詳細の欄には、
孤独死‥死因‥自死とある。
「お兄ちゃん‥そんな死ぬだなんて、しかも、明日‥」
「ロゼ‥悲しいけどそれが現実なんだ、彼はどうやら発達障害で、鬱病になってるみたいだ、」
「神様‥どうすればいいの?私はまだお兄ちゃんに生きて欲しい‥人生の楽しみを見つけてほしい、」
「ロゼ‥お前の役目は、この吉川葵君の魂を私の元へ運ぶ事、、それ以上でもそれ以下でもないよ」
うん?てことは、期限がないってこと?
「神様‥期限はないの?」
「死ぬ準備が整い次第‥って事かな、私は神様だ、この魂を自由に出来るのは、死神の特権だ、存分に準備をしてから、私の元に連れておいで、」
なんて寛大な神様なのだろーか、早速人間界に行かねば、だが、いきなり妹ですって言っても信じてもらえないだろう。
ここは淡々と事を進ませねば、
お兄ちゃんのためなら、何だってする。ご飯だって用意するし、飲み物だって用意する。この自慢の金髪だってお兄ちゃんが触りたいって言えば、触らすし、彼女が出来た事ないから、私が彼女になってもいい。
お兄ちゃん‥待っててね‥。