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エピローグ:名もなき剣士たち
足跡が三つ、平原に並ぶ。
旅路の始まりを告げるには、少しだけ頼りない背中だったかもしれない。
だが、そこには確かに──誰かを信じる意志があった。
ひとりで戦うより、誰かと進む方が怖い。
それでも剣を握ったのは、あの日、孤独の中で掴んだ温もりがあったから。
名もなき剣士。
誰にも知られず、記録にも残らないかもしれない。
それでも彼らは、今日も前を向いていた。
──この平穏が、嵐の前の静けさだと気づくのは、もう少し先のことだった。
そして、物語は次なる章へと歩き出す。




