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名もなき剣士12:三人の剣、交わるとき1

リグナ=バスト冒険者ギルド本部。

掲示板の前に立つ三人の姿は、周囲の視線を集めていた。


「ねぇ、これ、どう思う?」


ライナが示した依頼書には、こう記されていた。


 『依頼内容:西方平原に出現した魔獣群の鎮圧』

 『推奨ランク:A級以上、またはB級三人以上』

 『備考:大型個体の存在報告あり。拠点周辺に被害拡大の恐れ』


「三人で、やれるか?」


レオンの問いに、ライナがにっと笑う。


「やるしかないっしょ」


カイルも無言で頷き、依頼書を掲示板から取るとカウンターへ向かう。


「……あの依頼か。お前ら、本気で行くのか?」


ギルドカウンター越しに顔を出したのは、ギルドマスターのグレイムだった。

表情に笑みはない。視線には、確かな緊張があった。


「西方旧街道、今は廃れてるが……かつて戻らなかった奴もいる場所だ。

 “数が多い”とか、“何かいる”って噂も聞こえてきてる」

「……引き受ける。俺たちなら、行ける」


レオンの短い言葉に、グレイムはふっと息を吐いた。


「あぁ、そうだな、俺もそう思ってる。だから止めねぇ。

 ただし、“やばい”と思ったら……そのときは引け。絶対に戻って来いよ」



出発の準備を整えた三人は、朝焼けの中、街を後にする。

道中、冗談を交わしつつも、どこかに緊張感があった。


目的地に到着すると、地面は削られ、獣の足跡が無数に残っていた。


「……この踏み荒らし方、かなりの数がいるな」


カイルの観察に、レオンが頷く。


「ライナ、索敵頼む」

「任せて!」


ライナが目を閉じ、周囲の魔力の流れを探る。


「……五、いや、六体。しかも、大きい、なんか変なのが混じってる!」


そうしている間にも、獣たちが姿を現し始めた。


「来るぞ!」


レオンが剣を抜いた。


三人の影が、朝の光の中で交差した。

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