表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/62

名もなき剣士4:共闘の予兆

北西にある旧鉱山地帯へと続く道は、乾いた風と岩肌の斜面が続く単調な景色だった。

レオンとライナは、ほとんど言葉も交わさずに足早に歩いていた。


「……っていうかさ。アンタ、名前くらい教えてよ」


歩きながら、ライナが隣をちらりと見やる。


「パーティ組んでるのに、名前知らないってどうなのさ。アタシはライナ=フェリルだよ」

「……レオン」

「名字ないの?」

「……レオン=グランヴェールだ」

「ふーん、レオンね。よろしく!」


それだけ言って、ライナは前を向いて笑った。



「そういえば、レオンってどんな戦い方するの?」

「速さより重さ重視の前衛だ。武器は剣しか使わない」

「ふーん。あたしは脚技系。跳んで、蹴って、たまに魔力込めたりね!」

「魔術も使うのか?」

「主に感応系かな。気配読むのは得意だよ。

 相手の“殺気”とかわかるタイプだし、罠とかも得意だよ!」

「……なるほど」


その会話は、どこか探り合いのようでもあり、確かに“連携”の下地を築きつつあった。



岩壁沿いの細道を抜けながら、ライナはひょいひょいと先へ進んでいく。


「足場、悪いねー……おっと!」


そのとき、レオンがぴたりと足を止めた。

視線は、岩陰の裂け目に向けられている。


「……待て。今、何か音がした」


数歩先にいたライナが振り返る。


「なに? 獣の気配は感じなかったけど……?」


レオンは答えずに周囲を見渡し、しばし沈黙する。


「……いや。まだ断定できないが──警戒はしておけ」



やがて、二人は鉱山跡の入り口へと辿り着いた。

崩れかけた坑道は、岩と土に覆われ、人工の構造がかろうじてわかる程度だった。


「前にも誰か来た痕跡がある。……でも、妙だな」


レオンが地面の足跡と斜面の擦り跡を確認する。


「感応展開っと」


ライナが目を閉じると、微細な魔力の“流れ”が視界に浮かぶ。


「……うわ。魔力の痕跡、濃すぎ。しかもこれ、普通じゃないよ」

「報告にあった通り、“異常個体”の気配がするな。今まで以上に周囲を警戒しよう」


その言葉と同時に、坑道の奥──

闇の向こうから、重く湿った息遣いのような音が聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ