表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/62

名もなき剣士3:牙を隠した少女

ギルドの掲示板前に、人だかりができていた。


「また西方鉱山跡の調査依頼かよ。前回行ったやつ、やばかったって話だぜ?」

「今度は“調査”だけらしいけどな。報告書には“異常個体の可能性あり”って書いてあった」


人々が噂する中、レオンは無言で掲示板の前に立ち、一枚の依頼書目を止めた。


 『目的地:西方鉱山跡の探索および調査』

 『推奨ランク:B級以上。複数人推奨』

 『備考:過去に“クレクナス”と名付けられた異常個体の生息域。

     討伐成功例なし。接触時は無理を避け、即時撤退を推奨。』


レオンは依頼内容を一瞥し、紙を外して手に取る。

その様子を見ていたライナが、ひょいと身を乗り出してきた。


「その依頼、アタシも狙ってたんだけどさ……アンタ、一人で行くの?」

「……問題あるか?」

「いや、別に? ただ、B級ってのは“連携前提”の案件だからさ。

 どーせなら一緒に行かない?」

「……俺にメリットは?」

「そりゃ、アタシが戦えるってことだよ! 強さは保証する」


レオンは小さくため息をついた。


「……好きにしろ」

「よっし、決まり!」


ライナは嬉しそうに拳を握りしめ、そのまま軽やかに受付へと駆けていく。


「──すみませーん! この人と組んで、依頼受けまーす!」



「……おい、無茶すんなよ」


低く渋い声に、ライナは足を止めた。

ギルドカウンターの奥、ギルドマスターのグレイムが腕を組んだまま目を細めている。


「べっつに無茶しねーっての。ちゃんとやるよ」

「……お前、昔から顔に出るタイプだし、すぐ無茶するからな。

 仲間になるなら、ちゃんと相手と向き合え」


一瞬だけ、ライナの目が揺れる。


「……うっさいな。オヤジは黙って見てろっての」



こうして、名もなき剣士と、牙を隠した少女の共闘が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ