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男装を強いられ男として生きてきた公爵令嬢は、2回目の人生はドレスを着て、令嬢ライフを謳歌したい  作者: 江本マシメサ
第二章 ヴィルオルとの再会

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授業のはじまり

 翌日からさっそく授業が始まった。

 魔法科はその名の通り、魔法についての基礎を学ぶ。

 通常、魔法を学ぶ学校は六年くらい通うものの、この学校はたった二年である。

 そのため、座学と実技がぎゅうぎゅうに予定されるらしい。

 私は前世で魔法について習っているものの、他の人達はまったくの初心者である。

 皆、遠い眼差しで年間予定を聞いているようだった。


「今日はひとまず魔法史を記憶していただいて、最後にちょっとした試験を行います。では、始めますね」


 白髪頭に長い髭を生やし全身を覆う外套をまとった教師は、いかにも魔法使いという風貌であった。

 本日の授業内容について告げたあと、黒板に魔法の歴史をどんどん書いていく。

 説明など皆無で、手を休めることなくすらすら書いていった。

 約千年分の魔法の歴史を、黒板一枚にぎゅっとまとめられ、それらを記憶する。

 なんとも力業な授業内容であった。

 人生二回目の私は、一回目の人生で魔法史をしっかり学んでいる。そのため復習するような気持ちで受けるばかりだった。

 他の生徒は、皆、苦悶の表情を浮かべていた。

 最後に行われた試験は、簡単なものだった。採点も魔法でするので、すぐに結果がわかるという。範囲があまりにも広すぎるため、平均点は悪かったそう。


「非常に残念な結果ですが、一人だけ満点の生徒がいました。ユークリッド・フォン・リウドルフィング――すばらしい!」


 まさか皆の前で発表されるとは思っていなかった。クラスメイトからは畏怖の目で見られてしまう。少し手加減したらよかった、と後悔したのだった。


 平均以下の生徒は、昼休みに補習、放課後に再試験となるようだ。

 フローレスは頭を抱え、「なんで私がこんな目に!」と苛立った様子を見せていた。


「ユークリッド、あなたはどうしてあんなにいい点数を取れたの?」

「いや、私はその、家庭教師に魔法を習っていたんだ。だから、今日の授業は復習みたいなもので」

「そんな羨ましい状況だったんだ」


 休み時間に教えてあげようか、と言ってみるも、プライドが高いフローレスは自力で勉強したいと言う。

 手持ち無沙汰となってしまったが、昨日、仲よくなったリリスを初めとするクラスメイトが教えてほしいというので、皆で魔法史を学ぶこととなった。


 昼休みになると、皆、カフェテリアに移動し食事の時間となる。

 カフェテリアは天井が吹き抜けで、開放感のあるオシャレな空間だった。

 ここでは二百種類以上ある料理から好きなだけ取り分け、テーブルに運ぶブッフェ形式の食事が提供されている。

 焼きたてのパンに魚のフリット、牛テールシチューにオムレツ、キノコのテリーヌ――好きな料理ばかりで目移りしてしまう。どれもこれもとどんどん食べていたら、ドレスが入らなくなりそうだ。ほどほどにいただこう。

 騎士科の生徒達はたくさん食べるようで、トレイに載った料理は山盛りだった。

 魔法科の生徒はわかりやすく小食傾向である。女子生徒だけでなく、男子生徒も。

 フローレスはそれで足りるのか、と心配になるくらい食べない。


「それだけでいいのか?」

「ああ、これでも多いくらいだよ」


 まさか成長を止めるために制限しているのではないか、と思った。

 けれどもフローレスは本当に小食のようで、最後らへんは苦しそうだった。


「もうダメ。食べきれない」

「だったら、残りを貰ってもいいだろうか?」

「まあ別にいいけれど、まだ食べたいんだったら、これじゃなくて新しいのを取りにいけば?」

「いや、食べるのは私ではなくて」


 私は食卓にリーベを召喚する。待っていましたとばかりに登場した。

 リーベは寮に残ってお留守番しているのだ。用事があれば、使い魔なのでこうしてどこでも呼びだすことができるのである。


「リーベ、フローレスが食事を分けてくれるらしい」

『ぷーい!』


 リーベは嬉しそうにトレイの上にあったサラダを食べ始めた。

 一応、使い魔は学校側に申請し、寮や校内への滞在や出入りも許可されている。

 食事もカフェテリアを利用してもいい、と許可が下りていたのだ。

 リーベはフローレスが残した料理をあっという間に平らげ、追加でサラダを運んでくる。それも嬉しそうに食べてくれた。リーベのお腹がぽっこり膨らんだ様子は、愛らしいとしか言いようがない。


「リーベ、このあとはどうする?」

『ぷう!』


 リーベは私の肩に跳び乗り、襟巻きのように首に巻き付いた。

 一緒に過ごしたい、という意思を示してくれた。


「フローレス、君は補習だったか?」

「そう、もう嫌!」

「頑張ってくれ、応援している」


 私は図書室で調べ物をするつもりだ。

 途中でフローレスと別れ、私はリーベと一緒に図書室に向かうこととなった。 

 

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