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星読みのシュナ。家族に捨てられましたが、もふもふと出会い幸せになりました。  作者: 四季 葉
第2章 灰色のもふもふ

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~閑話~ シュナがいなくなったその後で(6)

 

 「こ…これは勇者御一行様ではありませんか。ご無事だったのですね」

 「心底残念そうな口調だな、族長」

 「いえ…そのようなことは…」


 機嫌を損なわないように出迎えた父さんを、勇者は冷たく見下ろしていた。


 実際、父さんもそれに僕だって…こいつらがまた来るとは思ってはいなかった。雪山で遭難し、とっくの昔に凍死しているとばかり思っていたのに。どこまでも腹立たしい。目障りな連中だ…!


 これが普通の冒険者だったら、口封じをしてからその辺の雪山に捨てていたのに…それもできないのだ。こいつらは化け物だ! 前回、一族でも選りすぐりの魔法の使い手たちが同時に攻撃をしたのに、一瞬で叩きのめされたのだ。一番か弱そうな見える聖女だってどれほどの実力を持っているのかまったくの未知数。はっきり言って不気味な気配すら漂っている。そのことを考え前回と同じ手を取るのは悪手。

 ここは条件を呑むふりをして適当にあしらい、早々にこいつらには帰ってもらうしかない。というのが父さんの考えだろう。


 「こ、今回はどのようなご用件でこちらに?」

 「そんなこと言わなくとも、族長であるお前が一番よくわかっているんじゃないのか?」

 「くっ……!」


 勇者の冷たい問いかけに、父さんは悔しそうに歯を噛みしめていた。


 「まあまあ、二人とも落ち着いてください。我々はあなた方に喧嘩を吹っ掛けに来たわけではありません。平和的に話し合いをしたいと思ったのです。これは、本当に不躾ながら我々からのお願いなのですがよろしいでしょうか?」

 「ど、どのような内容でしょう…」


 丸メガネを掛けた魔法使いは、胡散臭そうな笑顔を浮かべニコニコしている。もちろん僕たちに拒否できる権利などない。これは暗に脅しているのだ。


 「はい。実は前回、我々はシュナくんを探してミケーネ山に登ったのですが、残念ながら見つけることはできませんでした。そこで、この山に詳しいあなた方一族の力を貸して頂きたいのです」

 「つまり、我々にどうしろと仰るのですか?」

 「そんなに難しいことではありません。あなた方、一族総出でシュナくんを探して頂きたい。まだ、生きている可能性があるのなら我々は見つけてあげたいと思っています」


 そんなの生きているわけなんだろ! つまり僕たちに対する嫌がらせなのか、それともシュナの生死をはっきりとさせたいのか、こいつらの考えが正直わからない。

 それは父さんも同じなのだろう。しかし拒否などできない状況で父さんは声を絞りだすように。


 「……わかりました」


 苦々しくそう答えたのだ。

 それから、動ける大人たち総出でミケーネ山の隅々までシュナを探したが、予想通りと言うべきだろうか、シュナを見つかることはなかったのだ。

 ただ生贄を捧げる洞窟内で…血がつき、ボロボロに引き裂かれた贄の子供が着る上着が見つかっただけだ。

やっぱり魔物に引き裂かれてシュナは死んでいた。

 始めは、あいつがいなくなって心から良かったって思っていたのに、今はそれどころか苦々しい気分が広がっている。

 万が一生きていればすぐにでもシュナを、こいつらに引き渡して事なきを得ていたのに、死んでいたら元も子もないじゃないか! このままでは星読みの一族は咎を負うことになる。勇者たちの証言で、帝国が動きなんらかの罰を負わなければいけないかもしれない。

 ほんと…最後まで使えない奴だ!! 僕の兄だったらもっと役に立てよ! 僕の心には腹立たしい気持ちしか残らなかった。

 父さんは、一族総出でシュナを散々探したが見つからなかったことを、あいつらに伝えていた。


 「そうですか…。可哀想なことをしましたね。もう少し早く私たちがここにたどり着いていれば助けられたかもしれないのに…悔やんでも悔やみきれません」


 魔法使いはそう言うと静かに目を伏せていた。けど、僕たちを見るとにっこり微笑んだのだ。



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