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一つ。目

ちょっと裏の設定を更新および深めたりしたから、描写が変わってくるかもしれない。申し訳ない。

夢という言葉は決して希望などではない。そんな事を言うようになったのはいつからだっただろうか。


世界のいろんな場所に夢というものが侵食してきてもう二千年になる。その夢に由来する技術が発見され、人類はその危険を顧みずその技術を求め夢を見た。その結果がこれだ。始まりは、町一つ程度の範囲しかなかったらしい。でも、今や夢は国と同じ意味の単語としても扱われている。


イメージの問題なのか、夢はなぜだか色で呼ばれる。そして、夢にはそれぞれ王、皇帝、君主・・・まぁ、いろいろ言葉があるが、統治者やそれに準ずる者が存在している。その一人がこの俺、ヴィータ・"アメジスト"という男だ。そんな、俺はなぜか、青の夢を取り仕切る王として祭り上げられてしまった。


ああ!ふざけるな!誰が好き好んで統治者などをする?業務内容を知らないままに、なれと言われて上司になる側の気持ちを考えてほしいものだ。生まれてすぐの赤子の腕に夢の政治全権を与えるとか言われてもそういう仕組み作ったヤツ絶対バカだろ。物心つく前にすでに王として即位するなんて御伽話ですら聞いたことがない。王としての責任を齢0才の赤子に任せる体制がそもそもおかしいだろう。


王権は、ある魔法の使用権である。それが時間を戻す魔法である。指定した範囲の時間を巻き戻すという魔法は、最も古い青い夢ができてから今に至るまで魔法使いが実用的範囲で用いることができない魔法だ。王の責務とは、その魔法によって問題を解決すること。例えば、色どうしでの戦争が起きたと聞けば、戦争が始まる前かその火種ができたころにまで遡り原因を断つ。しかもその責任が生まれてすぐに背負わされるわけだ。だから嫌なんだ。


俺は生まれてすぐから王だった。それはわかって頂けただろう。俺は、エノプロウラ・レトレリーという古魔術師に連れられ、王として青に戻らなければならなくなった。


「それで、この通路はなんだ?」


エノプロウラは答えない。俺の前を先導するように歩くエノプロウラは一言も言葉を発さず、礼を正しながら歩き続けている。つくづく古魔術師らしい。青の夢は絶対王政の夢として広く知れ渡っている。実際、王である俺の言うことは絶対だ。少し前うるさいから黙れ、と言ったからそれに従っているらしい。俺の質問は感嘆だと解釈されたのだろうか。正直、指一つで人を殺せるような奴の言葉なのだから、明確に命令しないと従う側は恐ろしいだけだろう。例えば、実際に今言った言葉が感嘆だったとして、部下が答えれば、黙れと言っただろうと罰される可能性もある。面倒だがしょうがない。


「答えろ、エノプロウラ。」

「よろしいので?」

「ああ、答えろ。」

「ここは緑の夢で作られた通路の一つでございます。ええ、はい。」


緑の夢は結構どこにでもあるありふれた夢の一つである。夢となる前の地図ではスラムだったようだが、治安は良く襲ってくるような人間や化け物も現実と変わらないほどに少ない。緑の夢では医療技術がよく発見され、いくつかの不治の病を治療できるようになった。ありえないほどに優しい夢でもある。それぞれは微弱で小さいものではあるが、世界囲む糸ように存在しており特定の手段を使えば通路のようにも扱える。その手段の一つは魔法である。


「外はどうなっている?」

「現在、新王一派の王敵は静寂を保っております。おそらくは待ち伏せでしょうな。」

「違う、赤の話だ。異常に干渉して俺を回収したんだろ?その異常がなんなのか聞いてるんだよ」


異常というのは夢の中心に近ければ近いほどに発生しやすい物だ。悪夢といってもいい。本来の内容よりも過激な内容へと変わったり、夢が発生する前の歴史を再現しなければ終わらないものだったりする。これのおかげで歴史家というのはほぼ意味をなさなくなった。だって事実起こった事象を体験することができるのだから。


赤の夢において、多い異常は『戦争』と呼ばれるものだろう。中世と呼ばれる時代の騎士階級やその下の兵士たちが大体2陣営に分かれぶつかり合う。本来なら、多くても30人程度しか現れない戦士たちが各陣営一万は超えようかというほどの大群で現れる。それぞれは弱いが、なんせ数が多い。だから、弱小だろうが強豪だろうが夢にかかわる公的組織であれば全員が導入される


「・・・これは?いや、見まがうはずもない。ですが、これは・・・」

「渋るな。包み隠さず言え。」

「ああ、はい。申し訳ございません。その、どうやら新規異常の様でございまして。事態の収集が付いていないようです。赤夢大研究所魔法隊が回帰を始めた模様です。」


俺はその言葉を聞いた瞬間に言った。


「戻る。そういう事なら、俺がやった方が正常化が早い。それのオリジナルは俺なんだから。」

「いえ、そうですが・・・その、私共は王の帰還を待っているのですよ?早くのお帰りが何よりも重要で・・・」

「回帰を使うのは良いが、それでどれだけの魔法使いが死ぬ?その損失と比べれば、俺の時間位は安いもんだと思うが」


回帰とは、本来王だけが扱えた魔法だ。解析され尽くし、王以外でもリソースを無視すればだれでも扱えるようになった。勿論、使うにはバカみたいな量の魔力が必要だから、魔法使いが5人がかりで1時間戻すのが限界だ。でもこれは理論上の最大だ。人にある魔力量は青の夢の中以外では制限されるから、もっと短くなるはず。具体的にはよくわからないが、それ以上の時間を戻すなら寿命が消費されて老化してしまうだろう。そもそも、そういった高等魔法を使うには最高級の才能が必要なわけで。その時間が失われてしまうなら、俺は喜んで時間を消費しよう。


「わかりました・・・王よ、早急に終わらせましょう。私も手伝わせていただきますから。お時間の消費は最低限にしてくださいませ。私達にももう時間がないのです。」

「・・・ああ。早急に終わらせる。」


(~~~~~)


道を戻り、赤へ入る。すがすがしいほどの青い空が世界に広がる。一目見て異常だとわかる。赤の空は赤いんだから。わかりやすく言えば、青い空が原色ままの緑になったのと同じくらい異常だ。そして、より異常なのは・・・


「落ちてる・・・空から」


俺は落ちていた。赤へ入った瞬間、俺・・・あーいや、エノプロウラがいるから俺達は空に出現した。


「おおおおおおおおおうよおおおおおお!!?」

「うるせえ!落ち着け!」

「老体には自由落下は辛いですうぅうううよおおおおぉ!」


そこまで怖がることないだろうに。確かに自由落下は関節の衰えた老人にはつらいだろうが、魔法使いなんだから飛べるだろう。いやまさか飛べないのだろうか。だがそうではなさそうだ。


「見渡せ!すでに回帰してるぞエノプロウラ!俺達()()()()()()ぞッ!」

「推定ですが10秒に一回、10秒の回帰でございます!地面との距離を計算いたしました、また重度の精神干渉です私が中和していますが持って10分でしょう。」

「補助助かる、ありがとう。回帰毎のカウントを頼む。」


次で決めるから、回帰が解除された瞬間に飛行魔法を使うためだ。落下死だけは避けなければならないし。エノプロウラは老練の魔法使いだから、その意図をくみ取ったのだろう。エノプロウラはうなずき、こう言った。


「承りました。では、3、2、1。」


見渡す、見渡す。上下左右を見渡す。空を見る、地を見る、地平線を見る、空を見る。太陽が消えている。空が青く、太陽が消えており、太陽があったところにはどす黒い黒点がぽつんとある。原因はあれだ。おそらくは太陽を戻せば、多少は解決するだろう。ただ距離が足りない。太陽を魔法で作れたところで、それを太陽のある位置まで飛ばすことはできない。魔法使いと神職が協力して魔法と奇跡を混ぜれば可能かもしれないが、今は神官が居ないし、そもそも彼らにとって異端たる魔法使いと協力するはずない。つまりは不可能だ。普通の魔法使いなら。


「10、9、8、7、6、5」

「でも、俺は(魔法)の王だ。」


黒点の位置を目で見て、占星術の授業でならった太陽間での距離を用いて直接太陽の位置に太陽を出現させる。日輪が強く光を発し、虹がその輪を囲む。虹の色がだんだんと失われて行き、その虹の色はそれぞれの夢の方角へと拡散して、太陽から戦場の陰鬱で赤血だらけの色が降り注ぐ。


「4,3,2,1、0!」

「飛ぶぞ!」

「はいッ!」


エノプロウラは腰のホルダーから本を取り出し、その2ページを破り破ったページに魔力を流し燃やす。俺は体内の魔力から魔法陣を作った。どちらも発動するのは重力を相殺する魔法と、浮力を得る魔法だ。前者で慣性を消し、後者で浮遊する。浮力を得る魔法は、空を飛ぶ魔法ではないが古い魔法使いは空を自由に飛ぶ魔法を嫌う事が多い。AT車とMT車の違いみたいなものだな。


「どうだ?解決したと思うが」

「回帰確認できません、成功です!」


回帰を命令していた奴らは異常事態を解決できたと判断したらしい。俺達が介入してから3分。多分回帰を行っていた連中は一週間寝込むくらいの時間だから、悪くない短さだ。これくらいの時間で解決できたことを喜ぼう。


「地上の様子を確認した後、報告書も研究所に上げてかないと・・・面倒だぁ・・・」

「私がやっておきます。これは私共も関係がないとも言い切れませんから、そちらはやっておきましょう。」


エノプロウラがそういうと、俺達はゆったりと降下して行く。取りあえず、無くなっていた太陽は戻せたようだけど、一応地上も確認すべきだから。戻ってくる選択をしたのは俺だ。面倒だから、いろいろついでにやっておかないと、部下たちに置手紙もしておかないといけないし後顧の憂いはさっさと断ち切っておくべきだ。


(~~~~~)


下が騒がしい。燃えカスみたいな瓦礫の山、そのそばに白衣の集団。そこから数百メードルほど近くに異常なほど赤い地面の中心に二人いる。ゴツイサングラスの男、それと細身の涙の柄の仮面をつけた女だ。


「今大勢の前へ姿を現されるのはあまりよろしくないかと」

「わかってる。できれば降りたくもないんだけど」


赤い地面の中心、その場所へと降りる。敵の出現とでも思われたか、こちらへの警戒をとり声すら出さない。にらみ合いの内に声を上げたのはエノプロウラと、ゴツイサングラスの男だ。


「ええ、こちらに敵意はございません。武器をお納めになっていただきたい」

「一仕事終えたばっかの俺達の前に急に知らねえ奴らが来たら警戒もするだろ?」


確かにそうだ。先ほどまで戦っていたのだろうし、勿論俺も急に知らないやつが現れたらそうするだろう。


「そうだろうな。でも敵じゃないからやめてくれ」


言葉聞いてもこいつら二人は構えを解かない。信用がないからか。俺は腰に付けたリボルバーを投げ捨てた。それを受けてゴツイサングラスの男は構えを解こうとしたが。仮面の女がそれを制止した。


「おい、ボンプ。コイツ・・・」

「?・・・あー・・・」


相手がたの方で納得されたようだ。だがそれは友好な雰囲気ではなく、こちらに向けられた敵意に近かった。これが大勢の方を選ばなかった理由だ。知ってた、俺が前に出ればそうなるだろう。だって、今俺を目標にした依頼が出てるから。仮面の女が言う。


「お前、青のとこの王だろ?生死問わずで依頼が出てんだよ」

「ああ、やはりこうなりましたか。王よ、私がどうにかいたしましょう」

「ターゲットがこうやって出てきたんだ、説明くらいしたらどうだ?機密扱いだかなんだかで、この煙草野郎何も話さなくてな」

「悪かったな・・・」


夢にいる人間らしいやり取り。でも仮面の内が鬼のようになってそうだ。俺は王だし、その暗殺だなんて依頼が来ればそりゃあ機密扱いになるだろう。でもただの地域の内輪もめ、俺がが王としてちゃんと責務を果たせばそれで終わる話だし、隠すような事があるだろうか。


「その件は解決いたしました」

「「「は?」」」

「ちょ、何でそっちの当事者も驚いてるわけ!?」

「あ?いや、何でそうなる!?」

「私がその依頼を出しましたので」

「確かに、上から依頼人の正体だの何も言われてねえし・・・青の人間がそう言うならそうなんだろうな」


おい、お前保護対象を生死問わずで探させるなよ。というか、俺は偽名も使ってないし、公的機関の事務所長としての住所も載ってるし青の人間なら名前だけでわかるだろう。来たければいつでもこれたはずだ。


「王よ、ハッタリです。」


エノプロウラはそう耳打ちしてきた。コイツ、そういう機転が利く奴だったんだ。もう少し古い頑固者だと思ってた。ハッタリが効いたのか、はたまたそういう魔法でもかけたのか警戒を解いたようだ。


「そういう事ならさっさと行ってくれよ。ちょっと煙草」

「ゴルァ!そういう場面じゃねぇだろボンプ!」

「今はそういう夢らしい会話する場面でないとわかってるでしょうに。礼儀が足りませんよこの二人は・・・」


そういえばこいつら見覚えがある。赤い夢の黒い仕事を大体やってるって噂のボンプという男、それと涙の燃える特異体質で有名なアーテレイアだ。こいつら凄い有名人じゃねえか。


一旦、俺が知っている情報を二人へ共有する。ついでに自己紹介も、予想通りの有名人二人だ。エノプロウラはまだ隠してる事が多そうだが、これで一応は良いだろう。


「できればでいいんだが、協力してくれないか?」

「協力?」

「依頼か?研究所を通さず?ありえねえ、個人の依頼は基本出来ねえって知ってんだろ」

「青の代表としての立場を利用させてもらう。王としての権限で依頼する、俺の下についてもらう」


いつもなら嫌う自分の立場を使った身勝手な依頼。基本的に俺の命令は誰も断れないし、自由を奪うものだ。俺は権力が嫌いだ。でも、今は手が足りない。俺の事務所のあいつらにはこういうことに関わってほしくない。彼らが、仕事の為に命を懸けるのは全然いい。あいつらならきっと俺を助けてくれるでも、俺の為に命を懸けてほしくない。自信過剰と言ってもいいがこれは確信だ。彼ら自ら誰かを選ぶなら、俺を選んでほしくない。初めてできた、ちゃんとした俺を見てくれる友人だもの。


「しゃーねえ。権力にゃ頭あがんねぇからな」

「はあ、そういうことなら良いぜ。話くらいは聞いてやるよ」

「不敬!不敬ですぞ!このお方が誰か既にお分かりのハズですが!」

「うるさい。しばらく黙っててくれ」

「はい。」


ここで、俺の目的について話しておこう。まず、俺は青の魔法使いの王である。で、俺は王としての責務を放棄して逃げたんで命を狙われてる。正直なところ、王権を譲れるならそうしたいが、生憎そういうわけにも言わない。十三家、いや十二家だったか、先代の王が死んだ瞬間に不幸にも生まれた十二の血族の人間にうつる。その瞬間に生まれなければ十二の血族内の誰か、どれだけ血が離れていようとランダムに王権が移る、(これは基本起らないようにされてるから忘れて良い。)だから、次の王が誰かなんてのは基本的に予測不可のはずなんだ。でも今、その問題を解決したのか知らないが新王派による俺の暗殺計画が進んでいる。とても自分勝手だけど、俺は死にたくないから、王としての責務を果たしに青へと戻らなくてはならない。魔法使いも一枚岩の集団じゃない、それを支援するといったのが今黙らせたエノプロウラの一派だ。どれだけ信用していいかわからないが、信用するしかない。俺には手札と時間が足りない。


ボンプは煙を吸いながら、考えこみ声を発さない。アーテレイアは仮面を取り、焼き崩れた顔を見せたこういった。


「臣下を連れてお偉いこったな。今似たようなのを殺したばっかだってのに」

「赤夢大研究所魔法隊がループさせてたのはそのせいか。確かにそういう前例は覚えがないな」


異常は確かにたびたび起こる。でも前例がないってのは本当に異常だ。赤の歴史は数千年もあるから、いつ新規が出てもも可笑しくないとは言っても、以上全体を時系列で並べた時に歴史が一時間単位でもう埋まっている。だから、新規なんてのはもうないと考えられていた。


「それで、青へ帰ろうとしてたアンタが割り込んで解決したんだな?」

「おおむねそれで良い。異常は解決しただろうけど、俺狙いの依頼が解かれたわけじゃない、数件あるらしいからな」

「つまりは、お前が赤を出るまでの護衛でオレ達を雇いたいってことだな?」


アーテレイアはポーチから傷薬を取り出し、顔へ塗り火傷がきれいさっぱりと消える。アーテレイアは察しの良い人間なのだろう、仮面を外した彼女と目が合った時に俺の目が物理的に焼ける心地がした。あるいはそういう体質なのか。そしてすぐ仮面を被り直したように見えた。ボンプが困りながら言った。


「あーそうだ。だって、それどころじゃない。これ報告書面倒だぞ?なんてったって新規異常何て40年ぶりとかだろ。絶対ここに居たって理由で上層部に呼ばれて事情聴取とかされるぜ?」

「大丈夫だろ。俺がいるし、そっちは問題ない。報告書もコイツが挙げてくれるそうだ」

「しばらく経ちましたので、肯定として言わせていただきます。心配無用にございます」


ということで、護衛二人と案内役一人を手に入れた。しばらくは移動が続くだろう。

一人称俺ばっかで見にくかったかこれ。

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