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不動の敗北ロディの覚悟

不動はハニーの腰を捉えてバックドロップの体勢に持ち込むが、彼女は持ち上げられた瞬間に素早く身を翻して回避し逆に不動の胴体に腕を回して極めると超高速で海へと落下していく。


「掟破りの不動倶利伽羅落とし~!」


可愛らしい声で技名を告げて容赦なく不動の脳天を海面へと叩きつける。


「ガハッ……」


不動は頭から流血し口からも血を吐き出して仰向けで海上に浮かび上がった。

完全に失神しており、彼のパワーの源である髪は真っ白となっていた。


スター流上位の実力者である不動仁王が技を切り返されて一瞬で倒される。

その衝撃の大きさに砂浜にいたメンバーたちは誰も動き出すことができない。


ロディは目の前の光景に微かに掌を震わせた。


上位陣の中でも最も前線に出る機会の多い不動が敗北した。夢でも幻でもない現実。


銃の腕前と不老長寿、多少の頑丈さを除けば凡人の自分が戦うにはあまりにも力不足だ。


しかし、それでも。


ロディは横に立つカイザーを一瞥する。


普段の威風堂々とした態度がすっかり影を潜めている。


やはり彼も人の子であり、身内、それも最愛の妹が敵に回ったのだから動揺もするだろう。


今自分がすべきことは何か。少しでも敵の手の内を探ることだろう。


どれほど無力だったとしても、行動すれば何かは変わるはずだ。


「お嬢ちゃん。えーと……ハニーちゃんだったかな? 俺と遊ぼうや」

「君は誰? 見たことないなぁ」

「ヘッ、じゃあ自己紹介してやるか。俺はロディ! 西部開拓時代の正義の保安官だ! 覚えときな!」


ロディは腰から銃を引き抜き挨拶代わりの発砲。

ハニーは発射された銃弾を人差し指と中指で楽々と掴んで挟み潰した。


「すごいでしょ。人間の武器では私は倒せないよ」

「へえ。やるねぇ。けどよ、倒せないってのは決めつけすぎだぜ。何事もやってみないとわからねぇじゃねぇか」

「力の差が圧倒的なのは誰がみてもわかると思うけど」

「わからないさ。すくなくとも俺には」

「君ってさ頭悪いんだね」

「ああ、悪いぜ。スター流でいちばんのバカだからなッ」


ふたりの間で激しい火花が散る。とロディは川村が愛刃の鞘に触れるのを目の端で捉え低い声で言った。


「お前は切り札だ。下がれ」

「しかしロディ殿」

「動くな」


小さくも力強い声に彼の覚悟を察し、川村は鞘から手を離した。


「それでいい」


ロディは微笑して頷くと再びハニーの方を向いた。

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