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勝ち目がなくとも李は戦う

地上に降りた私に李は優しく微笑んで肩に手を置いて言った。


「サソリンダはボクが倒すから、君は身体を休めていて。きっと戦う場面がくるから」

「李、あなたが彼女に勝てる見込みは薄いのよ。ヨハネスもムースも美琴も倒された。

どう考えても分が悪いわよ」

「わかってる。それでもボクが戦わないといけないんだよ。みんなが帰れなくなるから」

「あなた……」


私は言葉を飲み込んだ。これ以上否定的な言うのは彼女の覚悟に水を差すことになる。


「がんばって」

「ありがとう」


林だろうと森だろうとスター流のメンバーが決闘をするときはそこにリングが出現する。

スターやジャドウが魔法で出現させることもあるけど、地面から飛び出してくることもあった。

今回は後者で観客が私ひとりのなかで李は決戦場へと踏み込んだ。


三本ロープで囲まれたリング。堅いキャンバス。誰も介入することのできない決戦。

リングインしたサソリンダは上から下まで李を見て不敵に笑った。


「アンタも他の三人と同じようにすぐに倒してやるよ」

「それはこっちの台詞だよ」


三つ編みを揺らして李は踵を返した。自軍コーナーで軽く準備運動をして敵を睨む。

はくりと彼女の喉が唾と呼吸を飲み込む音がした。滑らかな肌に脂汗が流れている。


対峙するだけでも凄まじい圧力を感じるのだろう。


やがて、どこからともなく試合開始の鐘が鳴った。

木霊する鐘の音が響きを失ったとき、ふたりは同時に動いた。まずは蹴りの交錯。


ハイキックが打ち合う。


やや速度と角度が勝ってサソリンダの蹴りを落とした李は相手が怯んだ隙に喉に手刀突きを見舞った。

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