モグラ兵士たちとの闘うわ!
槍を手に襲いかかってきたモグラ兵士たちに満面の笑みを浮かべたムースは愛用の傘の先端を向けてエネルギー弾を機関銃のように発射して彼らの身体をハチの巣にした。返り血を浴びて白かった服が真っ赤なると彼女は笑みを深め優雅に一礼すると傘を閉じて手を前に突き出す。
「ソードボードクラッシャー!」
私とのスパーリングで開発した新技で兵士たちを剣の生えた分厚い板で押し潰して床を鮮血で染めていく。
竹を割ったような靴音を鳴らしながら前進するムースに対抗するようにヨハネスと李も前に出ると拳と蹴りでモグラ兵士たちを倒していく。
美琴はやはりというべきか兵士たちのうなじに手刀を当てることで戦闘不能にしていた。
彼女に向っていった兵士たちは幸運だろう。気絶させられるだけで命は奪われない。
とはいっても単純な威力がすごいから数日間は目覚めることはないだろうけど。
ここはヨハネスとムースに任せるつもりだったけど、外に出るためにはどうしても幾多の兵士たちを相手にしなくてはならなくて私も少しは戦うことになった。
ここで体力を消耗したら怪獣たちとの闘いまでもたないかもしれないけど、もしかすると敵の狙いはそれかもしれない。大量の戦力を動員することで私たちを疲弊させる。
だとしたら今はいかに少ない手数で敵を捌くかが重要になってくる。ムースは兵士から噴き出す血と断末魔で興奮して能力を使用しているけど、やたらと使えば体力はそれだけ消耗するからあとが苦しくなる。
忠告したいけれど彼女は玩具たちとの遊びに夢中になって私の言葉に耳を貸しそうには思えなかった。
このままじゃまずい。
そのときこれまで無言を貫いてきた星野が言った。
「みなさん、下がってください。彼らは僕が倒します」
彼の言葉に皆の動きが止まり、言われるがままに彼の後ろにいく。
星野は軽く拳を打ち出した。
するとレストランの窓ガラスだけでなく自動ドアのガラスも一斉に砕け散るほどの拳圧が放たれ、その凄まじさに兵士たちも吹き飛ばされて気絶していく。
突風が吹き荒れたみたいな衝撃に皆、唖然とするしかない。
残ったのは怪獣たちが待っている一本道だけだった。
つまり彼はたった一発のパンチだけで数百人の兵士たちを倒したことになる。
「今のは何?」
「ジャブですよ」
ただのジャブでこの威力……
もしも先のスパーリングでこれを放たれていたら私は命を落としていただろう。
改めて彼が尋常ではない戦闘力の持ち主だということを悟った。
彼は私に澄ました顔を向けて訊ねた。
「次はどうします?」
「そ、そうね。作戦を練り直しましょうか……」
「ですね。僕がムカデを相手にしますから、残りはみなさんでお願いします」
「わ、わかったわ。そうしましょう……」
「それではあとで合流しましょう。健闘を祈ります」
星野はそれだけ言い残すと背中から天使の白い翼を展開させて滑空すると、ムカデ怪獣に向かっていった。
「って……私たちもつれていきなさいよー!」
私の叫びは彼の耳には届かなかった。
どうやら徒歩で行かないといけないみたいね。




