スターとジャドウはいつも影でコソコソしているから嫌いね
スターコンツェルンビルの最上階ではスター=アーナツメルツがにこやかな笑みを浮かべてカイザーとの念による会話を終えて席を立つと窓から外の景色を眺めながら後ろ手を組んで側近のジャドウに言った。
「君の未来予想が事実なら、今回は途轍もなく厄介な戦いになるね」
「……未来は確定したわけではございませぬ。今から手をうてば最悪の事態は回避できるかと」
「地球の未来のためにもそうでなければならないね。だが、安心したまえ。策はある」
振り返ったスターが懐から取り出したのは六枚の券だった。
「これは……!」
驚愕の色を浮かべるジャドウにスターは目を輝かせて満面の笑みを浮かべた。
「商店街の福引をしていたら偶然このチケット――イーストウッド島への旅行券が六枚手に入ってね。我々はこの前夏休みを満喫したから代わりに残りのメンバーに休暇を与えてあげようと思っているのだよ!」
「さすがはスター様、寛大なるお心遣いさすがでございます。奴らもきっと喜びますぞ」
「それではジャドウ君。メンバーの招集をお願いできるかな?」
「ハハッ」
一礼し白いマントを翻すとジャドウ=グレイは靴音を鳴らしながら会長室を去る。
彼にとってスターこそが全てであり、自分よりもスターが優先される。
ジャドウは口元に浮かぶ笑みを抑えることができなかった。
慰安旅行というのは事実だが、その奥にあるスターの本当の狙いに気づいたのだ。
「相変わらずスター様は偉大なお方だ。だからこそ吾輩も仕え甲斐がある」
誰を招集すればスターが満足するか。主の思考の先を読み、欲望を満たす。
ジャドウの側近としての腕の見せ所である。