表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/52

ジャドウの本心!

スター流本部の自室に帰還したジャドウはマントを外して帽子掛けにかけると天井までびっしりと酒瓶で埋まっている棚から適当にひと瓶を取り出すとワイングラスに注ぐ。


血のように真っ赤なワインを並々と注ぎあふれ出ない程度で止めると杯を掲げてから一気に飲み干す。

策略をした後の酒はうまいというのが彼の持論だが、酒であれば銘柄にはさほどこだわりはなく、安い酒でも構わずに飲んだ。彼は口を拭いて目を細める。


スターがイーストウッド島のホテルへ向かわせたメンバーはジャドウにとって嫌悪していた者ばかりであった。ヨハネスは日々大量の食糧を食べつくすという意味で、酒以外の飲食はしないジャドウにとっては不愉快であったし、メープルは一度恋愛などという下らぬ理由で反逆した裏切り者である。


李と星野は特に悪感情は抱いていないが、いてもいなくても困らないぐらいの認識でしかなかった。

先のふたりに比べれば幾分かマシといった具合か。


そして、闇野美琴である。


流派に所属して日が浅い癖に才能をメキメキと伸ばして流派の実力者をゴボウ抜きにして、遂にはスターさえ敗北に追いやった。


スターが敗れた瞬間、現実を認識できなかったジャドウだったが、試合を冷静に振り返りスターは非常に長いブランクのあと、戯れに試合をした雰囲気で究極奥義こそ披露したものの遊びの範疇に過ぎないと考えるようになっていった。


つまり本気で挑んでいたならば美琴は赤子の手をひねるように倒されていたであろうと。


事実、スターは会長職を美琴に譲ると宣言こそしたものの、時期尚早として頂点に君臨している。

彼がトップである限り、ジャドウは安心だった。流派の創始者で自分を救ってくれたスターがいてこそのスター流で、たとえ彼に頼まれたとしてもジャドウは他の人物に仕える気にはならなかった。


だから今回の地下帝国の台頭は渡りに船であった。


帝国の軍団を島に向かわせホテルを襲撃させる。癒されている美琴たちは突然の襲撃は良い刺激であり試練だ。予想外の事態にも対応できる力が尽くし、誰かが倒されたらそれはそれで溜飲が下がる。


仮に全滅すれば美琴たちの仇討ちだのと適当な理由をつけて残りのメンバーの士気を煽って帝国を壊滅させればいい。利用するだけ利用して最後は滅ぼすのがジャドウの血も涙もない常套手段だ。


彼は何杯目かのワインを天井のオレンジ色の光にかざし、グラスに流れる雫をうっとりと眺めて低音で呟いた。


「しかしそれさえも、陽動にすぎない。本命はマックイーン島にある」


ジャドウは表情を険しくした。今回の敵は普通とは違う。総力戦で挑む必要もあるかもしれない。

決して落としてはいけない戦いだ。極端に言えば、地下帝国などどうとでもできる。


だが、この島に現れる敵は違う。ジャドウの額からつうっと汗が流れた。


続々と最強クラスの実力を持つメンバーがマックイーン島に集結しつつ気配を彼は感じていた。


もしもの時の為にとっておいたとっておきの酒瓶を取り出しコルクを外し、中身の半分以上を胃に流し込む。


こうでもしなければ気合が入らない。


「奴に会うとなると吾輩も正気ではいられぬ……」


ふと両手を見ると微かに震えている。冷気漂う部屋のせいか。それとも敵への恐怖か。


残った瓶を戻すとジャドウは戦局を把握すべく愛用の水晶玉を取り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ