表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/52

スターがカイザーに余計なことを話しているみたいね

時を同じくして。カイザーはスターと念でやりとりをしていた。


彼の営業しているパン屋は今日は休業しており、彼もリラックスしていたのだが、スターからの通信で警戒を強めた。彼から連絡が来るなど滅多にない。よほどの緊急事態が起きたかと緊迫する。


『いや、大したことじゃないよ。久しぶりに君と話がしたくなってね。どうかね、調子は?』

『体調に問題もなくパン屋の営業も順調です』

『それはよかった。たまには本部にも顔を出してくれるとわたしも嬉しいよ。ところで、カイザー君。これはもしもの話なのだがね』


スターは一旦言葉を切ってから、彼に訊ねた。


『ハニーちゃんが生き返ったらどうする?』


瞬間、カイザーは時間が停止したかのような錯覚を覚えた。

唾を飲み込み慎重に言葉を探し出す。


『あり得ない話ですが、もしも彼女が生き返ったならば彼女と共に過ごし、ヒーローとしてこの星を守っていきたいと思います。彼女の願いでしたから』

『うん。そうだったね。君の言葉を聞いて安心したよ。それでは、また』

『スター様ッ!』


呼びかけるも応答はない。念を終了させてしまったのだ。


最後の問いに何の意味があったのか。考えてみるも答えが出ない。


いつもの冗談か。深い理由があるのか、判断はできない。


彼は椅子から立ち上がると店の外へと出た。


空を見上げるとオレンジ色の夕焼けと共に薄く天に瞬く星々が見える。


妹は無限に広がる宇宙のどこかで妹は永遠の眠りについている。


それでいいのだと言い聞かせたとき、ロディからチビボテ博士脱獄の報せを受けた。


厄介な相手ではあるが勝てないというほどのことではない。


些細な事件であり様子見が妥当と判断してロディとの念を切る。


だが彼は胸騒ぎがあった。博士の脱獄ではない。


それよりもっと大きく遥かに深刻な危機が迫ってきているような――


ふと、先ほどのスターとの会話が思い出された。


脳裏を掠める最悪の想像。絶対にあり得ない妄想。


「……あり得ぬ。それだけは」


激しく首を振り、スター流最強の男は店の中へと戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ