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ヨハネスとのスパーリング

「少しは疲れてきたかな?」

「対戦相手の疲労の蓄積を見計らって出てくる……あなたは本当に卑怯ね」

「褒め言葉をどうもありがとう」


ヨハネスは爽やかな笑顔を見せてメープルとの対戦に挑んだ。

彼はインバネスコートに鹿撃ち帽子という戦闘をするには不向きな恰好で戦闘を繰り広げた。


力比べから始まってタックルや関節の取り合いとこれぞスター流のスパーリングと言わんばかりの実戦さながらの真剣な戦いだ。ヨハネスがメープルが前屈みになったところを彼女の両腕を極め、華麗なダブルアームスープレックスで放り投げた。


技を解除して彼女が立ち上がってきたところを背後を取って持ち上げ、立てた右膝に彼女の尻を叩きつけるアトミックドロップ。さらにもう一度胴を取ってバックドロップ。


流れるような技を見せつけられ美琴が思わず拍手をすると、千鳥足状態でヨハネスに歩み寄る。


「無理はいけないよ。これから朝ご飯なんだからさ」


優しい言葉をかけながら片足でバランスをとって彼女の額へ強力な頭突きを見舞う。

一発、二発、三発。遂にメープルの額が割れ、マットが血に染まる。


そこからフロントチョークを極めて彼女の戦意を断ち切った。

すぐに喝を入れて意識を回復させるとメープルは悔しさで唇を噛みしめる。


「次は負けないわよ」

「そうだね。次戦ったら君が勝つよ。僕はあくまでも隙を突いただけだからね」

「やけにあっさり認めるのね」

「そうしないとずっとモーニングにありつけないだろうからね」

「あなたって人はほんと……」

「何かな」

「なんでもない」


汗をタオルで拭いて朝のスパーリングは終了した。軽い練習のつもりが本格的に汗を流しすぎてしまったかもしれないとメープルは後悔し、まだリングに上がっていないふたりを一瞥する。


美琴の実力は過去二回の対戦で嫌というほど知っている。


だが、わからないのは星野だった。


スパーリングが始まってからずっと彼は持参した漫画を読んでいるだけで練習を見ようともしない。著しく不真面目な態度だ。それだけに得体の知れない不気味さが漂っていた。

漫画本から顔を上げてダメージから回復したメンバーも含めて見回してから言った。


「カレーパンが待っていますから先行きますね」

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