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ムースとのスパーリング

メープルは黒のスポーツブラに同色のショートパンツ姿でリングに上がった。

好物の棒付きキャンディーを噛みながらスパーリングを開始するつもりだ。

彼女ひとりで五人の相手を連続でするのだが、誰が来ても問題ないと思っていた。


「来なさい」


最初に上がってきたムースは赤と黒を基調としたゴスロリドレスの裾を摘まんで恭しく一礼して対峙する。気を溜めて構えを取るとマットを踏みしめ前へ出る。


拳のラッシュを見舞うがメープルは涼しい顔で全て回避し、ハイキックに出たところをキャッチして蹴りの勢いをそのままに横転させる。


倒れた隙を逃さず踏みつけにいくと、ムースは転がって辛うじて防ぎ立ち上がると、能力を発動させた。


「アイアン・メイデン!」


女神の形をした金属像は内部に無数の棘が入っており、封じ込めた相手を串刺しにする。


しかし恐怖の技を受けてもメープルは動じることなく左右から迫るメイデンを紙一重で跳躍して不発に終わらせ、フライングクロスチョップで反撃。まともに食らったムースが苦痛に顔を歪めると彼女の腕をとって巻き投げでマットに投げつける。


立ち上がろうとしたところをドロップキックで強襲し、鉄柱と挟み撃ちにする。

流れるような動きにムースは対応できずにいた。メープルは腰に手を当てて冷たい瞳で彼女を見据える。


「これじゃあ殺されても文句は言えないわね」

「メープルお姉さま。わたくしを甘く見ないことですわよ」


ムースは虚ろな目で額には大量の汗を流しながらもファイティングポーズを取って戦意を示すと屈んでマットに触れた。不可思議な動きにメープルの動きが一瞬止まる。

メープルがにやりと笑みを作って技名を言った。


「ソードキャンバス!」


瞬時にマット下から無数の剣が生えてきたではないか。


咄嗟に跳躍するも、メープルは一筋の汗を流した。


「新技ね。少しは考えたみたいね」

「これで終わりではありませんわよ! ソードボードクラッシャー!」


メープルが腕を高く突き上げると今度は天井から剣がびっしりと生えた板が高速で落ちてくるではないか。激突寸前にロープに飛んで限界までロープを引き延ばすことで空間を作り、どうにかサンドイッチは防ぐ。荒い息を吐きだすと技は消え、ムースは失神した。


「逃げ場をなくし上下で挟み撃ち。なかなかいい技だったわ。あとは能力発動をうまく見極めることができれば有効かも」


額の汗を拭ってムースを部屋の隅に寝かせてからメープルは明るい笑顔で告げた。


「次は誰かしら?」

「ボクがいくよ」


燃えるような赤髪を三つ編みにして紅の瞳を持つ李が挙手した。

彼女は赤の中国服を着ていつでも戦えるように準備していたのだ。

整った顔立ちの彼女は美少年と言われても美少女と言われても通用するほど綺麗だ。

スター流は外見だけなら最高レベルの人材が集まっていると思いながらメープルは彼女の挑戦を受けることにした。

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