王国の一大事へようこそ!
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「まずいな、カイルのことで頭がいっぱいで仕事に集中できない•••」
リーフィアは、納品用の魔道具を作成しながら、ブツブツ一人言を呟いていた。
「ああ、早く日曜日にならないかな•••」
楽しみでしょうがない様子だった。
一方、カイルはと言うと、
実はカイルは、この国の第2王子で王城に住んでいた。
「カイル様、食事の用意ができました」
「分かった•••」
カイルが朝食の席に着くと、
「カイルよ、最近、以前にも増して城下の治安が悪化していると聞く、くれぐれも城下へは出向かぬように!」
「承知しております、父上!」
「そうですよ、カイル!あなたには、このアーセレルム王国の将来がかかっているのです!」
「分かっています、母上!」
「兄上、先日のセレストリア公国との交渉はいかがでしたか?」
「ああ、上手く事は運んだよ!」
「さすが、次期国王!」
「お前も、もっと他の国のこともしっかり学んでおけよ!」
「分かりました、兄上!」
そんないかにも王族と言った会話をしながらつまらない毎日を送っていた。
「ああ、早くリーフィアに会いたいな!日曜日が楽しみだ!」
カイルは自室へ戻ると、仕事に集中できずリーフィアのことを思い出してはニヤニヤしていた。
次の日曜日、
リーフィアが早めにケーキ屋さんに着くと、カイルはすでに待ち構えていた。
「カイル!会いたかった!」
「僕もだよ!リーフィア!」
二人は数時間のあいだだったが、楽しいときを過ごして、また名残惜しそうに別れるといったことを何度か繰り返していた。
そのうち、リーフィアの自宅にも招かれるようになって、かなり親密な関係にまで進展していた。
そんなある日、王城で大事件が起こってしまった。
「父上!」
「なんだ、騒々しい!」
「父上!大変です!」
「どうしたと言うのじゃ!」
「王城に賊が忍び込んで、至高の宝である、【影狼】の宝玉と神器【闇の脚甲】が盗まれました!」
「なんと言うことだ!」
王様は、激怒しすぐに宝の捜索に全力を尽くすよう命令した。
「カイル、まずいことになったな!」
「ええ、兄上•••あの代々受け継がれてきた宝が失われたら、このアーセレルム王国は終わりです!」
「ああ•••」
「何としても見つけなければ•••」
「兄上!私も捜索に加わっても?」
「そうだな、気を付けるんだぞ!
カイル!」
「承知しております、兄上!」
カイルは、近衛騎士団の一個小隊を引き連れ宝の捜索へと向かった。
「カイル王子!町の者の話では、最近、この辺りに出没する盗賊集団がいるとの情報を得ました!」
「おお、でかした!」
「盗賊の特徴は?」
「頭は、病弱そうなやさ男で、何やら変な魔法を使うようです」
「変な魔法?」
「はい、何でも通常では聞いたことのない呪文を唱えているとの情報を得ました!」
「他には?」
「どうも、エクリプス•エンクレイヴと名乗っていたそうです!」
「日食の隠れ家か•••妙な名前つけやがって!」
「もう少し、町での聞き込みを進めてくれ!」
「承知しました!」
兵士にそう伝えると、兵士は急いで持ち場へと戻っていった。
「エクリプス•エンクレイヴか•••」
カイルは考え込みながら、作戦を練っていた。
その頃リーフィアは、カイルのことを考えながら仕事に励んでいた。
「うっ、気持ち悪い•••」
吐き気を催したリーフィアは、あることに気が付いた。
「えっ、赤ちゃん?」
もしもと思い、町の産婦人科で診てもらうとおめでただった。
「おめでとうございます」
「やった!カイルとの赤ちゃんだ!
カイル、喜んでくれるかな?」
リーフィアは次にカイルに会える日を待ち遠しく思いながら仕事を続けた。
リーフィアが町へ納品に行った時に、ある噂を聞いた。
「最近、物騒よね!」
「そういえば、こないだ王城から何やらお宝が盗まれたって!」
「嫌ね!怖い•••」
「それが、カイル王子が指揮を取って捜索してたらしいわ!」
「ああ、あのイケメン王子様ね•••」
「私も王子様に一目会ってみたい!」
「私だって!」
町の女性たちがそんな噂をしていた。
「ええ、カイル王子?」
リーフィアはよくよく考えてみると、自分が大それたことをしでかしてしまったかも知れないことに気が付いた。
「もしかして、王子様の子供?」
リーフィアは、急に不安に襲われて困惑してしまった。
「カイルに打ち明けてもいいのかな?いや、王子様だったなんて、なんで気が付かないのよ!私のバカ!」
頭のなかを自問自答してグルグルと考えが巡って、訳が分からなくなってきてしまっていた。
「ああ、嬉しいことなのに•••カイル
に伝えたら•••」
次回 リーフィアの真実へようこそ!
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