17年前の世界へようこそ!
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17年前•••
リーフィアは早速実験の結果をまとめて【表裏の書】を2冊を書き上げた。
エヴァリスに【表裏の書】を手渡すと、リーフィアはしばらく出掛けると言って消えてしまった。
リーフィアは以前、アルクとエヴァリスの関係を知り自分がいると邪魔になると考え、遠くで一人暮らしをしていた。
そこは、小高い丘の上に建つ暖かみのある木製の可愛らしい家だった。
リーフィアは無属性のため、「設定」というスキルを使用でき、魔道具の世界では右に出るものはいなかった。
特殊な魔道具もたくさん作っているが、生活に役立つものも色々作っていた。
ある日、作った魔道具を町へ卸しに行く途中に、チンピラに絡まれている男性を見かけた。
このまちではよくある光景だったが、なぜか今回は、無視していけなかった。
「ちょっと!あなたたち、やめなさい!警察を呼んだわよ!」
「チッ!邪魔しやがって!」
チンピラたちがナイフをチラつかせながら取り囲んだ。
リーフィアは何やら手に忍ばせると、
男たちの前に見せて、
「これあげる!」
と言って、目の高さに放り投げた。
「伏せて!」
絡まれていた男性に声をかけると、
チンピラたちの目の前で凄まじい閃光が走った。
「わあーー目がー目がーーー!」
チンピラどもは目を押さえて苦しんでいる。
リーフィアは、男性の手を握ると一目散に逃げた。
「ハハハ!どう?」
リーフィアが笑いながら尋ねると、
そこには、黒髪のイケメンがいた。
「すごいですね!えっと手を•••」
リーフィアは手を繋いだままだったが、急いで引っ込めた。
「ああ、ごめんなさい•••」
「いえ、助けてくれてありがとうございます」
男性はとても身なりもよく、柔らかな物腰だった。そして、イケメンだった。
「あなたみたいな方が、どうしてあんなスラムみたいな場所にいたの?」
「ああ、ちょっと訳ありで•••」
「分かったわ、何かあるのね!」
リーフィアは察したのかこれ以上は聞かなかった。
リーフィアは紫色の長い髪をかきあげながら立ち上がると、そのまま去ろうとした。
「ああ、待ってくれ!」
その男性は思わずリーフィアの手をつかんでしまった。
「どうしましたか?」
リーフィアは少し嬉しそうに尋ねると、
「ああ、いや、もう少しお話でもいかがでしょうか?」
「はい!」
リーフィアは明るく返事をした。
「この近くに美味しいケーキ屋さんがあるんですが、そこでもいいですか?」
「はい、行ったことがないのでぜひお願いします」
その男性もワクワクした様子で答えた。
「ああ、失礼、僕の名前はカイルと申します。助けていただいてありがとうございます」
右手を胸にあて丁寧にお辞儀をした。
「こちらこそ、名乗るのが遅れました、リーフィアと申します」
スカートの裾を少しあげてお辞儀を返した。
「カイルさん、行きましょう!」
「ああ、カイルでいいよ!」
「じゃあ、私もリーフィアと呼んでください!」
「分かった!」
カイルはイケメンスマイルでにっこりとした。
リーフィアは胸がキュンキュンしてこんな気持ちは初めてだった。
「リーフィアは、何をしにこの町へ来たんだい?」
「私、魔道具職人なの!」
「へえ、魔道具って今はあまり見かけないよね?」
「そうね、科学が進んで今では魔道具を使う人も減ってしまったけど、結構便利な物もあるのよ!」
「そうなんですか?」
「ええ、例えばさっきの閃光玉も魔道具で強姦に教われたときの護身用に作ったものなの!」
「確かに、魔道具以外ではあんなもの見たことありませんね!」
「でしょ!」
「はい!」
「じゃあ、これなんかどうかしら?」
リーフィアは、自慢げに光る珠を取り出した。
「何ですか?」
「テルミットって言う珠なんだけど、今はスマホがあるから電話やナビの機能はあまり珍しくないけど、決めた場所に一瞬で移動できるのよ!」
「えっ!瞬間移動てこと?」
「ええ、すごいでしょ!」
「試してみる?」
「ええ、ぜひ!」
「でも、使うためには魔力が必要なの•••」
「ああ、魔力なら僕にもありますよ!」
「ああ、良かった。じゃあ、これを持って待っていてくれる?私が合図したら珠を上に掲げて!」
リーフィアはそう言って、向かいにあるビルの屋上へと走っていった。
「ああ、リーフィア!」
カイルがリーフィアに気がつくと、リーフィアが右手を挙げて手を振った。
「あれが合図か?」
カイルは言われた通り珠を掲げた。
「ええ、リーフィアいつの間に?」
「いや、カイルがこっちに移動したんだよ!」
「ああ、本当だ!屋上にいる!」
カイルは驚いた口が塞がらなかった。
「次は、私に珠を貸して!」
「はい」
カイルがリーフィアに手渡すと、リーフィアはカイルの腕を掴んで、珠を掲げた。
「うわ、今度はケーキ屋さんに戻った!」
「へへ!」
リーフィアは、得意気に微笑んで見せた。
その姿があまりにも可愛くて、カイルは見とれてフリーズしてしまっていた。
「おーい!カイル!大丈夫?」
リーフィアが目の前に手を振って笑っている。
「ああ、ごめんなさい•••つい、見とれてしまって•••」
「まあ!」
リーフィアは頬を赤らめてカイルの肩を軽く叩いた。
そんな微笑ましい光景を、周りのお客さんも笑いながら、ヒソヒソと噂話をしていた。
「もうそろそろ出ましょうか?」
「そうだね•••」
二人は店を出ると、少し緊張しながら歩きだした。
「リーフィア、さっきのテルミットって僕にももらえるかな?」
「ええ、ただこの魔道具は特殊なもので一般には販売してないから、他の人には知られないようにしてもらえると助かるわ!」
「分かった。肝に銘じておくよ!」
「あと、そんなに遠くには移動できないからね、せいぜい500m程度だからね!」
「分かった!」
「ちなみに、このもうひとつのテルミットと通話もできるんだよ!」
「スマホみたいに?」
「うん、耳にあてるだけ!」
「なるほど、面白いね!」
カイルは終始笑って話を聞いていた。
「もうそろそろ帰らないと•••また、
また会ってくれるかな?」
「ええ、もちろん!テルミットでいつでも連絡できるしね!」
「ありがとう!」
カイルは丁寧にお辞儀をすると、名残惜しそうに去っていった。
リーフィアも本当はもっと一緒に居たかったが、そこは我慢して見送った。
リーフィアは、納品を済ませるとすぐに家へ戻って食事の準備を始めたが、心がソワソワしてなかなか作業が進まなかった。
すると、テルミットが青く光始めた。
「ああ、カイル!」
早速、テルミットを耳にあてると、
「あれ?これであってるのかな?」
「カイル!あってるよ!」
「ああ、リーフィア!」
「もう、連絡してくれたの?」
「なんか、いても立ってもいられなくって•••」
「私も!」
リーフィアの声は嬉しさで溢れていた。
「今度は、いつ会えるかな?」
「今度の日曜日にまた納品に町へ行くから、またあのケーキ屋さんで待ち合わせはどうかしら?」
「ああ、必ず行くから!」
「うん、楽しみにしてる!」
その後もしばらく話は弾み、夜は更けていった。
次回 王国の一大事へようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!




