エヴァリスの思いへようこそ!
「くそ、アイツら二人とも殺してやる!でも、俺もあの力を手に入れてからだ!何とかして儀式を行わせなければ!」
マリフィスはひとりでブツブツと言いながら自分の部屋へと戻っていった。
「アルク、聞いて!」
「なんだい?」
「あなたにお願いがあるの!」
「うん」
「この【表裏の書】をエリスに届けて欲しいの!」
「あのエヴァリスたちと幼馴染みの?」
「そう」
「エリスならきっとこの力を正しい方向に導いてくれると思うの!」
「それなら、一緒に行ったほうがいいんじゃないか?」
「いいえ、私はこちらでやらないといけないことがあるから•••お願い!」
エヴァリスは少し悲しそうな顔をしてお願いした。
「うう、分かったよ•••」
「レオンも連れて行ってもらえると助かるんだけど?」
「ああ、もちろんレオンは僕に任せてくれ!」
「やっぱり、修行中のあなたより今のほうが私は好き!」
エヴァリスは頬を赤くして言った。
「急にどうしたんだよ•••」
アルクも少し照れてしまった。
「だって、修行中は師匠!っていって素っ気ないんだもん•••」
「いや、師匠は師匠だから、そこは分けないと•••」
「やっぱり、真面目ね!そんなところも好きなんだけどね!」
アルクはエヴァリスを抱き寄せると優しく頬にキスをした。
「じゃあ、レオンをお願いね!」
「エヴァリスも気をつけてね!」
「分かってる•••」
アルクはレオンをつれてエリスのもとへ向かった。
そこへマリフィスが陰からのそっと現れた。
「エヴァリス!なぜアルクを行かせた?」
「あなたを止めるためよ!」
「俺を止めるだと!」
「あなたが覗いていたのは知ってるわ!」
「それなら話は早い、俺も表裏能力とやらを覚醒させろ!」
「ダメよ!あなたにはその資格がないわ!」
「資格だと!」
「ええ、マリフィス、あなたは悪へ進むことが見えているの!」
「はあ?お前に何が分かる?今まで散々バカにしやがって!」
「バカに?」
「ああ、俺の気持ちを知りながらアルクとイチャつき、アルクを贔屓して魔法の修行もしやがって!」
「あなた何言ってるの?」
「うるせえ!」
「全くの的はずれね•••はあ•••」
「どうでもいい、早く儀式をやれ!」
「そんな人に儀式をするわけないでしょ!死ぬ危険もあるのよ!」
「ああ、もういい!自分でやるから、【表裏の書】とやらをこっちによこせ!」
「まったく•••あなたなんかに渡すわけないでしょ!」
「力ずくで奪うしかないようだな!」
「はあ•••あなたなんかに私が倒せるわけないでしょ?」
「うるせえ!」
マリフィスはエヴァリス目掛けて魔法を唱えた。
「スパーク•スプリンクル!」
マリフィスは、小さな火花を放った。
エヴァリスは「パール•オニキス!」
と呟くと輝く2本の剣を具現化させた。
「そんな初歩の呪文で倒せるわけないのに!」
黒い剣で軽く消し去った。
「あなたには、魔法の才能がなかったの、諦めなさい!」
「ドロップレット•ドリブル!」
手に水滴を集めるとエヴァリスの顔目掛けて放った。
白い剣で弾き返すと、マリフィスの顔に水がかかり、ビショビショになってしまった。
「くそ!」
「もう止めなさい!あなたでは、私に絶対に敵わないのよ!」
マリフィスは何度も呪文を唱えながら少しづつエヴァリスに近付いて行った。
「しつこいわね!」
そう言って剣を振り抜いた瞬間、マリフィスは隠し持っていた、拳銃でエヴァリスを撃ち抜いた。
「あ、あなた•••」
「はは•••ハハハ!死ね!」
「ここまで堕ちたとは•••思わな•••かった•••」
エヴァリスは血を流しながら倒れた。
同時に両手の剣も消えてしまった。
「勝てばなんでもいいんだよ!」
「•••」
エヴァリスは手を伸ばしながら何かを訴えるように息絶えてしまった。
「この【表裏の書】さえあれば、俺だって強くなれるはずだ!ハハハ!」
マリフィスは涙を流しながら、書を奪い取るとエヴァリスをそのままにしてその場を立ち去ってしまった。
次回 エリスの世界へようこそ!




