エヴァリスの世界へようこそ!
感想やレビューもお待ちしています!
エヴァリスが体調を崩して寝込んでしまってから、もう1週間が経とうとしていた。
エヴァリスの顔は青白くなり、いわゆる虫の息と言ってもおかしくないような状態にまで至っていた。
「ああ、エヴァリス•••」
アルクはレオンを抱き抱えながら、エヴァリスの傍らで祈ることしかできなかった。
エヴァリスは死の淵を彷徨いながら、夢を見ていた。
••••••
「何が美人姉妹モデルよ!」
「本当よね!」
同じ事務所モデル仲間が陰口を叩いていた。
「あれ、これって前世の私?」
エヴァリスは転生者で、元は姉妹のリーフィアと美人姉妹モデルとして売り出していた。
本当に美しかった二人は、モデルとしても最高の地位を築いていた。
「マジでムカつくんだけど!」
「マジ、あれね!」
「殺しちゃおっか?」
「マジ、それね!」
「いや、本当に殺してやりたいんだけど!」
「おお、怖!」
影ではこんな会話が日常茶飯事だった。
「エヴァリス!」
「何?リーフィア!」
「今日ってここでいいんだよね?」
「そうそう、あのスタジオまで混むから少し早めに出ようか?」
「オッケー!」
「今日の移動は電車か•••」
「いつもは送り迎え付きが当たり前だもんね!」
「でも、久しぶりに二人でお出かけって感じで、たまには電車もいいかもね!」
「まあ、そういうことにしときましょうか?」
二人は楽しそうに電車をホームで待ちながらそんな話をしていた。
「ああ、私たちあの後••••」
エヴァリスは夢でふたりを眺めながら前世の事を思い出していた。
「えっ!」
「あっ!」
エヴァリスとリーフィアは、何が起こったか分からなかった。
一瞬の出来事で•••
ホームに入ってきた電車はけたたましい音をたてながら急ブレーキをかけて停まった。
「キーーーーーー、ギューーーー!」
「ああ、押されたんだ•••」
「私たち!」
そこにはあの陰口を叩いていたモデルが笑いながら逃げていく姿があった。
エヴァリスはそれを眺めながら目の前は白と黒のモノクロ映像のようになって霞んでいった。
エヴァリスは死ぬ寸前の自分に声をかけたが、一瞬遅くそのまま電車の方へ吸い込まれながら一言、
「白と黒」
と呟く声が微かに聞こえた気がした。
••••••
そのときは何を意味しているのか分からなかったが、なぜか朦朧としながら、死の淵から無事生還することができた。
「ああ、エヴァリス!」
アルクは目に涙を浮かべながら、強く抱きしめることしかできなかった。
エヴァリスは夢の話をしていいものなのか迷っていた。
身体はかなり回復して来て、レオンの世話もできるようになってきていた。
そこへ遠くに住んでいたリーフィアがエヴァリスの様子を見に来てくれていた。
「エヴァリス、大丈夫?直ぐに来れなくてごねんね•••」
「ここから遠いからしょうがないよ」
「それより、リーフィアに話があるの•••」
「どうしたの?」
「実は•••」
エヴァリスはリーフィアに夢の話を聞かせた。
「なるほどね•••不思議な話ね!」
「でしょ?」
「しかもその夢を見てから、体調がすこぶる良くて以前にも増して魔力が溢れてきて魔法の威力が上がっている気がするのよ」
「何か能力に目覚めたとか?」
「私もそんな気がするの•••」
「夢の中で聞いた【白と黒】って言うのがカギのような気がする」
「そういえば、エヴァリスってあの日パールのネックレスとオニキスの指輪をしてなかったっけ?」
「そうだったかしら?」
「うん、確かに付けてたはずだよ!」
「でも、それが何か関係あるの?」
「いや、白と黒だからパールとオニキスが一緒の色だなと思っただけ•••」
「パール•オニキスか•••」
エヴァリス ♀
白と黒
(Pearl /Onyx)
「パール•オニキス」
魔法属性は、全属性
元の職業は、モデル
そのとき、エヴァリスの中で靄が晴れて何か生まれ変わったような気持ちになった。
「リーフィア、何かおかしい•••」
「どうしたの?」
「パール•ライトニング•スピアー!」
エヴァリスが遠くの大木に向かって急に聞いたことのない呪文を唱えた。
「急にどうしたの?」
大木に今までみたことのないような巨大な雷が落ちて一瞬で見る影も無くなっていた。
「何あれ?」
「自分でもわからない•••」
「もしかして、魔法を凄まじく強化することのできる能力なのかも?」
「分かった•••」
「オニキス•ダーク•フレイム!」
漆黒の巨大な炎の塊が一瞬で現れた。
「うわあ!なんて禍々しい魔力なの?」
「これは、ヤバイかも•••」
エヴァリスはその黒炎の塊を遠くの山に放り投げた。
凄い勢いで爆発し山は一瞬で吹き飛んでしまった。
「おい!さっきから何の音だ!」
アルクとマリフィスがビックリして起きてきてしまった。
「ああ、ごめんなさい•••リーフィアとちょっと実験してたら失敗しちゃって•••」
「レオンもいるんだ気をつけてくれよ!」
「アルク、ごめんなさい」
エヴァリスは可愛く舌を出してごまかしていた。
マリフィスは遠くの山が真っ黒に燃えているのを見逃さなかった。
次回 リーフィアの世界へようこそ!
続きの気になった方は、
ぜひともブックマークをお願いいたします。
最下部の⭐5もつけていただけると幸いです。
頑張って続きを書いちゃいます!




