マリフィスの過去へようこそ!
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マリフィスは、その昔レオンの父親であるアルクと兄弟弟子の関係だった。
そして、師匠は二人と対して年齢も変わらないエヴァリスというとても美しい女性だった。
エヴァリスは、ハーベルたちの師匠であるリーフィアの双子の姉で、幼少期より大人顔負けの魔法の才能を見せていた。
エヴァリスは全属性で魔法の天才、リーフィアは無属性で魔道具の天才であった。
「さあ、今日は二人に合成魔法を教えるわよ!」
「師匠!」
「なんでしょう、アルク!」
「私は全属性持ちですが、マリフィスは光、闇、炎、土属性しかありません。この場合、全体の属性値に違いがあるのでしょうか?」
「そうですね、私たちのように全属性持ちの場合は、全属性値が60になるのに対して、マリフィスの場合は50となります」
「もちろん、全属性持ちの方が合成魔法も含めていろいろな魔法を使うことができますが、器用貧乏になってしまうこともあります」
「得意な魔法を伸ばした方がいいということですか?」
「マリフィスの言う通り得意な魔法を特化させるのもひとつの手ですが、全体も上げていかないと、魔力コントロールが上手くできなくなることがあるので注意してください」
「分かりました、師匠!」
二人は真剣に魔法を学んでいた。
「アルクは、エリートの家系で属性も全属性で羨ましいよ!」
「マリフィスだって四属性持ちなんてそうそういないぞ!」
「マリフィスの得意な魔法を伸ばしていけば良いのさ!」
「そうはいうけど、使えない魔法があるのは何とももどかしいものだぞ•••」
「そんなもんかな•••」
そんな他愛もない話をしていた。
アルクには全く悪気はないのだが、マリフィスにとってはとても屈辱的だった。
アルクもエヴァリスもそれに全く気がついていなかった。
「やっぱりアルクは天才ね!」
エヴァリスはそんな独り言をいいながら夕食の準備をしていた。
「マリフィスもいい線は行ってるんだけど今一つ光るものが見出だせていないのよね•••」
とブツブツ呟いていた。
「エヴァリス師匠!手伝いましょうか?」
そこへマリフィスがやって来た。
「もう準備できるから、アルクも呼んできてくれる?」
「分かりました」
3人は歓談をしながら夕食を済ませると、アルクがこう切り出した。
「マリフィス、僕たち結婚しようと考えているんだ!」
「えっ!」
マリフィスは、突然のことで言葉を失ってしまった。
「突然でごめんなさいね、マリフィス
•••実はお腹には赤ちゃんもいるの」
エヴァリスはお腹をさすりながら嬉しそうに言った。
「お、おめでとう•••」
マリフィスの精一杯の言葉だった。
マリフィスは以前からエヴァリスのことが好きで事あるごとに気遣っていた。
当然、アルクのことも嫌いではなかったがまさかの仕打ちに頭が真っ白になってしまった。
「お、おめでとう。ちょっと疲れたから今日はもう寝ます。おやすみなさい•••」
「うん、マリフィスおやすみなさい」
「お休み!マリフィス!」
二人は自分達のことで頭が一杯でマリフィスの異変に全く気がついていなかった。
「ふざけるな!何が結婚だ!何が赤ちゃんだ!くそ!ふざけるな!」
マリフィスは腸が煮えくり返る思いだったが、同時にそうなるのではないかと考えていた自分もいてとても複雑な気持ちだった。
そんなモヤモヤした気持ちを抱えながらも表に出すこともできず、エヴァリスの出産が近づいてきた。
可愛い男の子で名前をレオンと名付けた。
「レオン!」
アルクは男の子を授かったことに感謝しエヴァリスを一生大事にすることを誓った。
面白くないのはマリフィスだった。
しかし、良いことばかりではなかった。産後の疲労のせいかエヴァリスは体調を崩して寝込んでしまった。
お医者様にも診てもらったが、様子をみるしかないとの事だった。
「エヴァリス•••」
アルクは心配で頭がおかしくなりそうだったが、レオンの世話もしないといけないのでひとりで忙しくしていた。
マリフィスも師匠であるエヴァリスの看病をしながら、心のなかではいい気味だとも感じていた。
次回 エヴァリスの世界へようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!




