指輪の世界へようこそ!
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レオンは父のことが心配で家で面倒をみることになった。
「レオン、魔力がないだけで身体は問題ないんだ!自分のできることをしなさい!」
「いえ、今は父さんのそばにいたいのです!」
頑なに家を出ようとはしなかった。
「ネル、何か魔力を生み出す方法みたいなものはないかな?」
「そうね•••」
「そう言えば、病院で働いていた頃、小児の患者様で、魔力過剰症という症例をみたことがあります」
「魔力過剰症か•••」
「何か治療法はあるのかな?」
「そのときは先生方もさじを投げてしまっていました」
「そうか••」
「ただ、魔力は身体の中にあるマナスと呼ばれる器官より産み出されるそうで、それを切除する方法が試みられたと聞いています」
「結果は?」
「ある程度は抑えられたようですが、完治には至らず、魔力を抑えきれないまま苦しんでいたようです」
「なるほど、ではそのマナス以外にも魔力を生成している場所が存在するということか?」
「おそらく•••」
「今のアルクさんは、魔力不全症のような状態だね!」
「現代ではほとんどの人が魔法が使えないから、元に戻っただけといえばそれまでだけど、魔法のスペシャリストのアルクさんにとってはかなりきついですよね•••」
「そうだよな!」
「何とかしてあげたいね•••」
ハーベルたちはダンジョンへ向かうため、
【PSW Detective Agency】へ来ていた。
「セノンさん、この間の国宝の件は申し訳ありませんでした•••」
「いいえ、国のトップとも話をしたけど警察でも歯が立たない相手だったから、一人死亡とはいえ捕えて、もう一人に深手を負わせただけでもよし、ということになったのよ」
「申し訳ありません•••」
「まあ、宝玉は奪われてしまったけどまた奪い返す機会もあるでしょ•••」
「セノンさん、ちょっと相談したいことがあるんですが?」
「何かしら?」
紫色の長い髪をかきあげながらいった。
「実は、レオンのお父さんの件なんですが?」
「ああ、魔力の件ね!」
「はい•••」
「その件でハーベルに連絡しようと思ってたのよ」
「俺にですか?」
「そう、実は私も昔魔力がなくて悩んでいた時期があるんだけど•••」
「ええ、セノンさんがですか?」
「それでどうしたんですか?」
「見て、お母さんがくれたこの腕輪よ!」
「腕輪?」
「これは昔、お母さんが自分が同じように魔力がなくて困っていたときに自作した魔道具で、他の人の魔力を自分と共有するための道具なのよ!」
「共有か•••」
「今のハーベルなら、同じような魔道具を作れるだろうから、伝えようと思っていたの」
「なるほど、セノンさんありがとうございます」
「役に立てたなら良かったわ!」
優しい顔で微笑んだ。
「ネル、今までにゲットしたアイテムの中に指輪ってなかったかな?」
「ええっと、確かいくつかあったと思うけど•••」
ネルはゴソゴソと鞄をあさってみた。
「これなんかどうかな?」
【シャドウユニティリングス】ZR
「闇属性のプラチナのペアリングか、なかなかよさそうだ!」
ハーベルは早速、片方のリングに
【トランスミッター】と名付け、もう片方に【レシーバー】と名付けた。
【トランスミッター】側から送られた魔力を常に【レシーバー】で受けた魔力と均等になるように設定した。
さらに、【レシーバー】側には、アンプ機能を追加して送られる魔力を増幅することができる。
【シャドウユニティリングス•改】UR
が完成した。
「早速レオンに渡しに行こう!」
「そうね、行きましょう!」
ハーベルはレオンの家へ飛ぶと、
「レオン!」
「ハーベル、来てくれたのか•••」
レオンは全く食事を摂っていないそうで元気がなかった。
「レオン、ちゃんと飯食えよ!」
「ああ•••」
「いいモノ持ってきたんだ!」
「何?」
ハーベルは、
【シャドウユニティリングス•改】UR
を差し出した。
「この指輪をアルクさんとレオンがはめると、魔力を共有できるようになるんだ!」
「ええ、僕の魔力を父さんに分けてあげられるのか?」
「ああ、そうだよな!」
「ああ•••」
レオンは嬉しさのあまり声を失った。
「アルクさんこれを!」
「これが、レオンの言っていた指輪かい?」
「はい、試して見てください!」
アルクは、【レシーバー】側をはめた。
そしてレオンが【トランスミッター】
をはめると、アルクの魔力が徐々に満たされていった。
「ああ、魔力を感じる•••」
アルクは少し眼を滲ませた。
「ハーベルくん、ありがとう!」
レオンも嬉しくて声が出ないようだった。
ハーベルに抱きついて泣いていた。
「一応、アンプ機能で魔力を増幅していますが、あくまでもレオンの魔力を均等に分けているだけなので、魔力総量には常に注意してくださいね!」
「了解した」
「ハーベル、ああ•••」
まだ歓喜が収まらないようだった。
「レオン、いい友を得たな!」
「はい!父さん•••」
アルクの手を握ってしばらく動けなかった。
「レオン、とりあえず食事にしよう」
アルクが嬉しそうにそう言うと、
「はい!お腹ペコペコです!」
やっと話ができるようになった。
みんなで楽しく食事をしていると、
「レオン、決して復讐を考えるんじゃないぞ!」
「はい!分かっています•••」
「ハーベルくん、レオンをよろしく頼むよ!」
「分かりました!」
「レオンは、これからどうするの?」
「ああ、もっと修行して魔力量を限界まで上げるよ!」
「確かに、それが最優先事項だな!」
「ああ、父さんのためにも!」
「じゃあ、ダンジョンで一緒に攻略しようか?」
「ああ、とりあえずネザースピリットを召喚し続けるのが一番の近道みたいだからな!」
「うん、そうだね!」
「クラリッサも合流して、ダンジョン攻略再開と行くか!」
「了解!」
「はい!」
レオンも元気がでてきたようで、ハーベルも嬉しそうに笑っていた。
次回 アリーナバトルへようこそ!
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