表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/172

師匠の家へようこそ!


ハーベルたちは、今度はオンボロ車で師匠の家へと向かった。


「ここよ、師匠元気にしてるかな?」

「師匠、ただいま!」

「リーフィア師匠、ただいま!」


「あら、あら、もう帰ってきたの?」

「師匠、こちらハーベルさんです」

「あら、友達連れてくるなんて珍しいわね」


「ハーベルといいます、よろしくお願いします」

「ハーベル•••」


「ねえ、師匠?」

「ああ、ごめんなさい、若い男の子と話すの久しぶりだから緊張しちゃって•••」

「師匠らしくない!」


「それより試験は?」

「第一チェックポイントはクリアしました」

「まあ当然ね」


「それで師匠、ハーベルに魔法の基礎を教えてあげて欲しいの」

「ハーベル、あなたの師匠は?」


「いません、1週間ほど前に魔力があるのを知ったばかりです、でも無属性なんでどうすればいいのか•••」

「あなたも無属性なのね」

「あなたもって?」


「実は、リーフィア師匠も無属性なのよ」

「師匠なのに?」


「まあ、無属性って聞くとそう思うのも無理ないわね」


リーフィアは、魔法の基礎から順に説明を始めた。


リーフィア師匠の話によると、

魔法の属性には、大きく炎、水、風、土、光、闇に分類される。

この世界では、魔素と魔力によって魔法が発動されると信じられていた。


しかし、実際の魔法は「イメージ」そのものでイメージさえできれば詠唱すら必要ないとのことだった。


ただこれは、あくまでも理論上の話で実際に無詠唱で魔法を使えるものはそう多くはない。


属性に関しても、無属性というのは全く属性がないというわけではなく、どの属性にも秀でていないというだけで、逆に言うとすべての属性を高位まで使用できるということらしい。


例えば、ネルの属性は、光、土、風属性だが、他の属性は全体の1/3程度までしか能力を引き出せない。


しかし、無属性の場合すべての属性を高位まで引き出すことができる。


さらに、無属性だけにある「スキル」があるらしい。


「設定」スキルだ。


「設定」は、既存のアイテムや変哲もないその辺の道具でも、自分がイメージした機能や能力を付与することができる能力で、使い方によってはチートである。


「じゃあ、この道具ももしかして設定スキルで作ったものでしょうか?」

そう言って青い袋をリーフィアに手渡した。


「この袋すごいわね、どこで手にいれたの?」


ハーベルは、これまでの事を細かに伝えた。


「なるほど、じゃあそのシオンさんかセノンさんは、無属性のようね」

「それにしても色々考えられているようね、参考になるわ」

「喜んでもらえてよかったです」


「ハーベル、しばらく私のとこで修行しない?」

「ぜひ、お願いします」

また、手を前に出してお辞儀をした。


「だから、告白かよ!」

クラリッサがまたツッコミを入れたが•••

「って、誰か反応してくれーーー」


リーフィアは、一から魔法の事を丁寧に説明してくれた。


「まあ、第一チェックポイントを通過したんだから、魔力のコントロールは一応できているようだけど、もっと精度をあげていきなさい」

「はい、師匠!」


「魔力のコントロールが、できるようになればこんなこともできるのよ」


「ハーベル、ファイアで攻撃してみて、全力でいいわよ」

「え、本当にいいのですか?」

「ええ、もちろん」


「ではいきます、ファイア!」

ハーベルが、詠唱するとドでかい火球がすごい勢いでリーフィアめがけて放たれた。


「ああ、やり過ぎた!」

リーフィアは、自然体のまま突っ立った状態でもろに攻撃を食らったかのように見えた。


砂煙で周りが見えなくなってしまったが、煙が晴れるとリーフィアは、さっきの姿勢のまま何事もなかったように静かに佇んでいた。


「あれ、確かに当たりましたよね?」

「思ったより火球が大きすぎて、砂煙で見えなかったかもしれないけど、確かに攻撃は当たったわ」


「じゃあ、なぜ無傷何ですか?」

「魔力障壁よ」


「魔力障壁?」

「魔力を身体の周りを覆うイメージで留めておくとバリアを張ることができるの、もちろん相手の攻撃の威力にもよるからコントロールは必要だけど」


「さらに、精密にコントロールできるようになれば、常に障壁を張った状態でも日常の生活を送れるようになるわ」


「ただ、人によって魔力総量が違うから限界はあるけどね、でもこれを無詠唱で常態化できれば少しずつ魔力を増やすこともできるの」


「何ですかそれ、マジでチートですね」

「まあ、普通はできないからね•••」


「そうなんですか•••」

「あとは、魔力を常に身体全体を覆う必要はないから、攻撃に応じて魔力障壁の厚みをコントロールすれば強力な攻撃も防ぐことができる。少しでも外したら即死するけどね•••」

リーフィアは、実際に魔力障壁をいろんな部位に片寄らせて見せた。


「なるほど」

「まずは、この修行をひたすら繰り返して、常態化と瞬時に防御箇所を移動させれるようにね」


「分かりました!」


「私たちも手伝って上げるからさっさと覚えなさい!」

「クラリッサ、ネルありがとう」


ハーベルは、集中して魔力障壁を張りながら、ネルとクラリッサに棒で身体のいろいろな部位を突いていってもらった。


その突かれた部位に瞬時に魔力障壁を移動していく訓練だ。


「あんた、本当に覚えが早いわね」

「本当、もうほとんどできてるわね•••とんでもない才能ね!」


「こんな感じでいいのかな?」

「うん、バッチリね!」

リーフィアはあまりの覚えのよさに少し戸惑っていた。


「じゃあ、次は魔力の物質への付与について説明するわね」

「はい!」


「ハーベルが、コインを回転させるときにやった方法に似てるわ」

「はい、師匠!」


「魔力を物質に移動させて強化する方法よ、さらに属性を乗せれば威力は倍増するわ」

リーフィアは、普通のナイフを取り出した。


「ハーベル、このナイフで私を刺してみて!」

「いや無理です、女性に攻撃なんてできません•••」

「なにいってるの?試験には女性もたくさんいるのよ!そんなこと言ってたらすぐに失格よ!」


「でも無理です!」

ハーベルは、かたくなに拒んでいる。


「分かったわ、じゃあ見てて」

そう言ってリーフィアが手に持っていたナイフを放り投げて自分の手のひらを落ちてくるナイフにかざした。


「師匠、危ない!」


ナイフは、手のひらに弾き飛ばされて全くの無傷だった。


「ええ、魔力で物理攻撃も防げるんですか?」

「そうなの、通常の武器や弱い魔力を帯びた武器ぐらいなら、ただの魔力障壁だけで防げるわ」

「すごい!」


「だから魔力操作が重要なの、さらに身体の魔力を持っている武器に集中させるとどうなると思う?」

「魔力障壁があっても攻撃が通るようになる?」


「そう、その通りよ、さらに炎属性を乗せれば火炎ナイフ、氷を乗せれば氷結ナイフとして攻撃できるって寸法よ!」


「そんな応用もできるんですね」


「昔の魔法は、さっきのハーベルが使った火球のように、詠唱によって魔法を直接攻撃に使うタイプのものが主流で、あっても属性付きの武器を使用するくらいだったのよ」

「はい」


「でも現代の魔法は、魔力操作によってさまざまな工夫がなされていて、個々の特徴や向き不向きによって様々な魔法が編み出されているのよ」


「よく分かりました、ここからは自分の創意工夫でいろんな可能性があると言うことですね」


「そう言うことよ」


「次は、属性について学んでいくわよ」

「はい!」


「まずはこれを見て」

リーフィアがそう言って属性の相関図を見せてくれた。


光ー闇ー虚空

 ー炎ー光線

 ー水ー聖水

 ー風ー雷鳴

 ー土ー成長


炎ー光ー光線

 ー闇ー黒炎

 ー水ー蒸発

 ー風ー加熱

 ー土ー硬化


風ー光ー雷鳴

 ー闇ー夜霧

 ー炎ー加熱

 ー水ー運気

 ー土ー砂塵


水ー光ー聖水

 ー闇ー毒素

 ー炎ー蒸発

 ー風ー運気

 ー土ー粘土


土ー光ー成長

 ー闇ー腐敗

 ー炎ー硬化

 ー風ー砂塵

 ー水ー粘土


闇ー光ー虚空

 ー炎ー黒炎

 ー水ー毒素

 ー風ー夜霧

 ー土ー腐敗


「こんな具合に、属性同士の組み合わせによってさらに新しい属性が使用できるの、ただし、属性を合成するには同等以上の熟練度が必要となるため、主属性同士しか使用できないのよ」

「そう言うことですか」


「例えば光と風属性持ちなら雷鳴属性が使えるのでライトニングも使用できるのだけど、炎属性がないから光線や加熱などは使用できないとかね」

「じゃあ、無属性はどうなるのですか?」


「言い質問ね、無属性と全属性持ちだけは特別で、すべての属性を同程度まで上げれるから、すべての合成魔法を使うことが可能よ、理論上はね•••」


「理論上は?」


「すべての属性を最大まで上げるにはかなりの努力と鍛練が必要となる、いくら全属性持ちでも実質すべての属性を上げることは不可能、普通は自分の得意な属性や習得したい属性をメインで上げるのがセオリーね」


「うう、そういうことか•••」


「俺は転生者なんですが、元の世界では薬剤師をしていました」

「そうなんだ」


やはり転生者になってしまったのね•••


「だから光と闇と水を中心に上げたいと思います」

「なるほど、聖水と毒素も使えるようにしたいってことね」

「はい、虚空ってどんな属性なんですか?」


「虚空は、特別で通常は光と闇属性を同時に持っていることは稀なことなのよ、だから虚空を使える者はかなり限られているわ」

「そうなんですか•••」


「虚空は、空間を操る魔法なんだけど使える者が少ないせいでよくは解っていないのよ、私もほとんど使える虚空魔法はないわ」


「そうなんですか、なんか面白い使い方ができそうなんですが•••」

ハーベルは、いろいろなシミュレーションをしている様子だった。


「あと大事なのが他の属性よ」

「他の?」


「他の属性もある程度は上げていかないと全体のバランスが悪くなってうまくコントロールできなくなることが多いのよ」

「ううん、奥が深いですね•••」


「そう言えば、光と闇属性を上げるならもうひとつ風属性も上げておくと夜霧と雷鳴も使えるようになるから便利よ、夜霧は幻影系の魔法を使えるから目眩ましなんかで重宝するわ」

「覚えておきます」


「さらに、魔力量も絡んでくるから普通は大変なんだけど、ハーベルはすでに50,000以上あるからそこは心配いらないわね」

「魔力をこれ以上増やすことは可能なんですか?」


「可能よ、さっきも言ったけど無詠唱で魔法を使い続けていると少しづつ増えていくのよ、ただ普通はそれ自体ができないから、実質増やすことを諦める者の方が多いのが現状ね」

「分かりました、無詠唱で魔力障壁を張り続けていれば、魔力コントロールと魔力量も増えて一石二鳥ですね」

「たぶん、ハーベルくらいしかそんな芸当できないけどね•••」

「そうですかね•••」


「とりあえず今日はここまで、まずは自分でシミュレーションを重ねて色々試してみなさい」

「はい師匠、ありがとうございました!」


ハーベルは、嬉しそうに頭のなかでシミュレーションしながら自分の家へ戻っていった。


ハーベル、魔法使いにも転生者にもさせたくなかったのに•••結局こうなってしまう運命のようね•••

あなた•••


リーフィアは、思い詰めた様子で頭を抱えていた。


次回 裏領域リバースレルムへようこそ!


続きの気になった方は、

ぜひともブックマークをお願いいたします。

最下部の⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ