創薬魔法の世界へようこそ!
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「あのーすいません」
「はい」
「話を聴いて貰えますか?」
「はい」
何か元気のない様子だ。
「どうしたんですか?」
「ええ?何か話があるんじゃないの?」
「ええ、その前にあなたの事が気になって•••」
「変わった人ね!急いでるんでしょ?用事は?」
「ああ、でも君の悩みを先に聞くよ」
「まあいいけど、実はこれを見て•••」
彼女は足にひどい怪我を負っているようでずっと動けないでいたらしい。
「この怪我じゃ、回復魔法でも治せないでしょ!だからMDになるのは諦めたの•••」
「そうだったのか!」
魔法の世界では時間が経ちすぎた怪我などは回復魔法では治せないというのがセオリーだった。
「だから、あなたの力にはなれそうもないわね•••」
「そんなことないよ、ジョッシュ!」
「なんで名前を?受験者番号で!」
「ああ、そうだったわね」
「あなたの名前は?」
「俺はハーベルって言うんだ!」
「ジョッシュ、その傷は化膿しているみたいだね•••」
「化膿?」
「ああ、とりあえず回復魔法をかけておくね」
「ルミナス•レストレーション!」
ジョッシュの傷はみるみるキレイになっていった。
「でもまだ痛むよね?」
「そうですね、内側がズキズキしますね」
「回復魔法でも外の傷は復元できるけど化膿していたり、骨折などで時間が経っていると内側の修復にも時間がかかるんだ」
「そこでずっと考えていたことがあるんだけど、試してみてもいいかな?」
「なにするの?」
「この傷は、傷を負ってからずいぶん時間が経ってしまっているので細菌が入って化膿してしまっていたんだ、回復魔法で表面的には復元できているけど化膿している部分を治療しないとすぐには歩けない」
「なに言ってるのか分からない•••」
「化膿止めの薬を魔法という形で再現できないか試そうと思う」
「痛くない?」
「ああ、痛くないよ」
「じゃあ、お願いします」
「セファリック•キュア!」
ハーベルは、前世の薬剤師の知識を活用してセフェム系の抗生剤を魔法で再現してみた。
通常、抗生物質が効果を発揮するためには数日かかるが、セファリック•キュアは、細菌を死滅させる効果と炎症を抑える効果を同時に発揮し、さらに時間を早める効果も付与されていた。
「うわあ、なにこれ?足の痛みが全くないよ?」
「効果があったみたいだね」
「何が起こったか分からないけどありがとう!ハーベル•••」
ジョッシュは顔を少し赤らめて微笑んだ。
「ところでハーベルのお願いってなんなの?」
「ああ、忘れてた!」
「忘れてたって•••」
クスクス笑っている。
「ええっと、急いで60階層までひとり連れて行かないといけないんだ!」
「付いていけばいいの?」
「うん、お願いできないかな?」
「もちろん、だって命の恩人だもの」
「いや、そんな大袈裟な!」
「で、どうすればいいの?」
「どっこらしょ!」
ハーベルは、アイテム袋からガンメタのカッコいいスカイバイクを出した。
「スゴイ!」
「さあ、後ろに乗って!」
外部からモニターしていたセノンが呟いた。
「まったく!お母さんたら!」
【PSW Detective Agency】のオフィスでシオンがクシャミをしていた。
「くしゅん!」
「あれ、誰か噂してる?」
ハーベルは、スカイバイクでぶっ飛ばして、魔物もすべて一人で倒して、レオンたちの待つ40階層へたどり着いた。
「はあ、はあ、レオン、お待たせ!」
「ハーベル、よかった間に合ったよ、ちょうど最後の10人が出発するところだ!」
「ああ、こちらはジョッシュ!」
「ジョッシュです、よろしくお願いいたします。ハーベルには命を助けられました」
「お前、いったいなにしたんだよ?」
「いや、怪我を治しただけだよ!」
「へえ~~」
レオンは悪そうな顔した。
「まあいい急いでくれ!」
「みんな、お待たせ!」
「間に合ってよかった!」
「ハーベル、お帰り!」
「ハーベル、遅いから置いてくところだったよ!って、ハーベルが来ないと人数足らないか!ハハハ•••」
「ったく•••」
「さあ、50階層だ!」
「よし、10人待ってるな!」
「さっさと60階層へ上がろう!」
次回 再会の時へようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!




