魔法の世界へようこそ!
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ハーベルは、家に帰って早速メールを確認してみた。
「予備試験合格おめでとうございます。
あなたは、MD試験の受験資格を得ました。
下記期日までに指定の場所までお越しください。
集合場所:マルーレ火山付近
集合時間:○○月○○日 正午まで
追伸:移動手段、情報収集の手段は問いません。」
「なんだこれ?あと1ヶ月しかないし、マルーレまでどんだけ距離があると思ってるんだよ」
「てか、金もないし•••あのオンボロバイクで行くしかないか•••」
ちょうど明日から夏休みだ。
ハーベルは、有り金をすべて持ってオンボロバイクで走り出した。
「確か情報の入手方法は何でもありって書いてあったな•••とりあえず、PSWへ行ってみるか•••」
「やっぱりデカイな•••」
ハーベルは、オンボロバイクを停めて入口の自動ドアを入っていった。
「あのーMDについて聞きたいことがあるんですが?」
「大変申し訳ございません、弊社は探偵事務所となっておりますので、そのようなご質問にはお答えいたしかねます、どうかお引き取り下さい」
と受付嬢が丁寧に頭を下げた。
「やっぱりダメか•••」
トボトボと帰ろうとすると、
「そこの君、君だよ!」
「え、俺ですか?」
そこには、この間あったセノンによく似た長い髪の女性が立っていた。
「あれ、セノンさんのご家族の方ですか?」
「セノンの母よ」
「ああ、お母さんでしたか•••お若いのでお姉さんかと思いました」
シオンは、ちょっと頬を赤らめて嬉しそうに言った。
「ハーベルさんでしょ、どうしてここへ?」
「MDの試験に行きたいのですが、お金もあまりないしあのオンボロバイクで行くしかないので、何か良い情報が聞ければと思って訪ねました」
「なるほど、なかなか良いところに目を付けたわね」
「え?」
「メールに情報収集の手段は問わないって書いてあったでしょ?」
「はい」
「てことは何でもありってことよ」
「そうなんですか?」
「では、ヒントをあげるわ」
「ヒントですか•••」
「実は、マルーレに行く途中に何ヵ所か立ち寄る場所があるのよ」
「中継ポイントみたいなものですか?」
「そうね、そこを抜かすとゴールにはいつまで経っても着けないわよ」
「あと、これを先に渡しておくわ」
シオンは、青い袋を手渡した。
「何ですか?」
「無限収納袋よ」
「え?」
「まさに何でも入るわよ」
「何でも?」
「いくつかアイテムも入ってるから自由に使っていいわよ」
「ありがとうございます」
シオンは、袋の使い方を一通り説明すると表まで案内してくれた。
「最後に、これを使って」
そう言って、袋に手を入れると、
カッコいいガンメタのスカイバイクが現れた。
「すっげえ、カッコいいな!」
「使っていいんですか?」
「もちろん」
「なんてお礼言っていいやら•••」
「あんまり気にしないで、中継ポイントを見逃さないでね」
「ありがとうございます」
ハーベルは、早速オンボロバイクを袋に入れると、カッコいいスカイバイクで颯爽と行ってしまった。
「会長•••こんなことして大丈夫なんですか?」
「いいのよ•••」
「セノン社長に叱られても知りませんよ!」
「セノンも許してくれるわ•••きっと」
MDを目指す者の目的は多岐にわたっている。
単に魔法を使いたいという安易な者から正義のための魔法使いになりたいという者、お宝を狙って一攫千金を夢見る者、魔法を使ってよからぬことを企む者まで•••
MDパスを手に入れるといろいろな特典が付いてくる。
まずは、三種の神器と呼ばれる通常では手に入らないアイテムを入手できる。
さらに、千年迷宮に自由に出入りできる権利を得て迷宮内で手に入れたお宝を全て自分のものにすることができる。
お宝の価値はピンキリだが、神器クラスの物ならオークションで売れば一生遊んで暮らせるくらいの富を得ることができる。
そのため、闇の世界ではMDパスそのものも取引されることさえある。
しかし実際は、セノンが迷宮を管理しているため正式なパスの持ち主以外は使用できない。
千年迷宮とは、セノンが管理する別次元に存在する1,000階にもおよぶダンジョンの名称でMD試験の会場でもあり訓練場でもある。
千年迷宮内は、1日毎にリフレッシュされるため内部のモンスターやお宝は1日毎に補充される。
万一ダンジョン内で死亡すればもちろん本当に命を落とす。
さらに、ダンジョンの浄化作用により1日毎のリフレッシュ時に遺体はきれいさっぱり消えてしまい、その本人の存在自体がなかったものになってしまう魔法がかけられている。
このため、死傷者が出ても大事になることはない。
さらに、ダンジョン内で起こることはすべて自己責任で、たとえダンジョン内で他のMDに殺されてお宝を奪われたとしても文句は言えない。
もちろん死んでるから文句も言えないのだが•••
ハーベルは途中の公園で休憩中に、アイテム袋を調べてみた。
「シオンさんが言ってた中身は、このカッコいいスカイバイクと冷蔵庫と食料棚がいくつかと家が入ってるからとか言ってたな•••」
「家って•••」
そう言いながら家をイメージしながらアイテム袋に手を入れてみた。
「うわ、本当に家が出てきた•••」
こじんまりしたかわいい木製の家が姿を現した。
「お邪魔しま~す、中は結構広いな、俺の部屋より広いかも•••」
この無限収納袋の中身は、時間が停止する魔法がかけられていて、入れたときの状態を保ったまま収納できるのが特徴だ。
「家具も一通り揃ってるみたいだから泊まるところも心配なさそうだ」
「食料も1年分は入っているって言ってたし、至れり尽くせりだな」
さらに、家には隠蔽魔法が施されていて一般人からは認識できないようになっているようだった。
次回 我が家へようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!