刻を操る者たちへようこそ!
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「ああ!」
冥竜が気がつくのと同時に、
「ウチの勝ちやーーー!」
魔神龍の鋭い悪魔のような爪が、レオンの方を振り返った臥竜の背中に•••
突き刺さったかのように見えた。
その時、レオンの瞳が氷のような冷たい輝きを放った。
「おい!ニキサー!なんだこれは?」
レオンがそう言って超スローモーションで襲いかかってくる、ニキサーの鋭い爪を真横から叩き折った。
「グギャッーーーーーー!」
天を引き裂くような物凄い声で魔神龍が悲痛な叫びをあげた。
一瞬、レオンとハーベル以外は何が起こったのか分からず呆然としていた。
「ニキサー!どうした?」
ダリアンが慌てて魔神龍に駆け寄ると、右の翼の爪がバキバキに折られていて、真っ黒な血が吹き出していた。
「ウチの手が•••ウチの•••」
魔神龍は、血だらけの右の手を見ながら狼狽えている。
「とっくに、戦意を喪失しているのに背後から襲ったりするからそうなるのさ!」
レオンが吐き捨てるように言った。
「まあ、今のはニキサーが悪いな!」
ハーベルも渋い顔で同意した。
「はあ、はあ、お前ら絶対に許さない!ウチが全員喰ってやる!」
ニキサーが激昂してわめき散らした。
「まあ、よく考えてみろ!」
レオンが冷静にそう言うと、
「うるさい!」
ニキサーは完全にキレていた。
「今の攻撃、見えたのか?」
レオンがさらに落ち着いて、首をかしげながら聞くと、
「うるさい!攻撃なんか見えなくても、これでお前ら全員消えてしまえ!」
魔神龍の口から、卵ほどの大きさの深淵の奥の奥へと続くような漆黒の球体がゆっくりと放たれた。
「あっ、ニキサー!」
ダリアンが手で止める仕草をしたが遅かった。
全員の中央までゆっくり進んで止まったその球体は、一瞬縮んで一点になったかと思うと、物凄い勢いで拡がり深淵へと続く漆黒の口が開いたようだった。
「ハーベル!ブラックホールだ!」
レオンが気がつき叫んだ!
その瞬間、周りにあるすべてのものが、なす術もなく一瞬で吸い込まれて、また真っ黒な一点になって消えた。
「ニキサー!俺まで殺す気か!」
「ああ、ごめん•••ウチ、キレちゃった•••」
魔神龍は可愛く舌をペロリと出した。
その場一面には何も残っておらず、ニキサーとダリアンだけが佇んでいた。
「ちっ、つまんない!楽勝だな•••」
「帰ろ!」
ニキサーとダリアンがそう言って飛び立とうとした瞬間、
「おい、おい!このまま帰る気か?」
「えっ?」
「誰だ?」
ダリアンたちがそう言って振り返った。
そこには、ハーベルとレオンが、人間の姿のガクとメイを連れて立っていた。
ガクとメイも何が起こったか分からず震えているようだった。
「レオン!サンキュー!教えてくれなかったら間に合わなかったよ!」
「いや、ハーベルなら大丈夫だと信じてたけどな!」
レオンとハーベルは、肘をぶつけ合って拳を合わせた。
「嘘だ!ウチのカオス•デバウアーは避けられない!」
「はあ•••」
ニキサーとダリアンが口をあんぐりして二人を見ていた。
「いや、あり得ない!あのタイミングで生きているはずがない!」
ダリアンはどうしても信じたくないような口ぶりだった。
「いや、実際にここにいますけど?」
レオンが挑発するように言った。
ニキサーが怒りに任せて、今度は左の翼の爪でレオンの真正面から突き刺して来た。
「キャーーー、レオン逃げて!」
メイが叫んだ、次の瞬間、
「ウゲギャーーーーーーー!」
絶叫が響き渡った。
「何で、何で•••ウチの手が•••」
今度は魔神龍の左の翼ごとへし折られていた。
レオンが翼をクルクル回してどこかへ放り投げてしまった。
魔神龍は大量の黒い血を垂れ流しながら狼狽えている。
「なんなんだ、お前たちは?」
思わずダリアンが訪ねると、
「ただの人間だけど?」
ハーベルが平然と言った。
「今回は、これくらいにしておいてやる、覚えてろよ!」
ダリアンがお決まりの捨て台詞を吐くと、ニキサーを連れて一瞬で消えてしまった。
「レオン、何があったの?」
ガクが震えながら聞いた。
「ああ、さっきの一瞬、僕のモーメント•エターニティでハーベルごと時間を遅らせて、ハーベルのアルファ•オメガで少しだけ時間を戻してブラックホールを空間ごと消し飛ばしただけだよ!」
レオンが説明してくれた。
「いや、だけだよって•••」
「相変わらず、二人ともめちゃくちゃだね•••」
ガクとメイも驚いている様子だった。
次回 混沌と秩序の間へようこそ!
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