闇への誘いへようこそ!
オウカはいつも通り【ノクターニア】の修練場へやってきて、レオンと一緒にリバースサーフェスの訓練に勤しんでいたが、心ここにあらずと言った感じだった。
「オウカ、元気ないな?」
レオンが心配そうに尋ねた。
「はい、実は•••ちょっと失敗してしまいまして•••」
オウカはアイオンとハーベルを引き合わせた時の経緯を聞かせた。
「あの温厚なハーベルがそんなに怒るなんて、信じられないな」
レオンが不思議そうに言うと、
「はい、私が悪いんです•••」
オウカは塞ぎ込んでしまった。
オウカは、レオンとの修練の中でリバースサーフェスを自在に操れるようになり、自信に満ちていた。
しかし、その一方で、過去を変えたいという欲求も強くなっていたのだった。
そんな折、アイオンが突然現れた。
「オウカ様、私を覚えていらっしゃいますか?アイオンです!」
美しい笑顔で現れたアイオンだったが、その瞳には冷酷な光が宿っていた。
「アイオン様、お久しぶりです。お変わりありませんか?」
オウカは警戒しながらも、アイオンに話しかけた。
「少しばかり、お話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
アイオンは、オウカを静かな場所に誘い、ある提案をした。
「オウカ様には、無限の可能性があるのです。過去をやり直すことだって、可能です。例えば、ご両親を亡くした過去をなかったことにすることもできるのです」
アイオンの言葉に、オウカの心は揺り動かされた。
オウカは幼い頃に両親を亡くしており、その心の傷は深く、いつも孤独を感じていた。
「でも、そんなことしたら…」
オウカは、過去を変えることの恐ろしさを知っていた。
しかし、アイオンは巧みにオウカの心を操り、その不安を消し去ろうとした。
「オウカ様なら、きっとうまくやれるはずです。過去をやり直すことで、もっと幸せな未来を手に入れることができるのです」
彼女の甘い言葉に、オウカは次第に心を奪われていった。
そして、ついにアイオンの提案を受け入れる決意をしてしまった。
オウカは、アイオンの指示通り、リバースサーフェスで過去に戻り、両親の命を救おうとした。
しかし、過去を変えた瞬間、精霊界は大きく歪み始めた。
「これは•••!」
オウカは、自分のしてしまったことに恐怖を感じた。
一方、【ルミナラ】では、ハーベルが異変に気づき、慌ててオウカを探していた。
「オウカ!どこにいるんだ!」
ハーベルは、オウカの部屋を駆け回ったが、オウカの姿はどこにもなかった。
「まさか•••」
ハーベルは、悪い予感を抱いた。
ハーベルはイヤーカフスに触れると、レオンへ連絡してみた。
「レオン!オウカは?」
レオンも時空の歪みに気がつき、やはりオウカを探し回っていた。
「ハーベル、ごめん!僕がついていながらこんな事態になってしまうとは•••」
「今は、それどころじゃない!早くオウカを見つけて、過去を元に戻さないと!」
「ああ、分かってる•••」
レオンはハーベルの言葉で我に返った。
オウカは、自分がしてしまったことを悔やみながらも、アイオンの元へ戻って行った。
「どうでしたか?」
アイオンは、冷酷な笑みを浮かべた。
「私は…何をしてしまったのでしょう•••」
オウカは虚無感を抱きながら、そう呟いた。
アイオンは、オウカの肩に手を置き、優しく語りかけた。
「これから、私たちは新しい世界を築くのです。オウカ様は、その中心に立つのです」
オウカは、アイオンの言葉に再び心を奪われそうになったが、ふと、レオンの顔が浮かんだ。
「レオンさん•••私は、何をすればよかったのだろう•••」
オウカは涙を流しながら、そう呟いた。
その時、突然、激しい真っ白な光が部屋を照らした。
「オウカ!」
それは、ハーベルの声だった。
ハーベルは、リバースサーフェスの力で、オウカを元の時間に戻そうとしていた。
「ハーベルさん•••」
オウカは、ハーベルの姿を見て安堵した。
「もうこれ以上、こんな愚かなことはするな!」
ハーベルは、オウカを強く抱きしめそう呟いた。
オウカは、ハーベルの温かい胸に顔を埋め号泣していた。
「私は、もう二度とこんな愚かなことをしません。ハーベルさんの言うことを聞きます」
オウカは、過去の過ちを深く反省し、新たな決意を固めた。
「ハーベル!」
そこへレオンも合流してきた。
「レオン!とりあえず、オウカは見つけ出したが•••」
ハーベルが口ごもった。
「このままでは、この、精霊界が崩壊してしまう•••」
レオンが悔しそうに地面を強く踏みつけた。
そして、もうすでにアイオンの姿はどこにもなかった。
三人は力を合わせ、歪んだ時空を元に戻すために動き出すのだった。
次回 オウカの決断へようこそ!




