黎明と終焉の試練へようこそ!
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「黎明と終焉の試練へようこそ!」
クローヴィスが深々と頭を下げてお辞儀をした。
「今から、過去のある時点へ戻っていただきます。もちろん、先ほどもお話したように過去を変えることはできません。しかし、仮に実際に過去へ戻ることのできる能力があれば、その先の未来、つまり、現在から見た過去の別の未来を選びとることは可能です•••」
「ですが、今回の試練はあくまでも擬似的なもので、本当の過去ではありませんので、未来が変わることはありませんのでご安心下さい」
「この試練では、未来を変えるとどのような結末が待っているのかを擬似体験して頂くのが本質ですので、その終焉をしっかりと目に焼き付けておいて下さい!」
クローヴィスが説明を終えると、先ほどの【時の砂時計】をひっくり返した。
すると、【無限の時計塔】が動き出して、ハーベルの目の前が真っ白になった。
••••••••
「ここは、国立博物館?ああ、思い出した、エクリプス•エンクレイヴに【白虎】を盗まれた後だ!」
••••••••
国立博物館の裏口では、
「あれ、ガルシアさん!こんなところで何してるんですか?」
ハーベルが不思議そうに聞いた。
ガルシアはハーベルを見てニヤリと笑うと、
「プシュケ•スタミナ!」
「おい!ハーベル!」
レオンが間一髪でハーベルを引き寄せた。
「惜しかったね•••」
「ハーベル!」
「ルミナス•シャドウ!」
「はっレメディア•ヴェノミスト!」
「ほほう、能力を身に付けたようだな!裏へ!」
ガルシアは、リフトを開くとゆっくりと入っていった。
「おーーい!ガルシア何遊んでるんだよ!」
トリガーが大きな声で叫びながら裏口へ飛んできた。
ガルシアはリフトから顔を出すと、ハーベルに向かって、指で来るように誘ってきた。
「ハーベル、行くんじゃない!
アイツはお前を殺す気だ!」
••••••••
「ああ悔しい、ここで俺はレオンの制止を振り切ってガルシアさんとの闘いを選んでしまったんだった•••」
「もし、ここでリバースレルムへ行かずにレオンの戦闘の方へ行っていたら、アルクさんも死なずに済んだかも知れないのに•••」
••••••••
その頃サーフェスレルムでは、
「ネル、クラリッサ、無理するな!」
クラリッサは【EclipseRay-KC99】で
「オブシディアン•レーザー•ミスフォータス!」
と連射していた。
フウマとトリガーが軽く交わそうとするが、いつまでたっても弾丸が追尾してくる。
「なんだ誘導弾か?」
「はっ!」
「はっ!」
気合いで二人とも弾き飛ばしてしまった。
「まだ、威力が弱いか•••」
「お嬢ちゃん!」
トリガーがネルの目の前に顔を出した。
「シャドウ•シフト!」
レオンがネルを掴んで移動した。
「ここで待ってて!」
「はい!」
「僕が相手してやるよ!」
「シャドウ•グレイシャル•グリップ!」
「シャドウ•オーロラアイス•ジャベリン!」
素早く詠唱すると、漆黒の氷の鎖がフウマとトリガーの足を強力に締め付ける!
「コイツは外せねえ!」
立て続けに漆黒の氷の槍が無数に現れ二人を貫いた。
「ぐはっ!」
トリガーは口から血を吐きながら苦しそうにもがいている。
フウマは、片足を失いながらも何とか逃れて宝玉も持ったまま逃げていった。
••••••••
「ここで、ガルシアさんに【白虎】を取られて、マリフィスの所へ持っていかれたから•••」
「レオンは、お父さんのアルクの戦闘に間に合わなかったんだ!」
「だったら、レオンの変わりに俺がトリガーたちと闘っていれば、レオンは間に合ったはず!」
「アルファ•オメガ!」
ハーベルがリバースサーフェスを発動させた。
時間が巻き戻って行くと、ハーベルがガルシアとの戦闘前まで戻っていた。
••••••••
「ハーベル、行くんじゃない!
アイツはお前を殺す気だ!」
「ああ、分かった!ここは俺に任せて、レオンはガルシアを追ってくれ!」
「分かった!ハーベル、任せた!」
その後、トリガーを仕留めて、フウマの片足を奪って、エクリプス•エンクレイヴは逃げ仰せてしまった。
その頃、ガルシアを追って行ったレオンはマリフィスと対峙するアルクを見つけ、闘いはマリフィス•ガルシア対アルク•レオンと言う形となり、辛くもマリフィスたちが勝利し、やはり逃げられてしまった。
以前と違うのは、アルクがレオンに助けられて死なずに済んだことだった。
「ハーベル!ありがとう!」
「何が?」
「あの時、僕を先に行かせてくれなかったら、どう転んでいたか分からなかった!父さんと一緒に闘わせてくれてありがとう!」
「二人とも無事でよかったよ!」
••••••••
これで何が変わるんだろ?
「アルファ•オメガ!」
時間を早送りにしてみた。
••••••••
あの後、アルクが生き延びたことにより、ハーベルがレオンとアルクの魔力を分け合うための【シャドウユニティリングス•改】URを作る必要がなくなってしまった。
それから、レオンはアルクと疎遠になり始め、戦闘に明け暮れるようになってしまう。
ハーベルたちとの付き合いも遠退き、最後にはアサシンの道へと堕ちてしまう。
リバースレルムでは、闇の王様がマリフィスのままで、【エクリプサラ】と隣の【ムーンヘブン】はいがみ合ったままだった。
ハーベルは何とか、【ルミナラ】の建国には成功するが、各国の王様の協力が得られるはずもなかった。
そんな中、魔王の強襲を受けて、【ムーンヘブン】と【エクリプサラ】は崩壊してしまい、エレメンタル•スパイアへの道も閉ざされてしまう。その後、精霊界は滅びへと進み終焉を迎えるのだった。
••••••••
ハーベルはハッと目を覚ました。
「ハーベル様、どうでしたか?」
ハーベルは考え込んでいた。
「クローヴィス、少しの選択ミスで最終的には、全く違う未来になってしまうんだな•••」
ハーベルはしみじみ言った。
「それを学んで頂きたかったのです!」
クローヴィスはハーベルに頭を下げた。
「ぜひ、このことを肝に銘じて精進していっていただきたいのです!」
「ああ、ありがとう!クローヴィス!」
ハーベルはクローヴィスの手を握った。
「では、100階へお進み下さい」
クローヴィスは名残惜しそうにハーベルに最大の敬意を込めたお辞儀をした。
次回 エレメンタル•サンクタムへようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!




