マールの罠へようこそ!
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「そういえば、ハーベル!」
「なに?」
「さっきから、モノクルで何を見てるんだ?」
「これで、凝視すると、ヒントの道筋みたいなものが見えるんだよ!」
「そうだったのか」
ブリッツはうんうんうなずいている。
「えーと、ここでお知らせがありまちゅ!」
「もう、そのキャラ要らねえだろ!」
ブリッツがツッコミを入れた。
「この実験から、モノクル禁止でちゅ!」
「はあ?お前、それ今決めただろ!」
ブリッツが文句を言い始めた。
「いや、決定事項でちゅから!」
マールが言い張っている。
「ええと、モノクルを渡せばいいのか?」
ハーベルが真面目に聞くと、
「はい!預かりまちゅ!」
「はい、はい•••」
ブリッツがハーベルからモノクルを預かると、マールへ渡した。
「じゃあ、土の実験だよ!」
マールが少し元気に見える。
「あそこにある像が見えるかな?」
マールが指差した。
そこは広い運動場のような場所の中央付近に、女神の像が立っていた。
「これと全く同じものを横に立ててくだちゃいな!」
マールがこれでどうだ、と言わんばかりに言った。
「おい!マール!これって、モノクルがないとできないやつじゃないか?」
ブリッツが文句をつけた。
「いや、知らないよ!」
フフフフンと、鼻歌まじりで知らんふりをしている。
「まあ、まあ、ブリッツ!やってみるよ!属性はなんでもありか?」
「ああ、ここは制限なし!」
マールが嬉しそうに言った。
ハーベルは女神の像をまじまじと見つめるとおもむろに、
土魔法でそっくりの土人形を作って見せた。
「どうかな?」
「はーい、失格でーす!」
「なに!そっくりだろ!」
ブリッツが噛みついた。
「いや、形だけじゃダメ!素材も一緒でないと!」
「くそ、それはモノクルがないと分からないんだろ!」
「知りましぇーーーん!」
マールは知らんぷりだ。
ハーベルが女神像をよく観察していると、
「これは、石膏ぽいな•••そうすると、硫酸カルシウムの可能性が高いか•••」
ハーベルは考え込んでいる。
「マール、少し削るぞ!」
「お好きにどうぞ!」
ハーベルは、像の下の方を少しだけ削り取って粉末にした。
ハーベルは、魔法で塩酸を作り出すと、先ほどの粉末を溶かした。
さらに、魔法で塩化バリウムを作り出して、加えていくと白い沈殿物が現れた。
「なるほど•••」
ハーベルはなにやら納得しているようだった。
「あれ?石膏の下に金属が見える•••」
ハーベルが少し削り取って、炎の中へパラパラと振りかけると、緑色に炎の色が変わった。
「なるほど、銅ね•••」
ハーベルは集中すると、まずは銅像で女神像を作り出して、石膏で周りをコーティングした。
「マール!どうかな?」
「ちっ、正解!」
嫌そうに答えた。
「マール!」
どこからともなく怒った口調の声が聞こえた。
「やべっ•••」
「マール!ちゃんと審査できないのであれば外しますよ!」
その声は、さらに怒った口調で言った。
「だって、コイツってば、モノクル全然使ってないんだもん!」
「えっ!そうなのか?」
ブリッツが驚いていった。
「モノクルのヒントと違うことばっかりするから、モノクル要らないだろ!」
「そうだったのか•••ハーベル•••」
ブリッツは呆れていた。
「だって、違う方が面白いでしょ?」
「うん、まあね•••」
「マール!モノクルを返しなさい!さもなければ、あなたをこの階から降ろします!」
「分かりました。アウリエル様!」
「アウリエル?」
ハーベルは少し気になったが、
「じゃあ、返すよ!」
マールが残念そうにモノクルを手渡そうとした瞬間、手からすり抜けたモノクルが地面に落ちてヒビが入ってしまった。
「ああ、ごめんよ!わざとじゃないんだ•••」
マールが悪びれた様子で言った。
ハーベルは壊れたモノクルを拾うと、右目にかけた。
「マール、ありがとう!」
「ああ、いや•••」
••••••••
「次は、光の実験です」
マールが普通に説明し始めた。
「キャラやめたのか•••」
ブリッツが呆れ顔で言った。
そこには、無数のいろんな形の鏡があり、いろんな角度で置かれていた。
「このスタートの鏡の、ある一点に光を照射すると、最後にこの的の中心に当たるはずだ!」
マールは淡々と話を進めた。
「お前、これまた、モノクルがないとできないやつだろ!」
ブリッツが怒ったように言うと、
「だから、謝ってるだろ!」
そう言って後ろを向いてベロを出した。
「なるほど」
ハーベルは鏡をいろんな角度から観察し始めた。
ハーベルは【Ethereal Ember SR99】を構えると、まずスタートの鏡に赤色の光線を照射した。
光線は明後日の方向へ行ってしまった。
「こんな感じか•••」
「ハーベル!これ、モノクルがないと無理だろ!この広い鏡の一点しかないんだろ?」
ブリッツが心配そうに言った。
ハーベルが今度はゴールの的の前に立つと、的の中心の延長線上に立ち、赤い光線を照射すると、
ピュン、ピュン、ピュン、ピュン•••••
光線は反射を繰り返してスタートの鏡に赤い点が写し出された。
「ブリッツ!その赤い点をマークして!」
「あいよ!」
ブリッツが点の位置にちょんとマークした。
ハーベルがスタートに戻って、そのマークの周りを丸で囲むと、マークを外して、【Ethereal Ember SR99】を構えた。
ピュン、ピュン、ピュン、ピュン•••••
赤い光線は見事的の中心に写し出されていた。
「はいはい、そう正解です!」
マールは投げやりな感じで言った。
「なんだ、コイツ最低だな•••」
ブリッツは怒っていたが、
ハーベルは壊れたモノクルを右目にはめたまま、楽しそうに歩いて行った。
次回 幻影の戦場へようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!




