霧の秘密へようこそ!
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「やっと半分来たな!」
「次で95階か?」
ブリッツが肩に乗った。
「さあーて、君たちは【霧の指輪】をちゃんと持ってきたかな?」
若いドワーフが教師のような口調で尋ねて来た。
「はい!」
「よろしい!今から【霧の指輪】の使い方を説明するから、よく聞いてね!」
「お願いいたします!」
ハーベルは頭を下げた。
「良い心構えだ!」
ドワーフは腕組みをしてうんうんと首を縦に振っている。
ドワーフの話では、
【霧の秘密】
霧深い森の迷路のようになっているダンジョンで、1m先も見えないほどの霧が覆っている。
【霧の指輪】を使うと、一時的に霧を晴らしたり、霧で隠されている道を見つけることができるらしい。
さらに、指輪によってのみ見つけることのできる【秘密のアイテム】があるとのことだった。
そのアイテムを見つけ出して、ゴールまでたどり着けたらクリアとなるそうだ。
「また、何も見えないな•••」
ハーベルが不機嫌そうに言うと、
「まあ、さっきよりは明るいからましじゃねえか?」
ブリッツが元気つけるように言った。
「いや、今回は【エコーストーン】もないから先が見えない、かえってこっちの方が厄介かもしれない•••」
「そっか•••その【霧の指輪】はどうなんだ?」
「さっき試してみたけど、一瞬霧が晴れるだけで、5分間使用できないから、使いどころが難しいな•••」
「なるほど•••」
ハーベルは手探りで進みながら集中していた。
「何かいる!」
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ•••
「ハーベル!矢がたくさん飛んできてるぞ!」
「ああ、ブリッツは隠れていて!」
「なんだ、数が多いな•••」
「あれは、ホフビットだ!」
ブリッツが叫んだ。
シュッ、シュッ•••
「ホフビットって、なんだ?」
「ああ、ネズミ人間だな!」
「へえ、そんなのが居るんだ•••」
「視力がメチャクチャよくって、飛び道具を得意とする種族だ!」
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ•••
「それなら!」
【Ethereal Ember SR99】を構えて、意識をホフビットの魔力へ集中させた。
ハーベルは魔力の数発の弾丸を撃ちだすと、遠くで何かが壊れるような音がした。
「よっしゃ!武器を壊してやった!」
「器用だな•••」
ブリッツは少し呆れていた。
シュッ、シュッ、シュッ•••
「うわ!また射ってきた!」
「武器を補充したのか•••」
しばらく撃ち合っていたが、武器はなかなか尽きないようだった。
「もう、ホフビットを狙っちゃえ!」
ブリッツが痺れを切らせて言った。
「いや、きっとあのホフビットたちも、ドワーフたちと同じで仕事でやっているんだろ?殺せないよ!」
「まったく•••」
シュッ、シュッ、シュッ•••
「うっ••••」
「ハーベル!大丈夫か?」
ブリッツが心配そうに叫んだ。
「うん、かすっただけ•••あれ•••あれれ•••目の前が真っ暗に•••」
「ああ、毒矢だ•••」
ブリッツが倒れ込んだハーベルに回復魔法をかけた。
「くそ、解毒魔法は使えないのに•••」
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ•••
「くそーーー!」
ブリッツは叫んで、回復し続けた。
••••••••
ぽつん、ぽつん•••
「うん?雨?」
しばらく気を失っていたハーベルが目を覚ますと、顔に何かが降ってきていた。
「え、血?」
ハーベルが上をみると、ブリッツが血だらけで、ハーベルを回復してくれていた。
「ああ、ブリッツ!」
「おお、相棒!起きたか!おせえよ!」
満身創痍のブリッツがハーベルの腕に倒れ込んで来た。
「ああ、すまない•••」
ハーベルは急いで回復魔法を唱えた。
「フェニックス•レストレーション!」
傷だらけのブリッツの身体が虹色に光ったかと思うと、美しい青色に毛並みのカーバンクルが現れた。
「ああ、良かった!ブリッツ!」
「さすがに、死んだかと思ったわ!」
「ごめん•••」
「気にすんな!」
「でも、よく耐えきったね!」
「ああ、矢は全て尻尾で振り払って、お前に回復かけ続けたっちゅうーの!」
ハーベルはブリッツを思わず抱きしめた。
「苦しいわ!」
ハーベルは涙が出てきた。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ•••
「あいつら、まだ諦めてないのかよ!」
ブリッツがイライラしながら言うと、
「俺に任せな!」
ハーベルがそう言って、【Ethereal Ember SR99】を構えると、
「トランキライザー•バレット!」
一気に無数の弾丸が放たれたかと思うと、周りが急に静かになった。
「ハーベル!殺したのか?」
ブリッツが心配そうに聞くと、
「いいや、失神させた!」
ハーベルは決め顔で言った。
「初めからやれよ!」
ブリッツがハーベルの頭を尻尾で殴り付けた。
「いや、今思い付いたんだよ!」
「ちぇっ!」
そのまま【霧の指輪】を使って迷路を攻略していくと、
「そういえば、秘密のアイテムとか言ってなかったか?」
「ああ、言ってたね•••」
「どこだよ!」
ブリッツはかなりイラついている様子だった。
ブリッツがイラついて石を蹴り飛ばすと、何か光るものを見つけた。
「おい、ハーベル!」
「なんだ?」
「これなんだ?」
ブリッツが鈍い光を放つ穴を目で合図した。
「これか、【霧の指輪】をはめて見よう!」
ハーベルが指輪を近付けると、穴が広がり中には、一冊の魔導書が入っていた。
「魔導書か•••」
「何に使うのかな?」
「まだ、分からないな•••」
ハーベルはぶつぶつ言いながら先を進んでいった。
「ここが、最後の部屋のようだな!」
すっかり霧は晴れて視界良好だった。
「ハーベル!あの、祭壇に本を置くんじゃないか?」
「うん、やってみる」
ハーベルは祭壇へ魔導書を置いてみると、どこかでカチッと音がして次への扉が開かれた。
「やっとか•••」
「長かったな•••」
二人は項垂れて倒れそうになりながら歩いていった。
ハーベルはさっきの魔導書が気になって持ってきてしまっていた。
次回 幻覚の花園へようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!




