共闘戦線へようこそ!
「ここがグリッド地区か、チェックポイントはと•••」
「あれは、チャンクス!」
ちょうど別の受験者が第4チェックポイントに挑戦しようとしたところに、チャンクスがリフトから現れた。
「お前は何者だ?」
「は~い、ひよっこちゃんたちのご退場で~す」
チャンクスは、相変わらずふざけた感じで受験者を襲っていた。
「チル•ゲイルツイスター!」
受験者たちは、一瞬で凍らされてしまった。
「いや、一人残っているぞ!」
「ほほう、こいつを避けるとはな、只のひよこじゃなさそうだな!」
「お前のような奴はここで死ね!」
その受験者は、そう言うと距離を取って手を前に伸ばして組んだ。
「ブリザード•スピアーズ!」
無数の氷の槍がチャンクス目掛けて放たれた。
「は~い、残念!」
チャンクスの周りの熱気で身体に届く前にすべて溶けて消えてしまった。
「そいつに水と炎属性の攻撃は効かない!」
ハーベルは、無意識にその受験者に加勢に入っていた。
「お前は?」
「俺はハーベル、同じ受験者だ、アイツとは一回会ったことがある、メチャクチャにやられたけど•••」
「僕はレオンだ、さっき水と炎は効かないと言っていたが?」
「アイツの名前は、バースト•チルのチャンクスっていう新人つぶしだ」
「バースト•チル?」
「今は詳しく話せないけど、魔法を飛躍的に強化できる能力と思えばいい」
「そんなことが•••」
「レオン、ここは共闘しないか?」
「共闘か•••群れるのは趣味じゃないが、ここはそれしかなさそうだな」
「レオン、よろしく!」
ハーベルは、ニッコリ笑った。
こんな場面で笑えるのか•••
「あとふたり仲間がいるから、後で紹介するよ」
「なんか策でもあるのか?」
「ああ、アイツを倒すために訓練してきた」
倒すため?殺すだろ?
「それで僕の役割は?」
「さっきの攻撃を見てかなりの魔法の使い手とみた、真正面から気を引いてもらえないか?」
「まあいいだろう、アイツに付き合えそうなのは僕くらいみたいだからね」
「じゃあ、頼んだ」
ハーベルは、レオンの肩をしっかりと掴んだ。
こいついい奴だな•••たぶん•••
「おーい!相談は終わったか?おお、お前は水族館の海で氷漬けにしたはずじゃ?」
「今度こそお前を倒す!」
「本当にひよこちゃんは、かわいいでちゅね!」
チャンクスは急に形相が変わった。
「身の程をしれ!死ねや!」
「バースト•ゲイルツイスター!」
凄まじい灼熱の特大の竜巻がレオンとハーベル目掛けて飛んできた。
「くそ、メチャクチャだな!」
「ヴォイド•シフト!」
レオンはハーベルの腕を掴むと、その辺にあった樹木と場所を入れ換えて移動した。
樹木は竜巻に飲み込まれ一瞬で蒸発した。
「なんだあの威力は?」
「レオン、ありがとう!今のは虚空の魔法?」
「ああ、ハーベルも虚空が使えるのか?」
「うんやってみるよ」
「ヴォイド•シフト!」
ハーベルは、チャンクスの後ろにあるダストボックスと入れ替わった。
あいつ一度見ただけで•••
「チャンクス!お前は僕が殺してやるよ、かかって来な!」
レオンが挑発すると、
「このひよっこごときが、消し炭にしてやる!」
「ロッキー•エンクロージャー!」
チャンクスより先にレオンが詠唱した。
チャンクスの周りに巨大な岩の壁が丸く覆った。
チャンクスは平然とゆっくり歩いてくると、岩の壁がドロドロに溶けて穴が空いていた。
「なんて奴だ!」
「死ねや!」
完全にチャンクスの殺気はレオンだけに向かっていた。
チャンクスの腕がレオンに向かって伸びてきたその時、
ハーベルが、チャンクスの後ろから
【FeatherEagle-HC01】を抜いて撃ち放った。
弾丸はチャンクスの背中に一直線に向かっていった。
「残念!」
チャンクスの背中に弾丸が届く前に防御されて溶けてしまった。
ハーベルは、連続で4発の銃弾を放ったがすべて防がれてしまった。
もしかしてあれで終わりか?
レオンがそう思った瞬間、
左右からネルとクラリッサが同時に銃を撃ち抜いた。
さらに、ハーベルがチャンクス目掛けて魔法の弾を連続で放った。
「バカめ!すべて溶かしてやる!」
「いや、そうはさせない!」
レオンがそう言うと、
「ブリザード•ベース!」
チャンクスの足元に大量の氷が現れたが、一瞬で蒸発して周りが見えなくなってしまった。
「なんだ、水蒸気か!」
プシュ、プシュ、プシュ
チャンクスにいくつかの銃弾が命中した。
「くそ、このチャンクス様が、こんなひよっこど•••」
チャンクスは、そのまま倒れて身動きがとれなくなった。
「やったな!レオン!」
「ハーベルたちもスゴいな!」
4人は喜びあった。
ハーベルとレオンはすれ違いざまに手をバシッと叩いた。
「こいつ僕が殺そうか?」
「いや、殺さないよ!」
「ええ、マジで言ってる?こんな奴殺しても誰にも迷惑かからないじゃん」
「いや、そう言う問題じゃない、殺さないで済むならそれに越したことはないだろ?」
ああ、こいつダメだ•••
「じゃあ、どうするんだよ?」
「師匠のところに連れていって警察に付き出してもらう」
「甘いな•••」
「じゃあ、僕はこれで行くよ、まあ、助かったよ、試験では敵になるかもしれないけど恨むなよ!」
「ああ、レオンありがとう」
こういうところが憎めない奴•••
レオンはそのままチェックポイントへ向かった。
「じゃあ、チャンクスを師匠に渡してくるから待ってて」
「分かった、ハーベル」
「ハーベル、気をつけてね」
「うん」
「師匠、お願いします」
「任せておいて、よかった無事で•••」
師匠によると、警察には裏の部署でデュアル専用の監獄があるらしい。
「どうだった?」
「うん、大丈夫だと思う」
「じゃあ、チェックポイントへ行きましょう」
「そうだね」
工場には受付のような場所にお姉さんが座っていて、
「受験者の方はこちらへどうぞ」
「ハーベル様、ネル様、クラリッサ様は合格です、会場へお進み下さい」
「まだ、なにもしてませんが?」
「先程のチャンクス様との戦闘で十分な実力を確認しました」
「チャンクス様って•••」
「まあ、合格ならいいけど」
「試験会場への地図はこちらとなります、かなり距離があるのでお急ぎください!」
「会場のマルーレ火山は、大きな島みたいだ。そこの入り口が毎年場所を変更するらしい、第4チェックポイントまで来ないと詳しい地図が手に入らないって寸法か」
「早速飛びましょうか?」
「そう言えばレオンは、どうしたんだろ?」
「まあ、合格でしょうね」
「移動の方は大丈夫かな?」
「自分でどうにかするでしょ•••」
次回 MD試験へようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!




