神器の行方へようこそ!
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エリスは【ウィスパーウッド】へ戻ると、早速ソーサリーエレメントの間へと向かった。
「テラガイア!一緒にいてくれる?」
エリスがそう言うと、土の大精霊であるテラガイアが姿を現した。
「ああ、もちろんだ!」
エリスが【白虎】の宝玉を恐る恐るソーサリーエレメントへ捧げてみた。
すると、凄まじい閃光と共に真っ白な世界へ飛ばされた。
「ここは?」
「やあ、エリス!」
霧の向こうからゆっくりと大きな真っ白で美しい毛並みの虎が現れた。
「綺麗!」
「エリス、嬉しいことをいってくれるではないか!」
凛々しいその出で立ちは、まさに神獣と呼ぶにふさわしかった。
「あなたが白虎ですか?」
「いかにも、我に聞きたいことでも?」
「はい、神器のことなんですが?」
「鋭牙の剣か•••」
「はい、今はどこにありますか?」
「実は、我が表の世界で国宝として納められていた時、はじめは神器も一緒にあったのだ!」
「はい」
「ある日、怪盗に剣だけ盗まれてしまったのだ!」
「はあ•••いったいあの国の警備はどうなってるの•••」
エリスは呆れてしまった。
「その怪盗の名前は?分かりますか?」
「ええ、確か•••怪盗ウィッチと名乗っていたような気がする•••」
「怪盗ウィッチですね!ありがとうございます!」
エリスは【白虎】にお礼を言うと現実に戻ってきた。
「エリス!どうだ?」
テラガイアが尋ねると、
「うん、怪盗ウィッチっていう奴に盗まれたらしいの!」
「そいつ探す!探偵頼む!」
テラガイアが提案した。
「ああ、それいいわね!PSW Detective Agencyに早速依頼してみるわ!テラガイア、ありがとう!」
エリスはテラガイアに軽くキスした。
テラガイアは少し照れた様子で消えてしまった。
「早速、セノンさんに連絡しなきゃ!」
そう言って、エリスが電話をかけた。
テゥルル•••テゥルル•••テゥルル•••
「はい、セノンです!」
「ご無沙汰しています、【ウィスパーウッド】のエリスです!」
「ああ、エリスさん!直接電話してくるなんて珍しいわね!依頼かしら?」
「ええ、ただかなり特殊な依頼なので、会社を通さずに直接電話させてもらったの!」
「特殊な依頼?」
「ええ、今のリバースレルムの状況はご存知ですよね?」
「ええ、ハーベルから聞いているわ」
「よかった!」
「【白虎】を呼び出すのに神器が必要なんですが、行方不明で•••」
「心当たりはあるの?」
「はい、どうも以前怪盗に盗まれたそうなんです」
「へえ、何て名前の怪盗なの?」
「怪盗ウィッチっていうらしいのですが•••」
「え•••えっと••••」
セノンは突然口ごもってしまった。
「セノンさん、セノンさん、聞こえますか?」
「ええ、聞こえているわ!」
「よかった、どうでしょう?」
「ええっと、それ私!」
「へっ?」
「怪盗ウィッチは私のこと!」
「嘘!探偵会社の社長さんでしょ?」
「ううん、これにはいろいろ事情があるのよ•••」
「まあ、今は細かい事情は置いておいて、鋭牙の剣って持ってますか?」
「確かあった気がするけど•••」
「けど?」
「たくさん盗みすぎて細かくは覚えていないのよね•••」
「しっかり思い出してください!大切なことなんですから!」
「はい、はい•••確かあの袋にいれてあるはずだから•••」
「ああ、分かった!」
セノンが大声で叫んだ。
「どこですか?」
「ハーベルが持ってるわ!」
「ええーー」
エリスが呆れた声で言った。
「ごめんなさい•••」
「まあ、ありかが分かればそれでいいのだけれど•••」
「実は、お母さんのシオンが、MD試験の時にハーベルのことを気に入ってしまって、先に無限アイテム袋を渡してしまったのだけれど、その中に入っていると思う!」
「分かりました。ありがとうございます!」
エリスは電話を切ると、
早速【ルミナラ】へ飛んだ。
実は、PSW Detective AgencyのPSWとは、
The Phantom Shadow & Witch
【怪盗シャドウと怪盗ウィッチ】
の略だったのだ。
ちなみに、怪盗シャドウとはルミオのことである。
•••••••
「ハーベル!」
「こんにちは、エリスさん!」
ハーベルがにこやかに挨拶した。
「早速だけど、シオンさんからもらったアイテム袋ってある?」
「ええ、ここに!便利だから肌身離さず持ってますよ!」
ハーベルがエリスの前に出した。
「よかった!」
「どうしたんです?」
「あったのよ!」
「何が?」
「鋭牙の剣!」
「どこに?」
「その中よ!」
エリスが袋を指差した。
「ここですか?」
そう言ってハーベルが袋に手をいれると、
「あ、あった!」
ハーベルが鋭牙の剣を取り出した。
「ああ、よかった!」
エリスは緊張が解けて疲れがどっと出てきた。
「エリスさん、大丈夫ですか?」
ハーベルが抱き止めると、そのまま医務室まで運んであげた。
「ハーベル、ありがとう•••」
「ネル!エリスさんをお願い!」
ネルが駆け寄ってきて面倒をみてくれた。
「ハーベル、剣あったの?」
「うん、俺が持ってた•••」
「ああ•••」
二人とも項垂れてしまった。
次回 強襲の世界へようこそ!
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