魔道具の世界へようこそ!
「第四チェックポイントはどこなの?」
「ええっと、グリッド地区の廃工場だって!」
「でも、チャンクスが絶対見張ってるよね?」
「確かに、リバースレルムから出てこられたらどうしようもないよ•••」
「師匠、実は•••」
ハーベルが何かを打ち明けようとすると、
「大丈夫よ、分かってる大方はふたりから聞いたわ、大変だったね」
「いえ•••」
「リバースサーフェスって一体なんなんですか?正体の分からない相手となんか戦えませんよ!」
「気持ちは分かるけど今は、教えられないの•••というより理解できないと言った方が正しいかも•••」
「理解できない?」
「リバースサーフェスを使うには、まず魔法を完全に習得する必要があるのよ」
「どこまで習得すればいいんですか?」
「最低でも2属性を上限まであげる必要があるわ」
「2属性か•••」
「いや、無属性の場合上限が低いから最低3属性は必要よ」
「ううん、分かりました•••」
「その近道がMDになってダンジョンでランク上げをすることなのよ」
「まずは、今の状態でチャンクスをどう攻略するかを考えましょう!」
「はい!」
もちろん、正面から戦っても勝てるわけがないから、とにかく無力化するしかない。
「例えば無力化する方法としてはどんなことが考えられるかしら?」
「ううん、毒でマヒさせるとか麻酔で眠らせるとかかなぁ?」
「そうね、誰かがオトリになってその隙を突くとかね!」
「じゃあ、オトリはハーベルだな!」
「じゃあ、誰が止めさす?」
「そりゃ、ハーベルだろ!」
「全部俺じゃん•••」
「もうひとり少しでいいから正面から相手できる人がいればな•••」
「そんなんいたら苦労しないよ•••」
「だね•••」
まずは俺が前に出てオトリとなる。
意識をこちらにすべて向けさせた瞬間にネルとクラリッサが麻酔と毒を同時に放つ!
どちらかでも当たれば一時的に無力化できるかもしれない•••けど•••
「師匠、無力化できたとしてチャンクスはその後どうなるんですか?」
「まさか殺さないですよね?」
「結果的にそうなってしまうことはしょうがないとしても、なるべくなら殺さずに捕獲したいわね、チャンクスは殺りすぎで、サーフェスレルムでは指名手配になっているから、警察に引き渡すのが一番ね、その辺りは私がやるから任せておいて!」
「そうですか、お願いします」
「MDになるだけなのになんで命のやり取りなんかしないといけないんだ!」
「MDパスにはそれだけの価値があると言うことなのね•••」
「あと18日猶予があるから、2週間はすべてリバースレルムでの訓練にあてなさい」
「はい!」
「完璧なタイミングで魔法を放たないと、もし両方外したら逃げるしかない」
「下手するとその場で殺される•••」
「ハーベルは念のためもう一段階毒を仕込んでおいて」
「分かりました」
「明日から早速修行よ、今日は一杯食べてゆっくり身体を休めて」
「はい!」
「ハーベル、朝から浮かない顔ね」
「まあ、昨日あんなことがあったんだから無理もないだろ!」
「いや、武器について考えてたんだ」
「武器か•••」
「近接武器や近接で魔法を放つよりも遠距離で複数回攻撃できる方が安全マージンがとれるだろ?」
「でも銃とかは持ち歩くと自分達が捕まる危険性があるよ」
「そう•••だから違法じゃない銃を考えてたんだ!」
「モデルガンとか?」
「でもそんなおもちゃ魔力を込めたらすぐに壊れちゃうだろ?」
「そうよね」
「だから自分で作ろうかと思って!」
「武器を自分で?」
「正直、物理的な弾を飛ばせる必要はないんじゃないか?」
「銃の形をしていれば魔力を弾丸のようにして飛ばすことも可能なんじゃないかと考えてたんだ•••けど•••」
「けど?」
「いい素材が何か分からなくて•••」
「こういう時こそ師匠の知恵を•••」
「なるほど面白いことを考えるわね、まず理論上それは可能よ、ただし、魔力で銃弾を作るイメージを完璧にした上で毒やマヒを付与しないといけないから、かなりの精密な操作が必要となる」
「ですね•••」
「さらに、とっさの時にそれが可能かどうかという問題もあるわ、実際の弾丸に魔法を付与するだけならできるかもしれないけど、弾丸まで魔力で作り出すのは至難の技ね!」
「それで素材でいいものありますか?」
「一般的に魔力伝導のいい金属としては銀かアルミが良いとされているわ、銀は高価だし重いから、一般的にはアルミを使うことが多いわね」
「アルミなら安いし軽いから持ち運びにも便利ね」
「錆びにくいのも助かる!」
「ちなみにアルミ缶ならあそこにたくさん取ってあるから使ってもいいわよ」
「ありがとうございます」
ハーベルは早速「精製」でアルミの塊をいくつか作った。
スマホで銃を検索して使いやすそうな形をイメージした。
「構築」で銃を成型した。
「こんなもんかな?名前は【FeatherEagle-HC01】ってどう?」
「カッコいいね、これって私たちの分もお願いできるかしら?」
「もちろん、どんな形が好みかな?」
「私は小型の拳銃タイプがいいかな」
「じゃあ、私はレーザーガンみたいなので!」
「了解」
ネルには、【WhiteFist-NC7】を
クラリッサには、
【EclipseRay-KC99】を作ってあげた。
「これはいいな、使いやすそうだ」
「手に馴染んでいい感じ!」
「でもまず撃てないと意味ないから、実弾で感覚を覚えてイメージできるようにしないと」
本物の銃は、かなり重く普通に撃てるようになるまでに時間がかかりすぎるため、実弾を触ってイメージすることにした。
実弾ってこんな感じなのか、魔力で銃弾を作り出すなら硬いイメージで金属の弾を作り出すイメージで•••
一日中弾丸を触ってイメージを膨らませていった。
「師匠、魔力の弾丸ではなく魔法で金属の弾丸を「構築」することは可能ですか?」
「できると思うけどさらに難易度があがる上に、魔力消費もスゴいわよ!」
「同じ物体を作り出すにも、魔力で作り出した「ストーン」の石と「構築」で実際の石を召喚した場合とでは大きな違いがあるの」
「何ですか?」
「前者は魔力が切れれば存在できなくなり消えてしまうけど、後者は、魔力と関係なく存在し続ける点よ」
「ってことは、あえて後者にするメリットはない?」
「いいえ、後者はなんと言っても本物よ攻撃に使うなら攻撃力に差が出るわ」
「そう言うことか•••」
今考えられるのは、
1、魔力を銃弾のようにして直接打ち出す。
2、魔力で銃弾を作り出して打ち出す。
3、「構築」で実弾を召喚して打ち出す。
難易度は格段に上がるが3の方が威力は桁違いになる。
さらに、マヒや毒を付与するなら実弾の方がコントロールがしやすい。
逆に1の方が繊細な魔力操作が要求されるから、連射には向かないか•••
かといって本物の実弾を持ち歩くと訳にもいかないからな•••
魔法で打ち出すからコントロールできれば命中率はほぼ100%だからな。
まあ、状況にあわせて使い分けられるのが理想か•••
3人はそれぞれの方法で銃の練習を始めた。
ネルは拳銃のため、ある程度近づいて撃たないといけないが、その分魔力操作がしやすくなるため1を選んだ。
クラリッサは、遠くから狙えるがある程度連射できた方がいいため、1から2へとステップアップすることにした。
俺は、すべての銃弾を撃てるように順に試していった。
ネルは、麻酔とマヒを使い分けて使用するが、俺とクラリッサは毒一本で行く。
チャンクス役は師匠にお願いし、訓練も終盤に差し掛かった。
「ハーベル、もう実弾の召喚もスムーズに出きるようになったね」
「まだ、5発連続が限界だけどな•••」
「いや、十分だろ!」
「クラリッサだって連射なら100発くらい余裕でしょ?」
「まあな」
クラリッサは得意気に鼻を触った。
「ネルも麻酔とマヒの使い分けで強さまでコントロールできるなんてスゴいね」
「へへへ、ハーベルに誉められちゃった」
可愛らしく照れている。
「問題は、いかにハーベルがチャンクスの気を引き付けれるかね!」
「はい!」
「期限まであと4日しかないからチャンスは一度きりよ!」
「はい!」
「じゃあ行くわよ!」
「よし•••」
3人はスマホでグリッド地区の廃工場を検索してワープした。
「みんな生きて帰ってきてね•••」
リーフィアは、胸の前で祈るように手を組むと青く澄んだ空を見上げた。
次回 共闘戦線へようこそ!
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頑張って続きを書いちゃいます!




