救急搬送の世界へようこそ!
感想やレビューもお待ちしています!
(例:「面白い!」だけなどでも結構です!)
「なんだこれは!」
そこには木々が囁き、小鳥が囀ずる、見たこともない美しい光景が、見るも無惨な光景へと変貌していた。
家々は破壊し尽くされ、人々がバタバタと傷を負って倒れている。
「フィエッタ、メイ!怪我人をここへ運んで!」
「分かったわ!」
「エマージスピリット No.1」
「琥珀も手伝ってあげて!」
ハーベルは琥珀を呼び出すと、指示を出した。
ハーベルはチャンバー•アルチザンでいつもの転移所よりも大きなものを用意して、一度自分だけ【ルミナラ】へと戻った。
「ネル!大変だ!」
「ハーベル!どうしたの?」
「って、その血どうしたの?」
「ああ、一回死んじゃった•••」
「えっ!死んだって•••」
「まあ、今は生きてるから•••その話は後でゆっくりするから!」
「いや、ダメでしょ!」
ネルはドキドキしながらハーベルに詰めよった。
「今は、大変なんだ!」
ハーベルは、そう言っておもむろにネルにキスをした。
しばらくすると、ネルも落ち着いて
「ちゃんと話してね!」
「うん、今から急患が押し寄せるから準備を!」
「ええ、どうなってるの?」
「とにかく、準備をよろしくね!」
ハーベルはそう言って、転移所のチャンバー•アルチザンを広く設定して、どこかへ消えてしまった。
「ああ、こうしちゃいられない!」
ネルは気を取り直して、直ぐ様、準備に取りかかった。
ハーベルが戻ると、三人はすでに魔方陣の上にほとんどの怪我人を運んでくれていた。
「ああ、ありがとう!」
ハーベルがみんなに言うと、
「この人で最後だと思う!」
フィエッタが言った。
「みんな、ご苦労様!琥珀もありがとね!」
「グヲーーーー!」
琥珀も喜んでいるようだった。
「俺は、もう一通り残っている人がいないか確認してくるから、フィエッタは先に【ルミナラ】へみんなを転移させて、ネルには状況を伝えてあるからね!」
「分かったわ!」
「メイもありがとうね」
メイの頭を優しく撫でてあげた。
「ハーベル!凄いね!」
「何が?」
「いや、なんでもない!」
「うん?」
ハーベルは不思議そうにして行ってしまった。
「メイ、ハーベルにとっては当たり前のことなのよ!」
「そうみたい!でも凄い人だよね!」
「うん、それがハーベルなのよ!」
二人は、飛んでいくハーベルを見てしみじみ感じていた。
「さあ、ここからまた忙しくなるわよ!」
「ああ、任せて!」
メイは気合いを入れ直した。
フィエッタはチャンバー•アルチザンを操作して一気に全員を【ルミナラ】へと転送した。
ハーベルは、郷の中心付近の上空にいた。
「レメディア•ミスティック•シーカー!」
郷全体をスキャンすると、
「まだ、あそこに誰かいるぞ!」
ハーベルが飛んでいった。
「大丈夫ですか?」
倒壊している建物の下を覗き込んだ。
そこには、繭のようにくるまれた白いものが置かれていた。
ハーベルが、その布をゆっくり開けてみると、
「ウキャー!ウフフ•••」
可愛らしいエルフの赤ちゃんだった。
「ああ、赤ちゃん!」
ハーベルは優しく抱き上げると、イヤーカフスに触れた。
•••••••
「ああ、ハーベル!」
ネルが忙しそうに近付いてきた。
「あら、可愛らしい!」
「最後の生き残りだ!」
ハーベルはそう言って、赤ちゃんをネルに預けた。
ネルは優しい眼差しで赤ちゃんを見つめてあやしていた。
「ネル、状況は?」
「ああ、もうだいぶ落ち着いたよ!」
「よかった!」
「ハーベル!」
「ライラも手伝ってくれたのか?」
「うん、みんなを助けてくれてありがとう!」
ライラがハーベルに飛びついて喜んでいる。
「ハーベル!郷の長老がお礼を言いたいって!」
フィエッタが走ってきた。
「分かった、案内してくれる?」
「こっちよ!」
フィエッタがハーベルの手を引っ張って連れていくと、
「長老!こちらがハーベルです!」
「おお、ハーベル殿、皆を代表してお礼を申し上げる」
長老は深々と頭を下げた。
「いえ、頭を上げてください!」
ハーベルは長老の肩を優しく支えた。
「わしは、長老のフェンロランと申しますじゃ、なんとお礼をすればいいのやら!」
「フェンロランさん、お礼なんて考える必要ありませんよ、当たり前のことをしただけです」
ハーベルは、長老の手を優しく握った。
「もったいない•••」
長老の眼には涙が浮かんでいた。
「それより、何があったんですか?」
「ああ•••」
長老の話によると、
エルフの郷には、代々伝えられる3つのお宝があり、
【星月の指輪】
この指輪は、夜空の星々と月の光を宿し、持つ者に無限の魔力と知恵を与えるとされている。
エルフの歴史と魔法の力が詰まったこのお宝は、まさに至高の存在として言い伝えられていた。
【悠久のエメラルド】
このエメラルドは、エルフの始祖が大地から得たと言われる神秘の宝石で、持つ者に永遠の若さと生命の力を与える。
伝説によれば、この宝石はエルフの郷の中心に隠されており、郷を守護する役割を果たしていたとか。
【霧の宝冠】
霧と星の力を宿し、エルフの長老が身に着けることで、天候を操る能力と闇の力を強化するという伝説がある。
エルフの歴代の長老がこの宝冠を使い、エルフの郷を守り続けてきたと伝えられている。
このお宝を、6人の人間たちが奪っていったそうだ。
奴らは、EE2(エクリプス•エンクレイヴ•セカンド)と名乗り、リーダーは、マリフィスと名乗っていた。
あとのメンバーは、男性2人と女性が3人で、一人の男は片足がなかったそうだ。
奴らは、郷を荒らして火を放ちお宝だけでなく金目のものはすべて奪っていった。
「なんてゲスな奴らだ!」
ハーベルはヘドが出そうだった。
「長老!郷が復興するまでは、この【ルミナラ】で過ごしてください」
「何から何まで申し訳ない•••」
「いえ、困ったときはお互い様です」
ハーベルは長老の手を優しく握った。
「ネル!ちょっとレオンにこの事を伝えてくるから、あとは任せてもいいかな?」
「もちろん、任せて!」
ネルはハーベルの手に触れながら言った。
「ありがとう、じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい!」
ハーベルは、イヤーカフスに触れて【ノクターニア】へ飛んだ。
•••••••
「レオン!」
「やあ、どうしたんだ?」
レオンは忙しそうにギルドの仕事を片付けていた。
「重要な案件が!」
「そうか、少し僕の部屋で待っててくれ!」
しばらくすると、ガルシアとクラリッサを連れて、レオンがやってきた。
「お待たせ!」
「ハーベル!久しぶり!」
クラリッサが明るくあいさつした。
「ハーベル殿、お久しぶりです」
ガルシアが片ひざをついてあいさつした。
「堅苦しいあいさつはいいから•••」
「どうかしたのか?」
レオンが切り出した。
「ああ、マリフィスが生きてる!」
「ハハハ、ハーベル何を悪い冗談を!」
レオンが鼻で笑うと、
「いや、マジだ!俺はアイツに殺されたからな!」
「はあ?殺されたって、生きてるじゃん!」
クラリッサがハーベルの腹をどついた。
「ぐっは•••今はね•••」
「どう言うことですか?」
ガルシアが不思議そうに尋ねる。
ハーベルはことの経緯を話し始めた。
「じゃあ、そのエルフの郷で一度殺されて、ガクとメイのお父さんに助けられたと?」
「ああ•••」
「ガク、そんなことできるの?」
レオンが臥竜を呼び出して尋ねた。
「俺の父上は、神龍と呼ばれていた。1000年以上前に魔神龍に殺されました。でも、父上なら人間を生き返らせることぐらいできると思います」
ガクが説明してくれた。
「そうか•••ガルシア!」
「はい!王様!」
「分かった!マリフィスのことは僕たちに任せてくれ!」
「うん、頼んだよ!」
「俺は、エルフの郷の復興に尽力しようと思う」
「ああ、頼んだ!」
「ハーベル殿、お任せください、今度こそきっちり始末します」
「ガルシアさん、よろしくお願いします」
ハーベルはガルシアと拳を合わせた。
「それにしても、マリフィスの奴しぶとい上に、また同じことを繰り返すとは、クズ中のクズだな!」
クラリッサが呆れていた。
「ガルシア、至急討伐パーティーを選抜してくれ!」
「はい!新たなメンバーも居るようなので、念には念を入れて選抜します」
「よろしく頼む!」
「御意!」
ガルシアは早速仕事に取りかかった。
「じゃあ、俺も【ルミナラ】へ戻るよ!」
「ああ、会えてよかった!」
レオンが拳を前に出すと、
二人は肘をぶつけて拳を合わせた。
次回 壊滅の世界へようこそ!
続きの気になった方は、
ぜひともブックマークをお願いいたします。
最下部の⭐5もつけていただけると幸いです。
頑張って続きを書いちゃいます!




