恐怖の洞穴にようこそ!
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ハーベルが洞穴に入っていくと、
「グローリー•ルミナス•スピリッツ!」
ハーベルの周りに光の微精霊が集まって来て周りを照してくれた。
「まだ、血は続いているな!」
ハーベルがどんどん奥へと進んでいくと大きな空間に出た。
「街の近くにこんな場所があったなんて!危ないな!もっと【ルミナラ】の周りを捜索して危険を極力排除しておかないと、安心して暮らしてもらえないな!」
ハーベルは気を引き締めて辺りを調べはじめた。
「あそこはなんだろう?」
横穴に続く通路を奥へと進んでいくと、何やら変な匂いがしてきた。
「血の匂い?」
ハーベルが口と鼻を塞ぐと、
その奥には骨がたくさん積み上げられていた。
「ここは、食事場か•••」
ハーベルは匂いに顔を歪めながら、別の横穴を進んでいった。
「また、何か置いてあるぞ?」
今度は汚物の臭いのようだった。
「うう、気持ち悪い•••」
ハーベルは嫌そうな顔をしながら奥に置いてある檻のようなものの中を目を細めて見てみた。
そこには、痩せこけた
「ええ、人間?」
ハーベルはさらに近付くと、
「いや、これって、エルフじゃないの?」
耳の尖った綺麗な顔の女の子が閉じ込められていた。
「おい!大丈夫か?」
その少女がかろうじてこちらに気がつくと、怯えた顔で首を横に振って後ずさりをした。
「今、助けるからな!」
ハーベルがそう言って檻を壊して、助け出そうとすると、その少女は全力で拒否するような素振りで、ハーベルの腹を蹴り飛ばした。
「ぐっは•••オエーー!」
ただでさえ匂いで気持ち悪いのに、腹を蹴られて思わず吐いてしまった。
「うう、心配しないで!」
「うう、うう」
少女は首を振って怯えている。
「どうしたらいいんだ•••」
「ハーベル!」
「おお、フィエッタ!」
「私が話してみるね!エルフ語しか分からないのかも?」
「そっか、頼むよ。オエーー!」
「ハーベル、キチャナイ•••」
「ごめん•••」
「ねえ、大丈夫?(エルフ語)」
「うん?(エルフ語)」
「あなたを助けに来たのよ!(エルフ語)」
「本当?(エルフ語)」
「ええ、ハーベルを信じて!(エルフ語)」
「ハーベル?(エルフ語)」
「ええ、私のパートナーよ(エルフ語)」
「ハーベル、いい人?(エルフ語)」
「そうよ(エルフ語)」
「フィエッタどうかな?」
「もう、大丈夫だと思うよ!」
「でも、このままじゃ意志疎通ができなくて不便だな!」
「フィエッタ!ちょっと協力してくれる?」
「何を?」
「俺がこのイヤーカフスでエルフ語を通訳できるように設定するから、フィエッタはエルフ語の知識を俺に流し込んでくれるかな?」
「うん、できるか分からないけどやってみるね!」
「頼んだ!」
ハーベルが自分のイヤーカフスに触れながら、フィエッタの知識を設定していった。
「これで話せてる?(エルフ語)」
「うん、バッチリだよ!」
「ありがとう、フィエッタ!」
ハーベルはフィエッタの頭を撫でてあげた。
「今から君を助けて、回復させるから怖がらないで!(エルフ語)」
「ええ、しゃべれるの?(エルフ語)」
「ああ、いいかな?(エルフ語)」
「うん(エルフ語)」
「フェニックス•レストレーション!」
ハーベルが呪文を唱えると、エルフの少女の傷がみるみる消えて体力も魔力も完全に回復した。
「ええ、痛くない!(エルフ語)」
少女は泣きながら喜んでいた。
「今、鎖を外してあげるから!(エルフ語)」
ハーベルが鎖をはずした瞬間、
「ハーベル!危ない!(エルフ語)」
少女が後ろを指差して叫んだ。
ハーベルたちに気がついた、ナイトブリンガー•オークが子分を連れて襲いかかって来た。
「お前たちが、やったのか!」
ハーベルは振り向き様に叫ぶと、
身体の周りを光の魔力で防御し、ナイトブリンガー•オークの包丁を右手で受け止めた。
「お前か!」
ハーベルはあまりの怒りで、思わずその包丁を握り割ってしまった。
ナイトブリンガー•オークは、何が起こったのか分からず動揺している。
「許さんぞ!」
ハーベルが大声で威嚇すると、ナイトブリンガー•オーク以外の小者は逃げていってしまった。
一人残されたナイトブリンガー•オークは、ハーベルを見て泣きそうな顔をして詫びているように見えた。
「許さんと言っただろ!」
ハーベルがナイトブリンガー•オークの脳天にチョップを食らわせると、その手は光におおわれてドでかい手になっていた。
ナイトブリンガー•オークの目が飛び出るほどの強さで殴られ、フラフラと後ろによろけてそのまま大きな音を立てて倒れてしまった。
「あーあ、ハーベル怒らせるから(エルフ語)」
「ハーベル、怖い(エルフ語)」
「いや、悪い奴にお仕置きしただけ(エルフ語)」
「うう(エルフ語)」
少女は泣きながら怯えていた。
「ああ、ごめんよ(エルフ語)」
ハーベルが優しい顔で少女に近付くと、大きな声で泣きながらハーベルに抱きついた。
「怖かったよー!ありがとう!(エルフ語)」
「よかった。助けられて!(エルフ語)」
「まずは、綺麗にしないと!(エルフ語)」
「うん?(エルフ語)」
ハーベルが少女を抱いたまま、イヤーカフスに触れた。
「ネル、さっき話してた娘だよ!」
「分かった!」
ネルのイヤーカフスもちょちょいと翻訳機能を追加すると、
「私は、ネルよ。あなたの名前は?(エルフ語)」
「私は、ライラです(エルフ語)」
「ライラ、かわいい名前ね(エルフ語)」
「ライラ!一緒にお風呂入ろっか?(エルフ語)」
「はい!(エルフ語)」
ライラは嬉しそうにネルについていった。
「エルフがいるなんて!フィエッタ!どうなってるの?」
ハーベルが問い詰めた。
「分からないけど、ルミナラができて精霊力が強くなったからかも知れない!」
「精霊界に近付いているってこと?」
「そうなのかも•••」
「でも、あの娘一人ってことはないんじゃない?」
「そっか、他にも捕らえられているエルフがいるかも!」
ハーベルはすぐさまさっきの洞窟へ戻った。
「うう、臭い•••」
ハーベルは鼻を押さえながら、他の横穴をすべて調べていった。
結局、さっきの子分どもが奥で震えていただけで、他のエルフは見当たらなかった。
子分はキッチリ地獄へ送ってあげた。
「やっぱり、あの娘だけだったみたいだ」
「それならよかった!」
ネルが安心して言った。
「考えたんだけど、この翻訳機能を逆にしたらどうかな?」
「逆?」
「うん、このままだとみんなのイヤーカフスを調整しないと会話できないから不便でしょ?」
「確かに!」
ハーベルは少し考え込んだ。
「ああ、なるほど、ライラに人間の言葉が解るイヤーカフスを作ってあげればいいのか!」
「そう言うこと!」
ハーベルは急いで予備のイヤーカフスを用意すると、またちょちょいと設定してしまった。
「ライラ!このお揃いのイヤーカフス着けてみない?」
ハーベルが紫色のアメジストが施われた物を優しく耳に着けてあげた。
「ハーベル!ありがとう!」
ライラがハーベルの頬にキスをした。
そこには、金色の長い髪を可愛くまとめた、美少女が立っていた。
「ハーベル!」
ライラがハーベルの腕にしがみついて離れなかった。
「こほん、ライラ!」
「ネル!」
今度はネルにしがみついてきた。
「これで会話には困らなそうだね!」
「ネル!ありがとう!」
ハーベルが、ネルの頬に優しくキスをした。
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