Between Act.2 and Act.3 『The old tale』
ある国のお話です。
とても古いお話です。
この緑星に来るずっと前、私たち人間は『ちきゅう』という星に住んでいました。
そこでの人々は、別々の場所で別々の言葉を喋っていました。
『あめりか』と呼ばれるところでは、英語。『にほん』と呼ばれるところでは、日本語。
そんな風に、みんな違う言葉を話していました。
今私たちが使っているのは、共通語。みんなこの言葉で話す。
…それは、今は別にどうでもいいんだけど。
これは、『ちきゅう』のお話。もっと細かく言うなら―――、『にほん』のお話。
昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。
…なんでお爺さんとお婆さんか?確かにそれは不思議だけど、それはまたあとで。
お爺さんはある日、山へ竹を採りに行きました。
たくさん生えている竹の中に、一本だけ。その竹の節と節の間が、金色に輝いていました。
お爺さんは、その竹の節と節の間を、バサリと伐りました。
すると中には、3cm位の可愛い女の子が座っていました。
お爺さんはその女の子を家に連れて帰りました。
…誘拐とか言わないの。とりあえず今は黙って聞いてなさい。
お爺さんはお婆さんにその女の子を見せました。
お婆さんはその女の子を可愛がりました。その女の子を『かぐや姫』と名付け、お爺さんとお婆さん、二人で世話をしました。
…あれ、やっぱり寝ちゃった。
これじゃ、幾ら話しても限がないなー。
いつか大きくなったら、ちゃんと、全部話してあげよう。
結局、全部話すことはなかった。
話す前に、死んでしまったのだから。