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 僕は……  作者: イナカのネズミ
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〜 メリッサ・ベルナール  ② 〜

〜 メリッサ・ベルナール  ② 〜



 「遅いなぁ〜」

 リビングで絵梨香とメリッサがサウナから出てくるのをボォ〜っと待っていた僕が呟く。


 "まぁ、女の人はお風呂が長いからな"

 僕は諦めたように呟くとキッチンの鍋の方に視線を移す。

 "温め直さないといけないな……"

 鍋の中の"ぜんざい"この事を気にしながらも僕は携帯電話を手にする。


 携帯電話のメールに目を通すと大学からのメールに目が留まる。

 "アイデア募集……ね……"

 僕は心は中で呟くとリュックからノート型パソコンを取り出し電源を入れる。

 幾つかのファイルから1つのファイルを開く。


 "これだ……"

 僕は心の中で呟くと大学からのメールに記載されているメールアドレスにファイルを添付する。

 "これで、大学の今期の課題オリエンテーションの一つは達成したのかな?"

 僕はこれで良いのかと疑問に思いながらもメールを送信するのであった。

 


 その頃、サウナ風呂では……

 絵梨香とメリッサの腹の探り合いが続いていた。


 何処か気不味い雰囲気の中で沈黙の時間が続く……

 

 "このひと……本気マジなんだ……"

 "だとすれば……"

 絵梨香はメリッサが本気で僕の事が好きなのだと気付く。

 そして、絵梨香が1番気にしている事を聞いてみる。


 「あの〜失礼な事をお聞きしますが……」

 絵梨香は少し躊躇いながらメリッサの方を見て言うと……

 「兄とは……その……」

 「どの辺りまで行っているのでしょうか?」

 絵梨香の問いかけにメリッサは暫く無表情だったのが……

 直ぐに"えっ"と言う表情になり、次はドス黒いオーラを大量に発しながら暗くなる。


 「何もありません……」

 「本当に何も無いんです……」

 メリッサは小さな声で呟くように言う。


 "あ〜これは本当に何も無いんだわ……"

 メリッサの様子から、その言葉が真実である事を察する絵梨香であった。

 「メリッサさんってモテるんじゃないのかな?」

 メリッサを見て絵梨香がポツリと呟く。


 「言い寄ってくる男性はいたわ……」

 「でもね……あの人達は私を見ていないのよ」

 「私の外見しか見ていないのが分かるの」

 「カネツグは違う、私を見てくれているのが分かるの」

 メリッサはそう言うと小さな溜め息をつく。

 「私はカネツグの事が好き、この気持ちに偽りは無い」

 「後は……その……なんて言うか……」 

 「その……なんて言ったら……」

 メリッサは恥ずかしいそうに顔を赤らめる息を整えると……

 「あの……スキンシップって言うのかな……」

 「その……つまり……体の相性って言うのか……」

 絵梨香はメリッサの言いたい事が何なのかに気付く。


 「あの……それは……その……」

 「……S◯Xの事でしょうか……」

 絵梨香の身も蓋もない単刀直入な言葉にメリッサの顔は真っ赤になる。


 「……そう……です……」

 メリッサは絵梨香から視線を逸らすと俯き観念したかのように答えるのであった。


 「……そうなんですか……」

 絵梨香も顔を赤くして答えるのであった。

 その後、何とも言えない気不味い雰囲気になるのであった。



 フランス人にとってパートナーとのスキンシップは凄く大事なものなのです。

 これが合わないとパートナーとして成立しないと言っても過言ではないのです。



 何とも言えない沈黙の後で絵梨香が大きく息をすると……

 「あの、メリッサさんっ!」

 「兄もメリッサさん事が好きなのだと思います」

 「ですから……えっ!」

 絵梨香は途中で言葉を詰まらせる。

 メリッサは、いつの間にかのぼせてグッタリとしていたのである。


 「大変っ!」

 絵梨香はメリッサを抱き抱えるとサウナ風呂から出る。

 「兄さんっ!兄さんっ!!」

 大きな声で僕を呼ぶ。


 「何だっ!どうしたっ!」

 絵梨香のただ事ではない僕を呼ぶ声に慌てて駆け付ける。


 「メリッサさん、のぼせちゃたのよ」

 絵梨香の言葉に僕は慌てながらも大事ではないのでホッとしたような気分になる。


 「わかった、一緒にリビングまで運ぼう」

 僕がそう言うと絵梨香も頷く、2人で何とかメリッサをリビングまで運びソファーに寝かせる。


 絵梨香は団扇でメリッサの扇いでいる、僕は冷蔵庫から冷却シートと氷枕アイスノンを持ってくる。

 因みに、絵梨香がメリッサを扇いでいる団扇はイベントなどで使う推しキャラが印刷されている団扇である。



 暫くするとメリッサは意識を取り戻す。

 「あれ……私……サウナに……」

 メリッサは記憶が少し混乱しているようである。


 「メリッサ、大丈夫かな」

 僕はメリッサに冷静に話しかける。


 「カネツグ……私……どうしたのかしら……」

 メリッサはそう言うと起きあがろうとする。


 「急に起き上がるとダメだよ」

 「サウナでのぼせたんだよ」

 「もう少し、横になってて……」

 僕は起き上がろうとするメリッサを制止するように言う。

 直ぐ隣では絵梨香が心配そうにメリッサの様子を伺っている。


 「あ……のぼせて気を失ったのね……」

 「私ったら、なんて間抜けなのかしら」

 「迷惑かけてごめんなさい」

 メリッサは申し訳なさそうに言うと絵梨香がペットボトルのミネラルウォーターを差し出す。

 「ありがとう……」

 メリッサはお礼を言うと絵梨香からペットボトルを受け取り頬に当てる。


 暫くするとメリッサは調子を取り戻したらしくゆっくりとソファーから起きが上がる。


 「何事も無くて本当に良かった」

 僕がそう言うと絵梨香も大きく頷く。

 起き上がったメリッサはソファーに座ってままでペットボトルのミネラルウォーターを飲み干し一息付くとソファーから立ち上がる。


 「あっ!」

 メリッサのバスタオルがハラリと床に落ちて僕の目の前で素っ裸になってしまう。

 「あっ……何と言うか……」

 僕は目のやり場に困っていると、横から絵梨香が慌て床に落ちたバスタオルを拾い上げてメリッサに手渡す。

 

 「兄さんのエッチ……」

 茫然としている僕に絵梨香がそう言うと細い目で見ている。


 「まぁ、いいわ、見られて減るもんじゃないしね」

 メリッサはそう言うと恥ずかしがることも無く、慌てる事なくゆっくりとバスタオルを身体に巻き付けるのであったが……

 何故か、その姿には余裕が垣間見えるのであった。


 一方で僕はと言うと、家庭環境の事もあり女性の裸体にはそんなに動揺する事は無いのだが

……今回は少し事情が違っているようだった。



〜 メリッサ・ベルナール  ② 〜


終わり


 


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