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 僕は……  作者: イナカのネズミ
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〜 メリッサ来たる  ⑦ 〜

 〜 メリッサ来たる  ⑦ 〜



 1月2日、午前6時過ぎ僕は目を覚ました。

 窓の外はまだ薄暗く、隣ではメリッサがスヤスヤと気持ちよさそうな寝息を立てて寝ている。


 "6時過ぎか……"

 普段から規則正しい生活を送っている僕は目覚まし時計をセットする事なくほぼ同じ時間に目を覚ます。

 "確か食事は8時からだったな"

 "時間もあるし温泉にでも入るかな"


 僕は心の中で呟くと布団から起き上がると隣りの布団で寝ているメリッサの様子を窺う。

 "よく寝てるな……"

 気持ちよさそう寝ているメリッサの様子を見て僕は安心したように呟くと部屋を出て温泉へと向かうのであった。


 「お〜寒っ!」

 僕は独り言を呟きながら露天風呂へ向かうとサッと体を流して温泉に飛び込むように入る。

 「ゔ〜っ!」

 江戸っ子の爺いさんのような呻き声を上げながら肩までドップリと湯に浸かる。

 早朝なので僕1人だけである。

 「あ〜極楽、極楽〜」

 僕は独り言を呟きながら湯に浸かっている頃……


 "ピッピピッ!ピッピピッ!"

 メリッサの携帯電話の目覚ましアラームが鳴る。

 布団から手が伸びてくると鳴り止まない携帯電話をガシッと掴む。

 暫くするとメリッサがムクムクと起き上がる。

 「ぁ〜ぁ〜……」

 メリッサは呻くような小さなこえを出しながら携帯電話のアラームを止める。


 目は腫れぼったく、髪の毛は綿飴のようにボサボサで普段のメリッサの風貌とはかなりのギャップがある。

 フラフラと半身を起こすと部屋の中を見廻す。

 「あれ……ここは……」

 メリッサは起きているが脳はまだ寝ているの状態である。

 段々とメリッサの脳が覚醒し始めると同時にメリッサの表情が青ざめる。


 "あっ!そうだっ!!"

 "ここはホテルじゃ無いんだっ!!"

 "ヤバいっ!!!"

 "こんな姿、カネツグには絶対に見せられないっ!!!"

 メリッサは焦って部屋の中をみまわすが僕の姿が見当たらない。


 "カネツグがいない……"

 "何だかわからないけど助かったわ"

 メリッサは安堵したように呟くと急いで起き身なりを整え始める。


 メリッサは絵梨香と同じ低血圧である。

 絵梨香ほどではないが寝起きは悪く寝起きの直後は脳はまだ寝ている状態なのである。

 更にメリッサの綺麗な金髪は絡みやすくナイトキャップをしていないと寝ている間に絡まって綿飴のようにボサボサになってしまうのである。


 メリッサが慌てて身なりを整えている頃、僕は呑気に朝湯に浸かり極楽気分に浸っているのであった。



 "ついつい長湯してしまったな……"

 "メリッサ、もう起きてるかな?"

 僕はそう呟きながら部屋に入るとメリッサは呆然とした表情で部屋の中にいる。 

 メリッサは、何か考えているようで僕が部屋に入ってきたのに気付いていないようである。



 "私……昨日……"

 "そのまま、熟睡しちゃったんだ……"

 "私の馬鹿っ!間抜け!"

 "何のために14時間も飛行機に乗って日本に来たのよっ!"

 メリッサは心の中で自分で自分に責めるように呟くと自分の頭をコンコンと軽く小突く。


 「メリッサ……何してるの」

 僕はメリッサの突然の行動に吃驚して後ろから問いかけると……

 メリッサの動きがピタリと止まり、ゆっくりと僕の方に振り向く。


 「カッカネツグ……いっ、いつからいたの?」

 メリッサは顔を少し引き攣らせ恥ずかしそうな表情で僕に問いかける。


 「ついさっきだよ?」

 僕が答えるとメリッサはホッとした表情になる。

 「早く目が覚めたから温泉にいってたんだ」

 「昨日はよく寝れた?」

 僕がメリッサに尋ねると……


 「ええ……自分でも嫌気がさすぐらいに……」

 「グッスリと寝れましたよ」

 メリッサは虚しく答えるのであった。


 朝食を食べて終わって時間を見ると9時前だった。

 チェックアウトが11時なのでメリッサは温泉に入る事にするようだ。


 僕は部屋でのんびりと過ごす事にする。

 携帯電話を取り出すとメールをチェックする。

 亜米利加本土から転送されて来た新着メールが数件入っている。

 その内の1通は大学のアイデア募集であった。

 "アイデア募集か……"

 "テーマは自由……"

 僕はメールの内容を詳しく読んでいるとメリッサが帰ってくる。


 「ふう〜気持ちよかったぁ〜」

 メリッサはそう言いながら部屋に入ってくる。


 「げっ!」

 僕はメリッサの姿を見て思わず呆然としてしまう。

 「その姿でここまで来たの?」

 浴衣を着るには着ているのであるが上手く着れていないので胸元が大きくはだけている。

 「誰にも会わなかった!」

 僕は慌てて聞く。


 「誰にも会わなかったけど……どうして?」

 メリッサは不思議そうな表情で僕に問いかける。

 どうやら、幸いにも誰にも会わなかったらしい……

 どうも、メリッサは浴衣をバス・ローブと勘違いしているようである。


 メリッサは畳の上に座ると胸元をパタパタさせる。

 「ふう〜暑いわねぇ〜」

 ノーブラなのでチラチラと胸が見える。


 「……」

 僕は何も言わずに黙っているのだが……

 "メリッサっ!見えてるっ!見えてるっ!"

 僕は、携帯電話を見ながら心の中では焦って叫んでるのであった。

 会話の無い、沈黙の時間が続く……



 そのメリッサはと言うと……

 "カネツグ、どうしたのかしら……"

 メリッサは黙り込んでいる僕の方を見ていると……

 "カネツグ、もしかして……"

 メリッサは僕の視線が自分の胸に向けられている事に気付く。

 "今なら、私……"

 メリッサは心の中で何かを決心したように呟く。


 「あっ!あのっ!カネツ……」

 メリッサが意を決して気持ちを伝えようとすると……


 "プルルルルーーッ、プルルルルーーッ!"

 ルームサービスの電話が急に鳴る。


 僕が電話に出ると……

 "後、30分でチェックアウトのお時間です"

 宿のフロントからのお知らせ電話であった。


 "神様の意地悪っ!!!"

 信心深いメリッサでさえも心の中でそう叫ばずにいられないのであった。


 メリッサは荷物をまとめて思い足取りで部屋を出るのであった。



 〜 メリッサ来たる  ⑦ 〜


  終わり

 


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