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 僕は……  作者: イナカのネズミ
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〜 日本ポップカルチャー同好会 ③ 〜

〜 日本ポップカルチャー同好会 ③ 〜



 僕がコスプレmagazineに掲載された自分の"男の娘"コスプレ画像のネット拡散に心を痛めていた頃、日本の東京の高層ビルにある大手某出版社の本社ではお偉いさんが集まって会議が開かれていた。


 この某大手出版社こそが株式会社 〇×・メディアの親会社である。

 要するにコスプレmagazine編集者の長澤由紀子の勤める会社の親会社である。



 株式会社 〇×・メディアで雑誌・ウェブサイト編集担当者、長澤由紀子。

 つい先日に誕生日を迎えて24歳になったばかりである。


 

 身長168センチ、ストレートロングの艶のある黒髪、それなりに出るところは出て引っ込んでいるところは引っ込んでいる。

 リクルート・スーツの似合う、如何にも仕事のできるキャリアウーマンと言う感じの女性である。

 まぁ、実際に仕事のできる女性であるのだが……


 島本さんとは高校時代からの同級生であり……そして、歳下の可愛い男の子が大好きな筋金入りの歳下趣味である。

 ある意味、今回のコスプレmagazineの企画の仕事は趣味と実益を兼ねた理想的な仕事だった言える。


 正に「好きこそものの上手なれ」の諺の通りである。



 そんな長澤さんが突然、会社の社長室に呼び出されたのである。

 「忙しいところすまんな……」

 「まぁ、座って楽にしてくれ」

 突然の呼び出しに少し緊張気味の長澤さんは社長に言われるままに高級そうな黒の革張りソファーに座る。

 「長澤君、君の担当したコスプレmagazineの特別企画だが……」

 「予想を遥かに超える好評でな親会社の幹部連中もお喜びのようすだ」

 社長はそう言うと和かな表情で長澤さんの方を見る。


 「ありがとうございます」

 「これからも精進いたします」

 長澤さんは、とりあえず差し障りのないテンプレートの返事を返す。


 すると、社長は封筒を取り出して長澤さんに手渡す。

 「中を見たまえ……」

 長澤さんは社長の言われるままに封筒から数枚の書類を取り出して目を通す。


 「ええーーっ!」 

 書類を見た長澤さんは驚きのあまり声を上げる。

 「もっ申し訳ありません……」

 長澤さんは、社長が自分の声に少し驚いたのに気付いて慌てて謝る。

 「私をコスプレmagazineの副編集長にって……」

 入社2年目でいきなり副編集長などあり得ないからである。


 「君が驚くのも無理はないが……」

 「本社からの正式な辞令だ」

 「大抜擢だ、断る理由はないはずだ」

 社長はそう言うとノート型パソコンの画面を長澤さんに見せる。

 「見たまえ、コスプレmagazineの売り上げの部数の資料だ」

 「今までの発行部数は概ね4〜6万部程度だ」

 「これでもコスプレ雑誌としてはかなり多い方だ」

 社長はそう言うとページを切り替える。

 「そして、これが今月号の現在の暫定発行部数だ」

 「既に20万部を超えている、従来の3倍以上の部数だ」

 「私は最終的に30万部超えも夢では無いと考えている」

 「特に君の担当した特別企画が好評なのが読者のコメントとアンケートから分かっている」

 「それに、君が担当したネットでのdownload件数の伸びが特に凄い」

 「流石に編集長とはいかんが……」

 「副編集長として尽力してもらいたいんだ」

 「どうかな」

 確かに社長の言う通り断る理由はない……しかし、それ以上に不安も大きいのである。

 長澤さんが悩むのは当然である。


 "あの企画の成功は間違いなく和泉君のおかげ……"

 "それ以上を期待されているのは間違いないわ"

 "社内での人間関係もギクシャクしかねないし……"

 "私にとって凄いチャンスだけどリスクも大きい"

 

 悩んでいる長澤さんの様子を見て社長は怪訝な表情をしている。

「長澤君!」

 社長は少し大きな声で長澤さんに返事を催促する。


 「はっ、はいやらせて頂きますっ!」

 長澤さんは思わず了承してしまうのであった。




 一方、太平洋を挟んだ向こうでは……

 昼食の食堂で僕は、シェリルにタブレットの画面を見せられて呆然としていた。


 「コレって、カネツグでしょう?」

 シェリルの問いかけに僕は観念して頷く他なかった。

 「やっぱり、そうなのね」

 「カネツグってコスプレが好きなの?」

 少し嬉しそうなシェリルの問いかけに僕は日本であった事を説明する。

 「そうなの……」

 「カネツグはレイヤーじゃないのね」

 「ちょっと残念だったけど……」

 「まぁ、いいかな……」

 シェリルは残念そうに言うとタブレットで新しいファイルを開く

 「コレ、私なのよ」

 そう言うと僕に自分のコスプレ写真を見せてくれた。


 僕には何のコスプレかは詳しい事は分からなかったが、よく似合っていると思った。

 「この夏のLAであったAnime Expo 2023の時のよ」

 シェリルはそう言うと僕の顔を見て楽しそうに笑う。

 僕はシェリルがこんな表情をするのかと少し驚いた。

 どちらかと言うと口数の少ないおとなしい地味な理数系女子と言うイメージだったからである。


 「でね……今度……」

 「カネツグも一緒にどうかな……」

 シェリルは少し躊躇いながらもイベントの参加の事を僕に話しかけてくる。

 「流石にLAは遠すぎるけど……」

 「来年の3月にサンフランシスコで大きなイベントが企画されているの」

 「すぐ近くだから、どうかな……」

 シェリルの誘いに僕がどうしようかと悩んでいると……

 「まだ先の話だし……」

 「返事はそんなに急がないから……」

 「考えておいてね」

 シェリルはそう言うとタブレット端末を鞄に仕舞いニッコリと笑って手を振りながら立ち去ろうとするが……

 「あっ!カネツグのコスプレの事は誰にも言わないから」

 「安心してね」

 シェリルはそう言うと手を振って立ち去っていくのであった。

 僕はそんなシェリルをただ呆然と見送るのであった。



 因みに同好会の皆んなが僕の事を"カネツグ"とファーストネームで呼ぶのはソヒョンのせいである。

 ソヒョンが僕の事をを"カネツグ"とファーストネームで呼んでいたのでメリッサも僕の事を'カネツグ"と呼ぶようになり、同好会のメンバーも僕の事を"カネツグ"と呼ぶようになってしまってのである。

 僕が説明するまで同好会のメンバーは"カネツグ"が苗字で"イズミ"が名前だと思っていたようだ。

 欧米と日本では苗字と名前が逆だから誰も不思議に思わなかったのだそうだ。



 何にせよ、シェリルが僕のコスプレの事を誰にも言わずにいてくれる事には感謝しなければならない。

 あの写真が僕だと知れればと思うと考えただけで憂鬱になる。


 シェリルのイベントに付き合うのは嫌ではないがコスプレさせられないか不安で仕方がない僕であった。


 その頃、午後授業を受けているシェリルはと言うと……

 "カネツグ"は可愛いから○○のコスなんかが良いかな、△△も捨てがたいわ……

 隣の学生に不気味なられながら、1人で妄想をしながらニヤニヤしているのであった。

 シェリルは既に僕にコスプレさせる気満々であるのであった。



 

 

 〜 日本ポップカルチャー同好会 ③ 〜



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