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 僕は……  作者: イナカのネズミ
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〜  メリッサの苦悩  ② 〜

 〜  メリッサの苦悩  ② 〜



 冷たく澄んだ空気……

 まだ薄暗い真冬の早朝……

 2人の女性が川沿いの遊歩道をジョギングしている。


 メリッサと絵梨香の2人である。


 "メリッサさんって思ったより遥かにスタミナがあるのね……"

 "アップダウンが無いとはいえ……"

 "普通に私についてきている……"

 絵梨香は自分の後ろに付いて走っているメリッサを気にしながら呟く。


 プロテニスプレイヤーの絵梨香のトレーニングメニューはかなりのハードメニューである。

 メリッサはそれに付いてきているのである。


 全てのスポーツに言える事でもあるがコートの中を走り回るテニスは体力勝負でもある。

 走り込みは基本中の基本なのである。


 絵梨香はとにかくパワーがある、メリッサはそんな絵梨香が感心するほどなのである。

 "コレだと……兄さんも大変ね……"

 "特に……あっちの方が……"

 絵梨香はスケベオヤジのように心の中で呟く。

 ただ、絵梨香の言っている事は正しいのである。


 因みに、フランス人はケルト、ラテン、ゲルマンの混血がルーツである。



 絵梨香とメリッサが帰ってくると直ぐに水分補給ができるようにスポーツドリンクと汗を拭くタオルを用意してある。

 2人が汗を流すためにシャワー浴びている間に朝食を用意する。


 ランニング後30分以内を目安に"炭水化物とタンパク質をバランス良く含んだ食事"を摂るのがおすすめだとネットで調べてある。


 メリッサにはおにぎり、絵梨香にはパスタ、おかずにオムレツとキャベツとコーンのサラダを作る。

 僕と父も同じ物を食べるので4人分作る事になる。


 絵梨香とメリッサがシャワーを浴びて出てくると食事を始める。

 父は火入れがあるので後から食べるとの事……

 相変わらず絵梨香はTシャツにパンツ1枚である。

 因みに、メリッサも絵梨香と同じかっこうである。



 因みに、昨日の夜に父に挨拶するメリッサの緊張感は側で見ていて辛いものがあった。

 何故か、父も少し緊張していたような気がする。



 朝食を食べて暫く休憩した後で絵梨香は庭で反復横跳びと素振りをしている。

 メリッサはリビングではなく和室でヨガのような体操をしてる。

 何故かメリッサは和室の畳の上の方がいいらしい。


 その間、僕は朝市で買い物をして洗濯物を片付ける。

 開いた時間で予習・復習をしている。


 昼前に食事の用意を始める。

 朝市で仕入れた鯵の干物を焼きしめじ入りの味噌汁に豆腐、野沢菜の漬け物である。

 ご飯は朝市で仕入れた五穀米を炊いてある。

 メリッサは初めて見る五穀米を不思議そうに見ながらも美味しいそうに食べていた。

 メリッサはお代わりを要求してきたが……当然だが却下した。

 恨めしそうなメリッサの目に恐怖を覚える。


 少し休憩をしてから再び絵梨香とメリッサはトレーニングを始める。

 2人とも凄い体力だとつくづく感心してしまう。

 夕食は肉じゃがに豚汁、ほうれん草のお浸しである。

 ご飯は7分づきの玄米である。

 

 多めに作っておいたが2人ともペロリと完食してしまう。

 父の分を別に取り置きしておいてよかったと思う。


 そして、就寝なのであるが……

 

 「えっ?メリッサさん……」

 「今日も兄さんとは別の部屋で寝るの?」

 僕は自分の部屋、メリッサは和室で寝る事に絵梨香は少し驚いている。

 「夜中に変な声が聞こえてきても気にしないから……」

 「別に遠慮する事なんてないのよ……」

 「思いっきりヤんなよ」

 「どうせ、父さんのいびきがうるさくて聞こえないって」

 絵梨香がそう言うとメリッサの顔が真っ赤になり僕の方を横目で見る。


 「絵梨香……お前……」

 「一体、何をヤるんだよ」

 いやらしそうな笑みを浮かべる絵梨香に僕は呆れたように言うとメリッサの様子が急によそよそしくなる。


 "……絵梨香の奴、いらん事を……"

 "マズいっ!このままだと……"

 "本当にそう言う事になってしまう"

 "なんとかしなければっ!"

 僕の脳細胞に電磁パルスがもの凄い速さで流れる。

 「実は大学の勉強が少し遅れ気味で……」

 「夜の内に済ませておきたいんだ……」

 本当は今の状態なら夜遅くまで勉強する必要は無いのだが、この場合は嘘も方便である。

 悪く言えば"真っ赤な嘘"である。


 「なんだ〜それなら仕方ないっか」

 絵梨香の納得した様子にメリッサの表情が曇り不機嫌そうになる。


 メリッサに怯えながら僕はその日の夜、する必要のない勉強をするのであった。

 当然、やった分は決して無駄にはならない。


 ……が……そんな僕の事などお構い無しにメリッサは布団に入るとすぐに爆睡してしまうのである。


 ハードなプロの練習メニューに付き合ったのであるから当たり前のことである。


 当然、僕はそんな事など知る由もなくメリッサの気配に怯えながらひたすら勉強を続けるのである。

 

 


 〜  メリッサの苦悩  ② 〜


 終わり

 

 

 


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