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記憶の秘密と闇医者

作者: 朝野月

「プロローグ」


僕は、一部記憶を失っている。別に生活に支障をきたすと言うことは無い。昔の記憶が無いだけだった。

単に忘れているって可能性もある。だけどその失われた記憶より少し前のことが記憶にあるから記憶が欠落していると僕は思っている。

これは、僕がその記憶を取り戻し、失われた記憶の真実を見つける為の物語だ。


1章「失われた記憶と決意」


「また、会えるかな」

「そうね、あなたが記憶を取り戻したらきっと」

夢を見ていた。それは、本当にあったことなのかそれとも単なる夢だったのか。僕はそれが知りたかった。


僕こととーふは昔の記憶が無い。それはただ忘れているだけでは無い。なぜなら僕は15歳から17歳までの2年間の記憶だけがすっぽりとないのだ。まるで誰かに抜き取られたように。

本当は思い出さなくてもいいのかもしれない。だけど僕はどうしても知りたいのだ。

あの、夢の言葉を真実を知りたいから。

だから僕は記憶を取り戻すきっかけを探すため、旅立つことにした。


2章「新しい情報」

旅をしながら情報を集めた。

そこで一つだけ有益な情報を手に入れた。

それは、闇医者の事だ。

闇医者は突然現れ、そして、誰にも治せないような病気や不治の病と言われ、生きることを諦めた人も治したそうだ。

もしかしたら僕の記憶も治せるかもしれない。

そう考え、僕は闇医者を探すため次の街に急ぐのだった。

街についてすぐ、僕は村人達に情報提供してもらった。どうやらこの街にも闇医者は現れたらしい。

名前も、顔も分からない。それどころか目的も分からない闇医者だった。

「ほんと、どんな目的で人を治して回ってるんだ?」

そう、疑問しか思い浮かばなかった。


3章「夢と記憶」

旅をするにつれ、闇医者の情報が少しずつ集まってきた。

闇医者は2人いること。1人は中年男性なのに対し、もう1人が若い女性だと言うこと。そして、闇医者は人と関わろうとしないらしい。

「人と関わらないのに人を治す…か。ほんとよく分からないやつだ。」

そう呟きながらも僕は次の街に向かう。

「明日には街に着くだろうが、今日はここら辺で野宿するか。」

と、良さそうな場所をみつけ野宿の準備をする。

旅が長いためか最近では野宿するのにも抵抗が無くなってきた。

「明日には街に着く。今までの闇医者の目撃情報から言っても恐らくはもう既に一度通った後だろう。けど目撃した日はどんどん近ずいている。もうすぐ会えるかもしれない。闇医者」

そう考えながら僕は、眠りに入った。

そして僕は久しぶりに、夢を見た。

ーーーーーーーーーーーーー

「僕、死んじゃうのかな…」

「大丈夫よ、必ず助けてあげる。私の命にかえても…だからまかせなさい。”お姉ちゃん”に」

ーーーーーーーーーーーーー

「ッ!!…ハァ…ハァ……夢?それにお姉ちゃんって…僕に姉はいないはずなのに、なんで」

と、モヤモヤを抱えたまま、街に行く準備をするのだった。

街につき、情報を探した。予測していた通り闇医者はもう現れてどこかに消えたようだった。

「予想どうりか。けど現れたのは3日前。前の街では5日前だったから少しづつ追いついてきている。次の街に急ぐか」

そう考え、次に行こうとしたのだが、僕は足を止めていた。子ども二人が楽しそうにリンゴを買っていた。恐らくは兄弟で、おおかた母親の手伝いでお使いに来ているのだろう。

だけどそんな光景に僕は魅入っていた。どこかでこの光景を見た気がする。いや、見たんじゃない。

僕たちが同じことをしていたのだ。

「達?なんで僕は達って。僕には兄弟なんていなかったはずなのに。もしかして、失った記憶の一部?」

その後はいくら考えても答えは出てこなかった。


4章「出会いと目的」

僕は闇医者を追いかけて旅をしている。

だから街に着いたらすぐ情報収集の為村人に声をかけているのだが、僕はこの街に着いて一度も村人に声をかけることが出来ていない。何故なら、この街にいるはずの村人達が一向に見当たらないのだ。

「おかしいな。これだけ発展している街なら人がいないなんてことはないと思うんだが……」

そう考えながら街を歩いているとこの街で1番大きい建物の前に着いた。そして、その建物から出てくる人影が1つあった。

「やっと人がいたか。」

僕はその人に声をかけた。

「すみません。少しお聞きしたいことが。ここら辺でフードを被った2人組の旅人を見ませんでした……」

そこまで言って僕はようやく気づい。今から言おうとしていた人物像とその人が同じなのだ。

「闇…医者?」

「ッ!…驚いた。初めての街で私たちの名前を知っている人がいるとは、、、」

「そう言うってことは、あなたが闇医者であってるんですね?」

「その通り。私たちは旅をしながら普通の人には治すのが難しい病気の人達を治して回っている。だから初めての街で、しかも初めて会う人が私たちのことを知っているとは…意外だったよ」

「僕はこの街の人ではなので。街から街へ旅をしていたんです。あなた達を探して」

そう言いながら僕は、その人を真っ直ぐ見た。

「そうか…旅人か…しかも我々を追ってとはね…とりあえずここでは場所が悪い、場所を移そう。」

「分かりました。でも1つ確認したいことが」

「なんだい?答えれることなら答えよう」

「闇医者は…その、2人いると聞いたのですが」

「あぁ、そうだね。私たちは2人で行動してはいるが街に着いたら二手に分かれて治療をしているんだよ」

「なるほど、だから街から街への移動が早かったのか」

「そう言うこと」

と、少し話しながら僕らは町外れまで移動をした。

「とりあえず自己紹介がまだでした。僕はとーふ。あなた達を探して旅をしているものです。」

「私は…私たちは君の知っている通り闇医者。私はその1人の雫と言う者だ。ここにはいないがもう1人がれいなと言うまぁ、その子のことはその子が戻ってきた時に話そう

。」

(れいな?その名前は昔どこかで…)

「分かりました。」

「ところで君はなぜ私たちを追って旅をしていたんだい?」

「……それは…僕の記憶を…失った記憶を闇医者なら治せるのではと思って…」

「記憶か……悪いが記憶はどうしようもない…病気みたいにそう簡単に治せるものでは無いのでね」

「そう…ですか…」

(闇医者でも無理なのか…)

「あの、雫さん…。その人は…」

僕がそう考えているとそのような言葉が聞こえてきた。

(この声…どこかで聞いた気が…)

「この子はとーふ。私たちを追って旅をしていたようだ」

「…とーふ?」

その子はそう呟きながら僕の顔を見た。そしてその瞬間駆け出した。まるで僕から逃げるように。

「悪いとーふ!君はここにいてくれ!れいな!」

そう言い残し雫さんはれいなと呼ばれた子を追いかけて行った。

「どうしたってんだ?」


5章「闇医者の過去」

「ハァ…ハァ……」

私は肩で息をしながら街の薄暗い路地裏にいた。

「なんでとーふがここに…」

それだけが疑問だった。もう会うはずもないと思っていた。もうとーふを見ることは無いと思っていた。だけどそれは違った。

「ハハ…神様はとーふの味方をしたのか…」

「ここにいたのか…れいな。

探したよ。」

そう言いながら雫さんは私に近ずいてきた。

「どうして逃げたんだ?」

「雫さんは…私と初めて会った時のことを覚えていますか?」

「あぁ、はっきり覚えているよ。れいながいきなり弟を連れてきて弟を治してくれって言ってきたんだからな。あれには私も驚いたよ」

「その弟がとーふなんです。

とーふは手術が成功したあともずっと目が覚めなかった。だから私はそんなとーふを治す為に…とーふみたいな人を出さないために雫さんに弟子入りしたんです。」

「……そうだったのか。あのチビ助がなぁ…立派に育ったもんだ。」

「はい。私も驚きました。立派に成長してて…でも、私はとーふを治す為とはいえ見捨てた身。どう接していいのか分からないんです。」

「だから逃げ出したのか。」

「はい……」

「正直に話せばいいんじゃないか?さっき少し話したが彼はそんなことで怒るとは思えない。」

「分かってます。でも…」

「はぁ……とーふが私たちを探して旅をしているとさっき言ったな?その目的をれいなはどう思っている?」

「えっと…自分が無事ということを起きたという事を教えるために私を探して…」

「違うよ。とーふは闇医者なら自分の失った記憶を治してくれるんじゃないかって私たちを探してたんだ。」

「え?失った記憶?とーふは

記憶喪失になってるって言うんですか?」

「多分だが、とーふは寝ていた間のことはもちろん、姉であるれいなのこともほとんど覚えていないだろう。現にお前の名前を出した時もお前が顔を見せた時も姉だとは気づいいなかった。ならそう考えるのが妥当だろう」

「そんな……」

「言ってやんな。本当のことを。自分が姉であること。闇医者になっていること全部。」

「……分かりました。雫さん、私行ってきます。」

「あぁ…行って来な。」


6章「これまでと、これから」

夕暮れ時、とーふは雫の言ったことを守り、その場に留まっていた。

「もうすぐ夜か…ん?」

「とーふ…話が…」

「えっと…れいなさん…ですよね?なんでしょうか」

(名前教えてないはずだけど…雫さんが教えたのかな?)

「実は……」

そして、れいなさんは色々話してくれた。

れいなさんが実の姉という事、目を覚まさない僕を救うために闇医者に弟子入りしたということ、事細かに全部教えてくれた。

「信じなくてもいい。話しながらとーふを見てて分かった。雫さんの言う通りとーふは私との記憶が全部ない。だから今言ったことが嘘だと思ってくれて大丈夫。」

そうれいなさんは僕に言ってきた。

「……確かに今言ったこと全部、僕にとって嘘としか言いようがないような事です。でも、旅をしている途中、買い物をしている2人の子供がいました。その時感じたんです。僕も前に似たようなことをした気がして…雫さんかられいなさんの名前を聞いた時も、れいなさんの声を聞いた時も、どこか、とても懐かしく感じたんです。それに、れいなさんははっきりと僕の目を見て話してくれた。だからとても嘘を言ってるとは思えません。」

「とーふ…」

「僕の記憶は戻らないかもしれない。でも、これからの記憶は作れます。だから、これからは一緒にいてくれますか?お姉ちゃん」

「ッ……うぅぅ……ッ…………これからは一緒だよ!とーふ!」


「エピローグ」


闇医者を探すために旅に出た僕は今、旅をしながら街を周り病気の人を治して回っています。そこにはもちろん、姉であるれいなさんと、そして師匠の雫さんがいます。

僕らはまたどこかの街で病気に困ってる人を助け、次の街に行く準備をしています。

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