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両親の能力の記憶がない

久しぶりになってしまいました。

「ねえメモリー、わたし達まで来て本当に良かったの?」


 遠慮がちに千花が尋ねてきた。

 隣に小悪魔、白鳥さん、ナツ姉の順で並んでいる。


 僕等は白鳥さんのおじいさんに言われた通り、ホテルの部屋で待機していた。


「いまさら隠すような間柄じゃないし、みんなにも立ち会ってもらいたいんだよ」


 僕の両親と白鳥さんのおじいさんとの関係、両親は事故で亡くなったのかそれともどこかで……

 とにかく不安で仕方がないのだ。


「わたしは白鳥家の後継ぎとしての責任もあります。メモリー様との縁をようやく見つけたのですから」 


 意味深な言葉を呟くと黙り込む白鳥さん。

 心なしか頬がピンク色に染まっている。


「むむむ、わたしも先輩の体をもっと知りたいです」


「全体的に言葉が足りないだろ。誤解を招くから勘弁してくれ」


 もちろん小悪魔は不満の声をあげている。


「わたしだってメモリーの姉として知る権利があるから」


 ナツ姉は……グループ会社のお偉いさんに会うためか顔色が青くなっていた。

 

「みんなの気持ちは分かってる。僕も不安だらけなんだ。だから側にいてくれ」


 みんなが黙って頷く。

 そして……


 餌を貰う動物のようにみんなが僕を囲んでしまった。


「側って意味が違うから。ここはホテルの部屋だよ?若い女子に囲まれてたら誤解を―――」


 ガチャ!?


 タイミング良く?この場合は悪く?部屋のドアが開いた。


 驚いた表情を浮かべる白鳥さんのおじいさんが、ドアを開けて立ち尽くしていた。


 * * * *



「さすが二人の子供と褒めるべきだろうか?その歳でハーレムを育成するとはな。はっはっは」


「ですから先程も説明した通り誤解です!」


 白鳥泰造(しらとりたいぞう)さんが楽しそうに笑っていた。

 パーティーに出席していた時とはかなり印象が違う。


「おじいさま、ハーレムとは……?」


「エリカ……ハーレムとはのう―――」


「ストーップ!それよりもっと大事な話をしましょう。父さん母さんとは……」


「そうじゃのう……」


 感情を失っていた反動でここまで抑えていた気持ちが溢れでる。

 

「わたしと目守君のご両親とは、ある研究を一緒にしてたんだよ」


 やっぱりそうなのか。ある程度予想はしていた。

 僕には『完全記憶能力』があるのだから。


「だだ……ここで全てを話してもいいのかな?」


 泰造さんの視線が彼女達へ向けられた。

 今まで隠し通してきた能力をここにいる彼女達にに知られてもいいのかと言っているのだ。


 この能力のせいで両親がいなくなった可能性だってある。

 秘密を知れば危険に巻き込まれるのかもしれない。


「みんなはどう思う?僕の事を知ればもっと危険に巻き込んでしまうかもしれない」


「何言ってんのよメモリー!幼馴染のわたしにまでずっと隠し事をしてたなんて本気で怒ってるんだから!」


「それは……怖がらせて嫌われたくなかったんだよ」


「怖がらせるって大袈裟なのよ」


 千花とは長い時間を過ごしてきたので怒るのも当然だ。

 でも……僕の事を化け物だと思われるのが怖かった。


 他の女子達も千花の言葉に無言で頷いている。


「じゃあ僕の秘密を知ってもここにいるメンバーだけの秘密にしてくれるかな?」


 全員が同じく頷く。


「では……お願いします」


「よろしい。では……」


 ゆっくりと泰造さんが語り始めた。



 泰造さんと僕の両親は3人で白鳥グループの研究施設を使っていろいろな研究をしていたそうだ。


 その当時両親はまだ結婚しておらず恋人関係だったとか。

 

 研究内容は『超常現象』に関するものが多く、未知の力の解明に努めていた。


「わたしたちは科学者にも関わらず非科学的な力へのあこがれが強かったのだ。それというのも……君の両親の影響だ」


 泰造さんが昔を思い浮かべながら微笑んでいた。


「君の父親は妙に()()()()()()。いや、良すぎるといった方がいいかな?」


「……勘ですか?」


「うむ。具体的には口では言えないがなにか迷うようなことがあると、目を閉じて『こうしましょう』と決断していた。すると……かなりの確率でうまくいくんだよ」


 父さんもなにか能力を持っていたのか?


「父はなにか能力を持っていたのでしょうか?」


「本人が言うには、時々なんとなく頭に浮かぶくらいだったらしい」


 僕と違って常に能力を使えたわけではなさそうだ。


「先ほど両親と言ってましたが、母もなにか不思議な能力があったのですか?」


「彼女には特別力はないと思う。ただ……記憶力がずば抜けていた」


「!?」


 心臓が飛び出るかと思うくらいドキリとした。

 記憶能力に関しては僕に直結するからだ。


「じゃあ母も……」


「彼女は否定していたよ。独特の記憶方法をしていただけで特別なことはないと断言していた。脳にいいからとカレーは良く食べていたがね」


「あ!それ先輩と同じですね!」


 小悪魔が嬉しそうに声を上げた。


 どうやら僕のカレー好きと記憶能力は母から強く引き継いでるのかもしれない。

 そして父のDNAが奇跡を生んだのだろうか?


「他に不思議な能力を持った方に会ったりしたのでしょうか?」


「ああ、たくさんの人にインタビューをしたり実験にも参加してもらったよ。しかし……」


 ここで泰造さんが眉間にしわをよせて苦々しい顔を浮かべた。


「その後は次々と連絡が取れなくなってしまった。奴らのせいで……」


「奴らとはいったい?」


 僕の心臓の鼓動が早くなる。嫌な予感しかしない。

 なぜか頭に浮かんでくる名前がひとつ。


「大沢財閥……ですか?」


 僕の言葉に泰造さんの目が大きく開かれ驚きを隠せずにいた。


「ああ……そうだ」


 そんな昔から因縁があったとは……


 なんとか感情を抑えて泰造さんの次の言葉を待つことにした。


 

 

 

読んでくれてありがとうございます!

本業が忙しかったのですが、ようやく落ち着いてきたので他の作品も含めて更新していきます。


読んでいただけるなら、「ブックマークと評価☆」をよろしくお願いします!!

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