脈ナシ以前のTS娘と性癖拗らせ親友くん
朝起きたらTSしていた青年が、ちょっと変わった性癖を持つルームメイトとお出かけしたり駄弁ったりするだけのお話。二人はきっと、仲良しです。
台詞のみで進行しますので、苦手な方はご注意を。
※少々展開は違いますが、Twitterの文を加筆修正しただけの文章です。原文のtweetの境目は2行以上空けています。
「……舐めてる……!」
「……なんて?」
「TSを舐めてるよ!」
「うわ、はっきり聞こえたけど意味わからん」
「そもそも、なんで普通に受け入れてるのさ!?」
「……?ああ、女になった事か。なんでも何も受け入れるしかないだろ」
「対応力高いの本当よくないよ?」
「……もしかして俺叱られてる?なんで?」
「生理イベントにも落ち着いてるし!血まみれの便器に慌てふためいてよ!」
「生理現象をイベント扱いすんな。大体調べりゃ分かるわこんなもん」
「うう……胸キュンポイントが」
「どこにそんな要素が……」
「えっ!?分からないの!?」
「全く。……血ィ見て興奮すんのか?」
「君とは分かり合えそうにないよ」
「いや、こっちの台詞だわ」
「はぁ……理解が足りてないよ、TS娘くん」
「別に理解したくもねぇし……てかさ」
「ん、どうしたの」
「その『TS娘』って、何?」
「あさおんした君のような人の事をそう呼ぶんだよ」
「……『あさおん』?」
「朝起きたら女になってた、の略」
「へー、そんな呼称があるくらい認知されてるのかこれ」
「二次元の世界だと超ポピュラーだね!」
「一般的じゃねえじゃん」
「はぁー!?TSは一般性癖ですー!!」
「うるさ」
――――――――――
「TS娘くん、TS娘くん」
「……なんだ?」
「TSしたら男友達とデート行くのが恒例」
「気色悪い」
「まだ全部言ってないのに……」
「女になってから急に口数増えた奴とデートとかする理由がないわ」
「じゃあ逆に、何があれば付き合ってくれる?」
「……うーん。高い焼肉とか」
「なるほど!……。……あ、もしもし……です、……2名でお願いします……はい」
「……?」
「よし、予約したから行こうか。奢るから」
「お前、マジか……」
「お、美味そ。いただきまーす」
「TS娘の貴重な食事シーン!」
「……。もぐ……、……」
「……」
「はむ……。……もぐ。……」
「……むう」
「どうした、じろじろこっち見て」
「もっとがっついて食べてよ!」
「やかましい、焦げるから食え」
「私服も女の子だしさあ……!」
「むしろどんな服来てくると思ってたんだ。部屋着のまま来るとでも思ったのか、お前……」
「というか、恥ずかしさとかないの!ほら、女服着てるんだよ今!」
「別に、身体は女だし……それに、今一番恥ずかしいのはお前の声が大きい事だよ」
「がに股じゃないのもおかしい……!」
「男の時からがに股じゃねえし。てかスカート覗くな変態」
「……あっ、今の恥じらい的な!?覗くからもう1回やって!!」
「ほんと殴るぞお前」
「あの、TS娘さん」
「なんだ、急に改まって」
「身体が変わって、少食になっちゃってご飯を食べ切れないTS娘っていうのがあってですね」
「そうか。そろそろ次焼くかな」
「満腹イベントからの食べかけ関節キスイベントが……」
「……。じゃあほら、焼けたハラミやるよ。食べかけじゃねーけど」
「恥じらいとか葛藤とか、そういうのもセットで……」
「お付けしてねえ、不服なら返せ」
――――――――――
「おーい、TS娘くーん」
「……あのさ」
「何、TS娘くん」
「いい加減名前で呼べ。最近他の奴にもTS娘とか呼ばれてんだけど」
「えー。判り易いのに。じゃあ僕の事も名前で呼んでよ」
「わーったよ、えーと」
「くん付けに恥じらいとかあると、ポイント高いよ」
「君付けはしねぇよ。……あー……」
「……。……?」
「……TS娘って呼んでていいぞ」
「待って、冗談だよね?」
「TS娘、僕の事すき?きらい?」
「きもい。そういうの聞いてくるとこが」
「最近休日遊びにも行くし、実質彼女では?」
「うわ出た拗らせ童貞の発想」
「そういう君だって処女でしょ」
「は?」
「えっ?」
「……ああ、今は女だもんな俺。処女か」
「あ……ご、ごめん」
「いや、別に気にしてねえから。……じゃあ、シャワー浴びて来い。ヤろうぜ」
「……。へ?」
「なあ」
「えっと……」
「普段あんだけとやかく言ってる癖してよー……」
「……そ、そういう対象としては見てなくて」
「……また、なんとかイベントか?」
「い、いや。その、裸に魅力が無いとかじゃないんだけどね」
「……あー、もういい。変なフォローすんな。やめだやめ、ラーメン食いに行こうぜ」
「ふぅ……」
「ごめん」
「しつこい、謝んな」
「いや、ため息ついてたから……」
「小心者の童貞に無理に犯されなくてホッとしてるんだよ。間違って孕まされそうだし」
「そこはピルを飲んどいてくれれば」
「ロクに勃ちもしねぇのにそういう知識はあんのな、お前」
「TSF界隈にいると、知識が深くなるからね」
「深くなってんのは業だろ」
「ちゅるる……。ん。うめえなここ」
「……」
「あー……。スープうめー……」
「……」
「……。んだよ、じろじろ見て。またTS娘の定番どうとかって奴か?」
「えっ?……あ、いや。こうして見ると普通に可愛いなーって」
「……はぁ?」
「仕草とか女の子だし、私服もオシャレだし。最近は化粧もしてるし本当に可愛――」
「おい」
「――あ、なに?」
「さっさと食え、伸びるぞ」
「あ、うん」
――――――――――
「TS娘さんや」
「ん、なんだ急に改まって」
「TS娘がスイーツをねだるってイベントがあるんですよ」
「唐突に気持ち悪くなるよな、お前」
「お願いします」
「それで頭下げんの?マジ?……あそこのクレープ奢れ」
「根本的に違うけど、なんか興奮しそうだからもう1回お願いしていい?」
「……。すいませーん、クレープ2つくださーい!」
「ぁむ……。これだけじゃ足りねぇ」
「甘い物とか好きなの?」
「まあ、人並みに」
「男時代に恥ずかしくて行けなかったとこに行ったTS娘が、知り合いに見つかっちゃって赤面……ってイベントがあるんだけど」
「うわ、よくこっから変態的な話に繋げられるなお前」
「駅前の女性向けのスイーツ店。この前、並んでたよね」
「いつ見てたんだよ……一応言っとくけど、男時代から行ってるからな?」
「えぇ……」
「それで引かれるのマジで納得いかねぇんだが……?」
「こちらカップルですと割引に――」
「あ、じゃあそれも1つ下さい。以上で」
「……TS娘さんや」
「あ?なんだ」
「そこは『そ、そういうんじゃない!』って恥じらう所で」
「そうか。楽しみだな」
「服も当然のように女の子だしさー……ってあれ、ズボン履いてるんだ。前スカートじゃなかった?」
「覗き込むな。……風強い日は落ち着かねえんだよ、スースーして」
「……おお。やったぜ!」
「何だ、その反応」
「お二人のお名前をデコレーションさせて頂きますので、よろしければこちらにお名前お願いしてもよろしいですか?」
「へー、こんなのしてくれるんだ。……はいこれ」
「ん。じゃ、これでお願いします」
「ありがとうございます。……あれ、もしかしてよく来て下さっていた方ですか?」
「ん?あー、よく判りましたね、そうっすよ」
「お名前一緒でしたのでまさかとは思いましたが、そうでしたか!……随分、可愛い格好になられましたね。あ、気にしてたらごめんなさい!」
「えっと別に……まあ、えーと……」
「店員さん、今の顔よく見たいのでもう一回褒めてみてくれませんか」
「お前マジで黙ってろ」
「あらあら。……そちらの方は、彼氏さん?」
「違います」
「そうでしたか――では、こちら5割引の所は無しになりますが」
「あっくそ、そうか……しゃーない、割引は無しで」
「え、2000円追加で払うほど嫌なの?辛いんだけど?」
「本当に通ってたんだね」
「まさか名前覚えられてると思わなかったけどな」
「可愛いし、良い人だったね。結局割引もして貰えてたし」
「お得で良かったよ」
「あ。帰り、アイスでも買う?」
「ん……冷蔵庫に空きあったか?」
「どうだろ」
「まあ、もうそこそこ食ったし今はいいわ」
「……あ、そういえばさ」
「何だ」
「今なら勃つ気がする」
「……いや、今日気分じゃねえし。来週、ヤりたきゃ言え」
「……。流石に、期間が開くと勃たないかも」
「ふーん……。まあ、そん時はまた何か食べに行こうぜ」