第三話 俺氏、女子会で内股に②
「説明してもらおうか」
「そんな可愛らしい姿で凄まれても滑稽なだけです」
「お前がしたんじゃろがい!」
黄色い声が途切れたことで俺達に注目が集まっているのに気付く。
「ご、ごめんなさい。お姉ちゃん達は気にせず楽しんでね」
「おじさんも成穂姉さまも早く来てねー」
愛想笑いと可愛い手をひらひらさせると、由紀ちゃん達とチャッピーは再び女子会と言う名のキャッキャウフフに戻った。
「ふうーって何がお姉ちゃんだよ」
と、ノリツッコミしている場合ではない。
不味い、気を張っていないと感性が小五ロリになってしまう。
「で、これはどういうことだ?」
「主が女子会に参加したそうでしたので」
「なるほど、俺が女の子になれば女子会に参加できると。ついでにチャッピーも」
「チャッピーさんもケーキを食べたいと言っていました」
「なるほど~~」
そうはならんやろがい。
視線を後ろに送ると、チャッピーであるらしい中学生くらいの女の子が一心不乱に、しかし行儀よくケーキを食べている。
犬の時と同じ毛色の髪をツインテールにまとめ、犬と同じようなオッドアイの目がくりくりとケーキに惹きつけられている。服装は何処かの制服を着ていて愛くるしい。
っていうかチャッピーって雄だよ、俺も雄だよ。
「この部屋に入れば誰しも女の子になり、誰しも女子会に参加する資格を得ます」
「なるほど~~」
発想の逆転ってそうはならんやろがい。
「それは分かったが、何故俺は小学生高学年くらいの年齢なんだ? チャッピーは一才にも満たないのに中学生くらいだぞ」
「精神年齢です」
「なるほど~~」
そうなるな、うん簡潔に。
しかし、しかしだ。これは唐突に訪れた俺の夢を実現したのではないだろうか。
美少女に性転換。今風に言うとTSものというやつだ。
一度は男が誰しも望むのが、手術とは違う本物の性転換である。
それは魔法なり不思議な力なり、そしてSF、サイエンスフィクションの力で行われるのが望ましい。何故ならこういうのは気が済んだらすぐに戻れるのが重要なのだ。
「俺はキャッキャウフフする」
「はい」
あの成穂さんが俺に相づちを打ってくれるとは。俺の本気度が伝わったか。
「なにしているの二人とも、こっち来てー」
由紀ちゃんが呼んでいる。
「わっかりましたー」
とびっきり可愛い声で返事を返す。俺は今から小五ロリだ。おじさんと呼ばれる女の子なんだ。
今俺は人類が未だかつて成しえなかった、舞台に立つのだ。
*
「チャッピーは可愛いなーあはは」
「わん、そのお菓子ください」
「あーいいともいいとも」
俺はチャッピーと戯れていた。
チャッピーはいい子。お菓子を上げれば素直にお手をしてくれるんだ。
え、女子会はどうしたのかだって?
それを語るには五分前に遡らねばならない。
始めは順調だった。
俺はチャッピーと共に可愛い可愛いと持てはやされ、頭を撫でられたりしていたんだ。中学生に頭を撫でられたんだぞ、幾ら払えばいいんだよってな奇跡だ。
そんな至福の時間はある一言で風向きが変わる。
「生理用品はなにを使っているのですか」
爆弾は成穂さんが放り投げたものだった。
「えー成穂姉さまは何を使っているんですかー? 私はナプキン」
「わ、私はその……体を動かすからタンポンを……」
「入れるというのが怖くて……でもタンポンってどんな感じなのか興味あるんです」
「静流ちゃんも慣れれば大丈夫だから」
不味い。俺はまったく話に付いていけない。こちとら自称小五ロリ、生理なんて来ちゃいねえどころかこの体にあるのかさえも分からない。
「わん」
チャッピーはいいから、話に参加しなくてもいいから。なにお代わり? そんなものあるか。
しかしここは女子会。グループのヒエラルキーを決める場でもあるはず。ここは一転攻勢に出るか。




