第二話 俺氏、掘り出し物を見つける②
その後、一個百円にしたティーカップが数個売れたところで、腕章を付けた男の人が来て強制退去命令を申しつけられて店じまいとなった。
「結果はっぴょー」
場所はショッピングセンターのフードコート。
成穂さんと向かい合って売り上げの集計中だ。
結果は。
「十万円です」
ティーカップの売り上げは参加費の名目で回収されました。悲しい。
「とはいえだ……素晴らしい。素晴らしいですよ成穂さん」
「ありがとうございます」
「いえこちらこそありがとうございます」
感謝の心は大事。親しき中にも礼儀ありってね。
「んふ……んふふふふ」
十万だぜぇ……十万。元手も掛かっていない。いや成穂さんも不用品って言って出してもらったからね。実質ゼロ円ってやつです。
これは豪遊。圧倒的豪遊。
「成穂さん。このフードコートで好きなもの頼んでもいいですよ」
「ありがとうございます」
言うや否やすっと立ち上がり、彼女は売店へと向かう。
幾分か先程の感謝の言葉よりトーンが上がった気がするが気のせいだ。
「ごめん、やっぱ五つまでにして」
「……」
おお、その一言であの成穂さんが固まった。やはり彼女は食べることが好きなのだな。
しかし宇宙人というのは誰でもこんなに食い意地がはっているものなのだろうか。
本当は好きなだけ食べさせてあげたい。だが仕方がない。
今回はあの牛丼屋の二の舞になるわけにはいかないのだ。
しばし固まっていた成穂さんは、再起動すると真っすぐ売店へと向かうのだった。
「さて……俺はどうしようかな」
彼女の背中を見送ったものの、俺も腹が減っていた。
金はある。それならば今日ぐらい贅沢にしてもいいだろう。
ぐるりと並んでいる売店を眺める。
ソフトクリームやアイスの店。たい焼きたこ焼き屋。ラーメン屋。丼ものを扱っている店まである。
「フードコートなんて子供の時以来だったが色々増えてるなあ……」
つい頬杖なんてついて、柄にもなくノスタルジックな気持ちに浸ってしまう。
ガキの頃は百貨店の屋上遊園地で遊んだ後、売店でアイスクリームだとかメロンソーダを食べたものだ。
それが今や、デパートだフードコート呼ばれて郊外にまで進出している。
便利にはなったが似たような街並みが続く街になった気がする。
「俺も年を取ったということかな……」
「豚骨ラーメンの詳細な味覚情報を取得。次にカレーライスの取得に移行」
「……うおい。俺が感傷に……ってそれ全部食うのか?」
座っていたテーブルの前には何時の間にか五つの、今は減って四つの料理が並べられていた。
そのどれもががっつり系の一皿で満腹になりそうな代物ばかりだ。
俺の質問に答えず、黙々とスプーンを動かす成穂さんを見ていると、腹が減ってきた。
「俺もなにか食べるか……」
お金を貰い並ぶ売店へと向かう。
ここはチェーン店ではなく、地元資本のチープな感じの店を選ぶか。
ノスタルジーは空腹に次ぐ、最高の調味料だ。
*
「発射されました」
「……簡潔過ぎて訳が分かりません」
カレーを口に入れようとした寸前。成穂さんがおかしなことを言い出した。
「はっしゃ? 今日はまだ出してないよ?」
「先程、貨幣に交換した*=$#&%&*{}が使用され、発射が確認されました」
「あんだって? ちゅびろ……ってあの巻貝モドキのことか⁉」
なんとことだ。確かにあれは武器だと成穂さんは言っていた。
だがしかし。あれは見た目は奇麗な色の巻貝で、引き金も銃口も付いていないし、俺がどれだけ弄っても何も出ることはなかった。
成穂さんのお墨付きも貰った、安全なはずの巻貝が、今使用されてしまったのだ。
「ちょまっ、それって大問題じゃないか!」
「問題ありません」
「いやだって、兵器なんだろあれ」
「問題ありません」
「いやいや誰かが怪我したら、あの買ってくれた女の人だって――」
「自称霊長類である人類どころか、この世界で生命と定義されている、あらゆる存在には効果がありません」
どういうことだ?
「この文化圏風に言いますと『蚊も殺せない』どころか単細胞生物すら殺せません」
う~ん……大丈夫なんだろうか。
「また発射されました」
「ずいぶんコンスタントに出るね」
俺はカレーをぱくりと口にする。
まあ成穂さんの言い分では影響がないらしいし、そこまで慌てることはないんじゃあないかな。
「また発射されました」
「……本当に大丈夫なのか?」
とっても不安になってきた。
「今現在、人的被害及び、資源被害は確認されていません」
「それならいいんだけども……」
「ただこの惑星に存在していたPP+*?>>@の数が三割を切りました」
不安的中。




